cotasoさんのブログ -74ページ目

桜坂

店を出て

マンションまでの

帰り道

また桜並木を通った



『こんなに

良いお天気だと

歌でも歌いたく

なっちゃうねー!


♪~愛と知っていたのに~

春はやってくるのに~』



『えー!

桜坂?!(笑)

もっとパッピーな歌

あるでしょー(笑)

aikoの

【桜の時】とかさぁ』



愛は今も愛のままで



片方の愛は消えたのに

私の気持ちだけでも

それは愛と呼べるの?



涙が

こぼれそうになった



それを

悟られないように

全力で走り出し

大きな声で歌った



『♪~右手を繋いで~

優しく繋いで

真っ直ぐ前を見て~』



淳司が

恥ずかしいだろー

と笑いながら

追い掛けて来る



まだ追いつかないで



涙が横に流れて

消えるまで

心に刺さる

『美奈子ちゃんが

好きそうな

イタリアンが

あるから

そこでランチしようか』



そう言って

連れて行ってくれた

お店で

私たちはパスタを

注文した



『美味しい!

淳司は

私の好みをバッチリ

把握してるね!

100点満点!

はなまるです(笑)!』



『良かったー

ここは

プリンも美味しいから

デザートに

頼もうね』



優しい

本当に優しい淳司



周りからは

彼女想いの彼がいて

理想の恋人同士に

映るんだろうなぁ



だけど今はまだ

その優しさが

チクチクと

心に刺さって痛い



ごめん



ごめんね…

『桜が綺麗だねー!

うちの実家は

住宅街だから

家を出てすぐ

こんな景色が

見られるなんて

幸せー

でも

まだちょっと

寒いね』



そう言って

私はトレンチコートの

ポケットに

手を入れた



『えー

凄いあったかいじゃん

小春日和ってやつ?

でも美奈子ちゃんは

末端冷え症だもんね

女の子は

色々大変なんだなー

コンビニ寄って

ホカロン買おうか?』



『ううん

大丈夫!

それにもう季節外れで

売ってないんじゃない?

あはは!

ありがとね』








ポケットの手が

汗ばんでいる



本当は

冷え症なんかじゃない



淳司に手を繋がれた時

振りほどいて

しまいそうで

怖いからなの



嫌いなわけじゃない

むしろ

この人となら

幸せになれると思って

同棲まで決意した



だから

もう少し待って

好きなふりが

いつか

本当の好きに変わるまで