想像以上に暗い部屋で破壊された太陽の模型

星の種類が厳選されたプラネタリウムが動く

窓には下界を遮断するように結露が現れ

幸福の常套句は届かない構造だ

 

南京錠付きの日記で頭を殴られた日

気絶したふりをして君が落とした鍵を盗んだ

助けようとは思わない

ただ君の瞳の煌めきが忘れられなくて

閉ざされた言葉を読み返した

 

光を探していて

希望を太陽の熱で爆破させた

その残骸に美しい記憶が埋め尽くされ

終いに太陽を恨み破壊した

 

空白の椅子取りゲームを照らす明かり

思い上がりに湧き立つ焚き火の炎

夢に燃える人々の情熱の模様

暗闇で見るあの一筋の光

 

灯りの骨組みは誰もが描く太陽の形

私は世界を少しだけ嫌った

君の日記に再び鍵をかけて

 

 

 

 

 

ひび割れた青空に敗戦の弁を聞くようだ

乾いた葉巻を咥える真似をする大人達は

幼心と弱き心を葬るかの如く演じる

 

恋をしているときの花屋で過ごすようだ

鮮やかな花束を抱える満面の笑みときたら

人間の感情に恨みなどないと錯覚してしまう

 

泣き出したいのさ

誰よりも大きく

得体の知れない不安に対して

詩になりたい言葉の切れ端の倒置法

楽曲になりたい交差点の口笛の音符

デモ隊の講義が終わった後のサイレン

未来は誰かが変える物ではないんだと感じる

 

不確かさ

不確かさこそが社会の原動力なのだと

青空は語る、花は語る

元気いっぱいのダイオキシンも、放射能も。

 

 

 

 

 

柔らかな日差しが厚着を剥いで

卒業証書を手にする頬はパール色

合格発表の掲示板に未来を感じたら

出会いと別れの演劇の幕開けだね

南極の氷河は崩れ落ちていくのに

私たちの生活は恒久的な平和

疑いの目は世界じゃなく普遍的な偽善

冬枯れの木が蕾を持ち始めると

春を待つ息吹が真珠のように存在すれば

自然に還らぬプラスチックごみは地球の心の形

誰かが放つさよならが永遠の別れだとしても

不思議じゃない春の風は時折嫌らしく感じる

自転車が車に負けじと走り抜ける

踏切の向こうで大人になる少年少女

漠然とした不安の池が解氷される頃

辺りに集う白鳥の群れに舞う粉雪はパール色

 

 

 

 

 

憂鬱が理解されるのなら

孤独な口を塞ぐ冷凍食品が溶け出すだろう

誰にも見せない表情が好きだ

白い日記が創り出す世界

最後に見る夢はやっぱり

優しさに追従した物語が良いな

心の奥の方をえぐる

闇の正体を暴くのは御免だ

 

感情って何だろう

たとえば君が僕を好きと思う気持ち

勘違いだとしても心房細動を刺激する

この小さな揺れから地球が産まれたとすれば

僕の生命も少しは誇れる物だろう

 

都会という電磁波に支配されているから

悩み事はいつも昼夜逆転して巡る

会えない時の言葉を恋文にまとめても

愛する顔が歪になってしまう

美しいふりをする太陽に何の未練もないよ

 

 

 

 

 

虹が七色しか見えないのは

瞳の中のパレットが足りないかららしい

心の中の引き出しが足りないかららしい

 

赤色 信号機の色か サイレンの色か

橙色 蜜柑の色か ガーベラの色か

黄色 雛の色か バナナの色か

緑色 草原の色か ピーマンの色か

青色 海の色か イルカの色か

藍色 朝焼けの色か クジラの色か

紫色 葡萄の色か ラベンダーの色か

 

それぞれの色の中に

また色が広がっているらしい

俺の色を無くしているのは何か

眩しすぎる街の灯か

暗すぎる闇の帳か

白黒つけたがるこの資本主義の策略か

 

 

 

 

 

煌びやかな若い日の夢は食卓をか細くさせる

憧れたバンドの解散コンサートの映像は

エンディングが終わった途端に記憶の遺灰と化す

夢が必ずかなうなんて、大嘘だ。

とはいえ、幸せの型から外れている訳ではなく

都会の人口を忘れてしまう程の友人はいるが

会えば思い出の引き算をしあって

共に過ごす回数は減る一方だ

 

常套句で開ける幾つかの扉の向こう側

分別の効いた笑顔が待ち構える

ため息ひとつ吐いたらもう窓を全開にしたくなる

楽園にでも行ってみたいな

 

明ける夜毎に募る想いを経験値と云うのなら

私はゲームの主人公で今、相当なレベルに達しているだろう

最後のボスは天国に行かないと戦えないと攻略本に書いているから

「人間は嫌いだ」と黄昏に笑う、結局。

 

