2月某日、友人から訃報を受け取った。
連絡をくれた友人にとっては、かつての上司。筆者にとってはレコード蒐集の師匠。
体の調子が良くないとは聞いていたけど、そんなに悪かったとは、、、回復されたらレコードのお話を伺いに行こうと思っていたのに。
大卒フレッシュマンだった筆者を、Eric Dolphyが好きだというだけで、とても可愛がって下さった。オリジナル盤の見分け方とか、ジャズ向きのオーディオ機器と調整とか、いろいろ教えてくださった。銀座スイングに連れていってもらったり、ゲッツやロリンズのコンサートにも同伴した。
師匠から誘われてお断りしたのは一度だけ、1984年のArt Ensemble Of Chicago来日公演。後日、NHK-FMで放送されたコンサート録音はメチャ良くて、それをお伝えしたら、『だから行くべきだったんだよ』と強い口調で悔しがられたのが思い出される。
師匠はCharles Mingusがお好きだった。
『ミンガスを聴いていると、力がみなぎってくる。』と仰っていた。Atlantic時代のレコードを指しているのだろうか。
ミンガス作品の中では最も過激で、ベースはDoug Watkinsに任せ、ピアノに専念している。激しい曲でも静かな曲でも、リスナーを挑発するような内容。
この曲なんか、師匠が好みそうな内容。
師匠はドルフィーとの共演盤もお好きだった。
師匠は本盤A面の、MDMという曲がお気に入りだった。
ガッツあふれる演奏。モロに師匠の影響を受けた筆者は、中古の日本盤を購入した。オリジナルに買い替えたのは15年くらいあとのこと。
師匠はドルフィーも大変お好きだった。思い返せば、筆者との共通点はそこしかない。
師匠のオーディオは、プリ/パワーともマランツ(球)、スピーカーはJBL(たしか4343)。プレーヤーはリン、アームはオルトフォン、カートリッジはSPU-GTEだった。筆者の好みとはだいぶ違うと思う。
64年の欧州ツアーはすべてお持ちだった。ミンガス/ドルフィーがお気に入りのファンなら当然でしょう。でも筆者の考えでは、本盤さえあれば十分だと思っている。
ミンガスは海賊盤を忌み嫌っていた。ミンガス自身が製作した本盤を聴くのが王道ではないかと。
とはいっても、Enjaとか音が良いから本盤を含めて4~5枚は残しているけどね。