政府は2012年度から、マンションなど民間賃貸住宅の空き家の改修を支援する。高齢者世帯の入居を受け入れることなどを条件に、手すりをつけるバリアフ
リー化や耐震化といった改修工事費の3分の1を補助する。国内の少子・高齢化が急速に進むなか、高齢者がより住みやすい環境を整えるとともに、増え続ける
マンションなどの空き家を有効に活用する狙いがある。
総務省の調査によると、公営と民間を合わせた全国の賃貸住宅は約2200万戸(08年時点)あり、このうち空き家の数は約410万戸と10
年間で100万戸近く増えた。民間賃貸住宅については、2カ所以上手すりをつけるか、屋内の段差をなくしてバリアフリー化した住宅は全体の16%にすぎな
いという調査結果もある。高齢者世帯の比率が高まるなか、高齢者や障害者が住みやすいマンションがなお少なく、需要と供給にギャップがあることも高い空室
率の一因とみられる。
今回、補助対象とする工事はバリアフリー化や、耐震改修などだ。空き家1戸当たりで最大100万円を補助する。年間1万~3万戸程度の利用を見込んでいる。こうした改修が進めば、高齢者や障害者が段差につまずいて転ぶなどの危険を減らせる利点がある。
60歳以上の単身または夫婦だけで住む高齢者世帯や障害者のいる世帯、18歳未満の子供がいる世帯の入居が、補助を受ける際の条件となる。
オーナーが賃貸住宅の経営を10年以上続けることも求めるほか、首都直下地震など大災害時に一部の空き家を被災者に開放することも必要とする。
政府は12年度予算に、民間賃貸住宅の空き家活用に向けて100億円を計上。所管の国土交通省が詳細を詰めていた。国交省は来年以降、補助対象の賃貸住宅のオーナーの登録制度などを法案化することも検討している。国交省は、複数年にわたって同様の補助を続ける方針だ。
政府は老朽化した公営住宅の改修については、社会資本整備総合交付金などで支援してきた。今回は民間賃貸住宅に限ってバリアフリーなどの改修を本格的に支援する初めてのケースになる。