 

 

 

 

運命が目に見えるのならば

満員電車で書いたラブレターが

誰かの心の扉に挟まって

終着駅で恋に落ちるだろう

三大夜景では場所が足りなくて

町ごとに幸せの鐘を鳴らす

デートスポットが創られるだろう

結婚式場も一年後まで予約が埋まり

聖なる愛を毎日唱える神父に見慣れるだろう

 -恋をした時の運命はいつだって都合が良い

 

誕生日ケーキのロウソクが

寿命の長さに見えるのならば

生きる事を可視化した運命であり

目に見える事で誰もが幸せになれるかと言えば大間違い

流れ星に願い事を託したつもりが

宇宙の塵が肉眼で見えただけだったのは

夢が儚い事を可視化した運命なのである

 

運は慣性に好かれるから

靴が片方脱げたまま目的地に辿り着いても一日が終わるけど

命は感性に導かれるから

靴がなければ痛みを抱えたまま一生が終わるね

(私に関わる全ての人々が運命である事を歓迎できたなら

 問題はより簡素化されるはずなのだが)

 

 

 

 

 

世界中の人と知り合えたとしても

私、孤独の一塊に分類されていて

一目惚れをして恋に落ちても

話題は決まって天気のお話

まるでタクシードライバーね

それならいっそ「孤高を目指す」と

絵馬にも書いてみたものの

飾った横の願い事を見て

神さまにも本音を言えないのでした

義務教育に「喋り」の授業があったなら

私も人並みに話せる事が出来たのかなと思う

相変わらずの他力本願が

食べる口だけを大きくしてしまう

 

明日から大声で挨拶してもようと

心変わりをしてみたら

知り合いを驚かせてしまうのかな

それより自分の心に太鼓の名人が現れて

私の自我が崩壊するだろう

わかっているから幸せ者なんだ、納得する

 

自分の殻から抜け出せないのか

それとも自分を守っているのか

愛する事が世界を救うのなら

自己愛だって同意義だろう

お喋り好きな人は私と真逆の自己愛だ

誰も不幸になんてしていない

 

君が好きだから、ダメなんだ

明日の天気はなんだろうな

 

 

 

 

懐かしさ催す持ち慣れたお盆で

恒例のオーディションが開幕する

 

いきなり出くわした荒くれ新参者はチーズとんかつだ

功労者の貪欲な姿勢に早速目を見張る

連覇を狙うハンバーグは今宵もアピールせずに人気だ

常連のからあげや焼魚も返り咲きに虎視眈眈

風が運ぶ野の香りに誘われ小鉢部門へ

彼らの色彩は定食の名に華を添える

おひたしに時の儚さを感じながら

カレー ラーメン 丼ものが奇襲をかける

火花を散らす厨房の音が刺激的

 

 店の扉を開ける前の青写真は忘却の彼方

 いつのまにか本能の下絵にすり替わっている

 昨日の絵画は満員電車の形相だ

 

大ベテラン、肉じゃがの微笑みは

何故か自然に泣けてくるべや(方言)

玉子焼きは悟りの世界

味噌汁の匂いが謎に目に染みて

幼心の蕾が咲こうとしている

 

お腹の号令が響き渡れば

誰よりも大きないただきますに

新たな歴史を刻もうとしている

 

 

 

 

 

 

薔薇よ、バラよ

気品重んじて咲く姿に突き出す棘の鋭さは

柔らかな花びらに対峙する想いのあらわれかな

世界中のどこかの誰かの愛に添えて

貴女には多くの水が必要だと存じております

 

梅よ、ウメよ

寒空に屈せず絶え抜く姿に纏う仄かな香りは

凛と構えた高潔な想いのあらわれかな

忠実な言葉に身を潜め朽ち果て

貴女には細かな手入れが必要だと存じております

 

桜よ、サクラよ

微熱の様な春の陽気に花舞う淡色は

祖国を誇る純心な想いのあらわれかな

人々を雲の上に誘いもてなし

貴女には散りゆく美学も必要だと存じております

 

向日葵よ、ヒマワリ

強烈な日射しに立ち向かう果敢な振舞いは

崇拝と情熱な想いのあらわれかな

夏の終わりに俯く姿にも

貴女には羨望の眼差しが必要だと存じております

 

咲く花にひとつ想いを馳せて

散る花にひとつ歳を重ねる

私は幼さから遠く離れて

広い大地へと巣立ってしまった

 

椿よ、ツバキよ

遥かな願いと反比例する気取らない美しさは

誰もが持つ心の想いのあらわれかな

原色の世界に鮮やかさを与える

貴女には少しの狂気も必要だと存じております