日銀は、環境事業など成長分野を支援する金融機関向け貸出制度を期限が到来する3月末以降も、延長する方向で検討に入る。利用額が3兆円強と高水準に達し
ており、資金需要を掘り起こす「呼び水」の効果があったと日銀は判断している。ただ、民間には「銀行間の金利下げ競争を助長している」との指摘もある。対
象事業の範囲の絞り込みなど制度見直しも議論する。
延長を検討する「成長支援貸出制度」は2010年6月に導入を決め、同年9月に資金供給を始めた。「環境エネルギー」など成長分野に融資す
る金融機関が対象で資金枠の上限は3兆円。昨年6月には中小企業やベンチャーの資金需要を掘り起こすため、在庫や売掛債権など動産・債権担保融資
(ABL)を対象にした5000億円の新しい貸出枠も設けた。
日銀が29日に発表した3月7日時点の利用見込み額は、3兆円の貸出枠部分が2兆9998億円、ABLなどを対象とした5000億円の枠は
891億円だった。3兆円の貸出枠は既に返済を受けた分を新たな貸し出しに回しており、累計の利用額は3兆5554億円に達している。
貸付期間は最長4年だが新規貸し出しの対象期間は今年3月まで。利用が高水準に達しており、日銀は3月12、13日に開く金融政策決定会合で制度を延長する方向で検討する。
ABLを対象とした5000億円の貸出枠は利用額が上限に達しておらず、受付期間を1年程度延ばして中小やベンチャーへの資金供給をさらに増やしたい考え。
3兆円の貸出枠についても、受付期間を延長する案が浮かんでいる。3メガ銀や地銀が成長分野向けのファンドを創設するなど「資金需要の『呼び水』としての効果があった」(日銀幹部)とみているためだ。
ただ貸出金利が年0.1%と低く、銀行間の金利引き下げ競争を招いたとの指摘もあり、貸出枠の拡大には慎重だ。3兆円の貸出枠は拡大せず、金融機関から返済を受けた分を新たな貸し出しに回して制度を定着させるなどの案がある。対象事業などを見直す可能性もある。
制度導入時には、物価や市場の安定という中央銀行の役割から逸脱し、特定分野に資金供給する「政策金融」に近いとの批判もあった。ただ白川方明総裁は2月17日の講演で、デフレ脱却には日本経済の生産性の向上が不可欠と主張し「中央銀行がなしうる貢献は、金融面から企業が新分野にチャレンジ
しやすい環境を整えること」と強調している。