言葉の成長期に差し掛かった夜明け

難しい単語を並べては優しさが吸い取られそうだ

歯車の異音に気づいて24時間営業のコンビニで闇の一部になる

電話は熟睡している、日中の疲れを代わりに背負って

 

帰り道に時間軸を過去に設定したら

ポケットから胃薬が出てきた

その顆粒は棘のある言葉を包んだ、柔らかな思い出を包んだ

消化できない物事がこんなに沢山ある世界を憎めば

心は強くなるのかな

逆説を信じたい、悪口は己の価値を下げると

私は慣性の法則に従って歩いているようだ

昔、授業で習った公式が人生だ

車の明かりが通り過ぎる度、古ぼけた記憶を投げつけてみると

歩道の隙間から雑草が生えている

昇る朝日に向かって背伸びしている

 

感情が産まれる瞬間に立ち会える事が

もしかしたら本当の勇気で、本当の愛で、本当の幸せではないかと

心が理解しはじめたときの事を思い出させてくれた胃薬を

薬局で今、買おうか迷っている次第だ

 

 

 

 

 

青信号で立ち止まってみたら世の中が見える

旅先の別れの言葉とは比にならない程

感情を無くす事は死ぬ事よりも切ない

言葉は猜疑心に包まれて運ばれる

この街が完成する前には樹木も同じだった

寿命を待たず倒れた彼らは人の暮らしを創った

文明は当たり前の制度の下に育つから

煙になって、遺灰になって、歴史に沈むだけ

 

信号機のない世界なら人の本性が見える

理性が働く三色の彩りは神様が与えた優しさ

熟れた果実が地面に落ちる様に

不条理は交差点に染み込んでは掃除され消える

真夜中、独り歩く君の為に照らす灯に

大人の涙が降りかかるかもしれない

 

 

 

 

 

湯呑みの傷を一つずつ眺めていると

味蕾のせいで薄く感じるお茶に茶柱が立った

日毎遠のく空に叶わない夢の足取りは軽く

何度も見た映画に青春の鼓動を点滴が奏でる

花瓶には白い花を挿す事が増え

花言葉は大抵幸せを添える言葉の群れ

親孝行とか振り返ってみると

傷口がないのに身体は痛み始める

ベッドのシルク(絹)が愛しすぎる

 

昨夜の少し悲しい夢はいたずらに

枕元を濡らし始めました

欲望は無限に在る事を憎む真似はもうしないよ

心の強度と骨の硬度を知る術はなかった

私を助けてくれた動物の生命の様に

私の生命も誰かを救う事は出来るのかな

 

人生を語ろうとする時

言葉はまるで鉋で削った様になる

走馬灯は光の羅列と化したから

関わる総ての人々へ手紙を残す必要はない

 

大きな欠伸をした後で

思わず噎せ返ってしまった

両親の涙は透明な河を流れて行くから

水面を戯らしてみようと思うよ

そうすれば幸福死の実現に向けて準備は整う

 

 

 

 

交差点で吹いた口笛の音符が

通り過ぎる車に奪われて信号が変わる

道行く人が皆泣いていたならば

声をかけざるを得ないだろう

街宣の音は沈黙を嫌う都会には

必要不可欠なもので

囁くような悩みなど恋に落ちない限り

かき消されてしまう

嚙み合わない歯車が必死に回ると

寿命の意味を考え始める

 

夕焼けは虹を6色盗まれた空だから

取り返そうと思う気持ちが夜に向かうんだね

1色だけ残して去ったのは人の情けなのか

見つけてくれという果たし状なのか

盗人にだってある幼少時代

子供の頃に出会えたら友達になれたのかな

未完成の口笛吹いて

「また明日」なんて希望叫んで

 

紐で固く結んだ孤独が成長する中で生まれた優しさは

使い勝手が良いから残酷な感情を創り上げる

浅い眠りから醒めて見た青空も

誰かが虹を6色盗んで去ったと思うと

孤独の種が育んだ高層ビルが今日も歌い始める

 

 

 

 

 

一日は扉を開ける事から始まる

挨拶をする前に

人と接する前に扉がある

服だって扉の一部だ

普段着になる時

仕事着になる時

朝日を浴びながら感情を解き放つ

それが旅先でも友達の家でも同じだ

 

そして口を閉じ服のボタンを閉める

出発時には必ず扉を閉める

人はこの開閉の行為を呼吸と同じ頻度で行う

それは開けたままと閉めたままの世界線が同じだからなのだろう

扉を開けたままにすると招かざる者が侵入し

大事なものを奪われかねない

閉めたままにすると誰かに扉を破壊されるか

自分自身で何重にも鍵をかけ出られなくなってしまう

 

