前回から続く。
2026年1月5日の仕事初めの朝、原付バイクに轢かれるという事故にあった。
MRIを撮って1週間後に整形外科を受診することにしていた。予定の時間よりかなり早く到着したが、私の番号は予定の時間より10分ほど遅く呼ばれた。診察室に入ると、その日予約していた膝の専門医である若い男の先生はMRIの画像を見ながら「靭帯損傷ですね」と言った。過去に膝を痛めたことはないか?スポーツは何をやっていたか?などという質問をしながらモニタに映る画像を上下に動かしている。
ランニングやロードバイクに乗っていること、夏は水泳もやっていることを伝えた後に、きちんと治したいという意思を伝えた。要は手術してでも元の状態に戻りたいということである。靭帯が伸びてしまったあと、そのまま放っておくと膝のぐらつきが出るといわれている。ケガをする前までは正常に靭帯が機能しており膝を曲げたり伸ばしたりできていた。走ったりジャンプしたり急な方向転換をしても、それをうまく制御するひとつの役割として靭帯があったのだ。
しかしそれが伸びてしまうとどうなるか。走ったり止まったりする時にピタッと来るはずである膝の関節が、伸びてしまった靭帯のせいで制御されずにカクンと膝崩れを起こしてしまうそうなのだ。そうなるとまた変なはずみで靭帯を痛めたり、膝の他の部位を痛めてしまう可能性があるのだ。調べてみると現にそのような人はたくさんいるようである。
『前十字靭帯も少なからず損傷しているようです。しかし、手術するとしても怪我をした日から3カ月以降でないとダメなんです。腫れたり、血が溜まっていたりと、症状が落ち着かない状態で手術をすると逆に悪くなってしまうからです』
先生はそう言って私の顔を見た。
「3カ月ですか。私の仕事が一番忙しくなる時ですね」
残念そうにして私がそう言うと先生が答えた。
『3カ月以降ですから、半年後でも1年後でも大丈夫ですよ。今日も腫れが酷いので、ひくまでもう少し待って今一度診察しましょう。また2週間後に来てください。そこでいろいろと考えましょう』
なるほど、確かにそうだな。仕事が落ち着いてからゆっくり治療した方がよさそうである。2週間後の診察予約を取ると自宅から少し離れている病院からタクシーで帰宅した。
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翌日。この日は歯医者に行く日である。事故の衝撃か何かで上の前歯が一本、ちょうど真ん中から綺麗に折れてしまったのだ。担当のふくよかな女医さんに初診の際、セラミックの差し歯が良いと提案されたので言われるがままにお願いした。どうせ相手の保険で治すのだから先生の言うとおりにするのである。
待合室に座っていると名前を呼ばれたので一番奥の診察台に座る。スタッフの女性に小さなカップに溜まった水で口をゆすぐよう言われたのでその通りにする。その後すぐにやって来た、ふくよか先生は挨拶も早々に治療の体勢に入った。
「先生、今日借り歯は入りますか?」
前回の診察から1週間、私は世界中の人々から「歯抜けジジイ」の称号を与えられ、その名をほしいままに過ごしてきた。なのでそうならないように伏線を張ったのだ。
『借り歯ですかー。3300円かかりますが大丈夫ですよ』
ふくよか先生は少し面倒くさそうにそう言った。
『今日は歯を削って差し歯の土台を作ります。その後、借り歯を入れますね。では椅子を倒します。』
せかせかとふくよか先生がそう言い終えるとウィーンという機械音と共に背もたれたがフラットになって行く。そしてそれが停まった瞬間、私の目の上にガーゼがかけられたのだが、それと同時にふくよか先生が言った。
『麻酔しますねー』
チクーーーッ。痛っ!
あまりにも唐突で気持ちの準備も何もできていない状態なのに麻酔の針が鼻の下あたりの歯茎に容赦なく刺さって来た。人気の歯医者なのだろう、1人にかける治療時間が決まっているので、そのようになるのだろうと考えながら「キンキン」というあの嫌なドリルのような音を聞いた。
10分ほどかけて私の前歯が削られた。ふくよか先生がいなくなったタイミングを見計らって自撮りで写真を撮ってみたが本当に情けない歯抜けジジイ日本代表のような顔になってる。その後、粘土のようなもので歯型を取り、かみ合わせを調べ、歯の色を合わせるための写真を撮った。少し出っ張り気味になったが借り歯も無事に入った。ふくよか先生に礼を言って診察室を出ると会計を済ませる。今回からは相手の保険会社が支払いしてくれるというので、前回払った分が返って来た。次の治療で綺麗な歯が入って歯の方は完了のはずである。次回の予約を取って帰宅の途についた。
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事故から2週間以上経ったのだが、やっと膝の腫れが落ち着いてきた。落ち着いたといってもまだ腫れているし、痛いので完全に曲げることはできない状況である。来週の診察までにどれだけ回復するか?といったところだ。
そして歯。こちらなのだが、どうも折れた歯の横の前歯が縦にひび割れているようなのである。一見すると分からないのだが、手で触ると段差ができておりザラザラしていて、よーく見ると縦に筋が入っているのが分かるのだ。やれやれなのである。次回の診察の時に診てもらおう。
事故は本当に怖いものである
これからは青信号でもすぐには進まず、渡らず
「かもしれない運転」ではないが「かもしれない行動」をとるしかないのだ
交通ルールを守らない人が一人でもいれば、そうするしかないのである
自分の身を守るのは自分しかいないのだ
柄にもなくまっとうなことを言ったぞ
やるでないか、私
あれ?
そうすると、、、
なんとなくだが
明日は酒が飲めないかもしれないぞ
ムムッ!
ビールをこよなく愛する皆さま
であるからして
やっぱり今宵も
キンキンに冷えたビールで
乾杯ッ!
なのである。
ムフフフフ。
