前回の投稿からかなり時間が経過してしまいました。

私のクリニックは何故か月末になると予約がギチギチになりblog更新どころではなくなってしまいます。

 

手術は執刀が終われば、それで終了!というものではありません。

撮影した写真の整理や手術録の記載(これが凄く大切。時間がかかります)、復習と次の手術の予習を行います。

 

そうこうしていると・・・blogがおそろかに。。

申し訳ありません。。

 

 

はい、それでは前回の続きの内容です。

今回は「軟骨」についてです。

 

美容外科でドナーとして使われる代表的な軟骨は

①耳介軟骨

②鼻中隔軟骨

③肋軟骨

の3種類でしょう。

 

それは何故か?!

採取が行いやすく、採取してもダメージが少ないからです。

 

軟骨はそれ以外にも

関節の軟骨や気管(喉)にもあります。当然、これらは採取ができません。

 

軟骨を移植する美容外科手術は、主に鼻整形でしょう。

それ以外には、ハムラ法などで外反した場合の修正などにも使います。

形成外科領域では関節の再建などにも使いましたね。

 

 

①耳介軟骨

耳の裏側から採取します。

 

 

この部分(耳甲介と言います)から採取することが多いです。

 

耳介軟骨は最も採取しやすい軟骨です。

局所麻酔で10〜30分で採取できます。

ですので、最も頻度が多いドナーです。

 

性質としては、厚さはそこそこあるが柔らかく支持性は少ないです。また、採取できる量は大きくないです。

つまり、補強や延長支持としては弱いと言うことです。

 

鼻先の形の調整などに適しています。

 

 

②鼻中隔軟骨

 

左右の鼻腔の間にある軟骨です。

全て採取すると鼻の骨組みがなくなってしまうので・・・

下のイラストのように中心部を採取してL型に残します↓

※美容外科手術手技 鼻形成術 参照

 

実際にはイラストのように軟骨だけ切除するのではなく、後方の篩骨垂直板と下方の鋤骨(じよこつ)も同時に切除することが多いです。

骨は移植には使えませんが、鼻の通りの改善のために骨も一部切除します。

 

 

鼻手術の際は、同じ術野から採取できるというメリットがあります。

ただし、採取にはコツが必要です。

軟骨膜という軟骨を覆っている膜を丁寧に剥がして採取する必要があります。

軟骨膜を破ってしまうと出血し、鼻中隔血腫というトラブルにつながります。

鼻中隔血腫は最悪の場合、感染したり鼻中隔穿孔と言って穴が開くことがあります。

 鼻中隔穿孔になると呼吸で鼻から音が出てしまうことがあります。

 

私は全身麻酔で採取します。局所麻酔でできないことはないですが、、、想像すると恐ろしいです。奥の方は麻酔が効かない(耳鼻科医によると)そうです。

 

軟骨の性質しては薄くて、強度がそこそこある。採取できる大きさに個人差が大きいです。

つまり支持軟骨として向いています。ただし、合併症がそこそこあるので慎重に行う必要があります。

 

 

③肋軟骨

胸から採取します。

全身麻酔が絶対に必要です。

 

採取の技術としては鼻中隔軟骨よりは簡単ですが、気胸を起こすリスクがございます。また、肋軟骨の周囲には肋間動脈(静脈)という太い血管があり、これを痛めると大出血します。ですので全身麻酔でないと危険です。

 

 
軟骨の性質としては硬さがあり軟骨のボリュームが鼻手術に使う分には無限大にあると言って良いほど沢山採取できます。
 
難点は、時間が経つを反ってくる(曲がってくる)ということです。
この反りを計算して使用するか、反らない方向で使うかの2択です。
 
 
<まとめ>
 
イメージとしては
鼻尖縮小&形成⇨耳介軟骨
軽い鼻中隔延長⇨耳介軟骨or鼻中隔軟骨(+耳介軟骨)
鼻中隔延長(そこそこの変化)⇨肋骨軟骨
といったイメージです。
 
日本人の場合、元々の鼻の軟骨が小さく強度が弱い方が多いです。
この場合、肋軟骨が最初に選ばれるケースも珍しくありません。
 
また、修正手術となった場合も肋軟骨を使用せざるおえないケースも多いです。
 
 

 

わからないことやご質問がある方はコメントやメッセージをください。

TwitterやInstagram、クリニックのHPなどのリンクはこちら↓

https://lit.link/theracergo