木の扉、アルミニウムの扉、プラスチックの扉、鉄の扉

犬小屋の扉、鳥籠の扉、物置の扉、棚の扉、金庫の扉、心の扉

全てが同じ世界線なのだ

互いに背を向けるからこそ開閉出来る仕組みなのだ

 

もうすぐ夜が明ける

太陽も空のどこかで扉を開けてやって来る

その時月はどこかで扉を閉める

 

 

 

 

 

大好きなんて言われると

魔法の様に、嘘の様に(騙されているみたいに)平和を祈る

言葉の秘密基地から狼煙が上がっていて

口びるの傷跡から出る言葉は

明日にでも天変地異が起こりそうな単語だ

経験の名が付く引き出しには整理整頓された感情が並べられ

迂闊に手を出す事は出来ないはずなのに

 

嬉しいと哀しいがシーソーで遊んでいる

がたん ごとん

その音は故郷に帰る列車に似ている

擬音語の引き出しを赤ん坊が見つけた

僕は赤ん坊を抱き上げて雲が流れるのを見ている

この前まであった憂鬱な気持ちに後ろめたさを感じた

擬態語の引き出しを少年が見つけた

つるつるした夢は宝石みたいにきらきらしていれ

思わず少年とジャングルジムで遊んだ

この前まであった失望は青空へ飛び立った

 

大好きだってまた言われた

夕日に向かって手なんか繋いでいると

みんなに秘密基地の場所がばれてしまいそうだ

 

 

 

 

 

テレビがずっと過去の番組の再放送なら

私が歳を取ってもアイドルは永遠の二十歳

ブラウン管を消した後の残像のまま外へ出れば

可愛いさ振りまきながら舞い踊れる

 

電子レンジにて偏りがち食事のターンテーブル

スマホにて趣向に合いすぎた動画のストリーミング

プラズマに刺激された孤独は寂しさを容易に壊せる

都会の夜景はどこもありきたりだ

モニターひとつの心の世界

無視したらもっと素直になれる、君に優しい朝が来る。

 

 

 

 

 

緻密な計画で高度な夢を叶えようとすると

絶妙な絶望に幼気な感情が騒ぎ立てる

根拠のない自信に縋り付くのは革命の一つだ

かつて火炎瓶が飛び交ったこの場所は電波で犇めき合う

時代はあらゆる物の形を変える、トイレは綺麗になった

 

海の向こうに憧れを抱く時

この島国が小さく見える謎に

文化は徐々に歴史に葬られ始めている、英訳を添えて

日本語は8時間労働で英語は24時間営業のコンビニエンスストア

でも誰もが回顧する祖父母宅の記憶に革命は起きない

 

安易に孤独になれる時代に物価高と二酸化炭素

暇が創造する偶像に堕ちゆく日々はエンタテインメント

友人が賃金の上昇を求めて行う転職活動の話

革命を見るより私は海を見ていたい、青空が溶け出す程

 

 

 

 

 

想像以上に暗い部屋で破壊された太陽の模型

星の種類が厳選されたプラネタリウムが動く

窓には下界を遮断するように結露が現れ

幸福の常套句は届かない構造だ

 

南京錠付きの日記で頭を殴られた日

気絶したふりをして君が落とした鍵を盗んだ

助けようとは思わない

ただ君の瞳の煌めきが忘れられなくて

閉ざされた言葉を読み返した

 

光を探していて

希望を太陽の熱で爆破させた

その残骸に美しい記憶が埋め尽くされ

終いに太陽を恨み破壊した

 

空白の椅子取りゲームを照らす明かり

思い上がりに湧き立つ焚き火の炎

夢に燃える人々の情熱の模様

暗闇で見るあの一筋の光

 

灯りの骨組みは誰もが描く太陽の形

私は世界を少しだけ嫌った

君の日記に再び鍵をかけて

 

 

 

 

 

ひび割れた青空に敗戦の弁を聞くようだ

乾いた葉巻を咥える真似をする大人達は

幼心と弱き心を葬るかの如く演じる

 

恋をしているときの花屋で過ごすようだ

鮮やかな花束を抱える満面の笑みときたら

人間の感情に恨みなどないと錯覚してしまう

 

泣き出したいのさ

誰よりも大きく

得体の知れない不安に対して

詩になりたい言葉の切れ端の倒置法

楽曲になりたい交差点の口笛の音符

デモ隊の講義が終わった後のサイレン

未来は誰かが変える物ではないんだと感じる

 

不確かさ

不確かさこそが社会の原動力なのだと

青空は語る、花は語る

元気いっぱいのダイオキシンも、放射能も。