前回から続く。
1月5日の仕事初めの朝、原付バイクに轢かれるという事故にあった。事故現場を離れる際、救急車の中で警察官からメモ書きを貰っていた。内容は、とりあえず診察などが落ち着いたら一度連絡をするようにというものである。そして現場に来た警察官の名前と事故の担当者、警察署の連絡先や事故に遭った際の対応手順なども書かれていた。
事故の当日、折れた歯の治療のために行った歯医者から帰宅したタイミングで、そのメモの事を思い出した。なのですぐに警察署に連絡することにした。担当者につながると、まずは怪我の状況を聞かれた。診察の結果を淡々と伝えると、動けるようになったら警察署まで調書を取りき来てほしいという内容だった。そして、気になる情報も貰った。事故の相手の連絡先である。現場では誠意を持って対応しますと言っていたそうだ。今日か明日には連絡があるだろうとのことだったので、その番号から着信があったら出るようにと言われた。
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翌日、救急搬送された病院の予約を取っていたので向かうことにする。妻が仕事を休んで送迎してくれることになった。10時30分の予約にちょうどの時間で到着すると、妻はいったん帰宅することにする。診察の時間が読めないので、おそらく結構な時間がかかるだろうと予想したからである。そしてその予想はしっかり当たった。
待合室で松葉杖を椅子に立てかけ、曲がらない膝を投げ出していると結構場所をとってしまう。午前中の診察時間は男女の大先輩方が大勢いる。車いすを使う人や脚の怪我をしている人も多いので、できるだけ邪魔にならない場所を選んで診察を待った。1時間ほど待つと私の番号が呼ばれたので診察室に入る。
若い男の先生がニッコリ笑いながら状況について質問してきた。事故に遭ったことと、膝が非常に痛い事、息子が3か月前にした怪我の状況と非常に似ていることを丁寧に説明した。ベッドに横になるよう言われたのでその通りにすると、触診が始まった。曲げてみたり捻ってみたりと丁寧な診察なのだが何をやっても痛い。
「痛くてこれ以上曲がりません。イテッ、そこも痛いです。」
そんな返事くらいしかできないのだが、先生は、うんうんと頷きながら何かを決めたようだった。
『MRIを撮りましょう。今日は撮影だけで診察は来週、専門の先生に診てもらいます。もしかしたら前十字靭帯をやってるかもしれないですね。もしそうだったら手術になります。』
マジか。サッカーをやっている息子ならまだしも、私が前十字靭帯をやるなんて。そんなことを頭の中で考えながら先生と看護師さんに礼を言って診察室を出た。MRIは午後からしか予約が取れないとのことなので一旦帰宅することにする。慣れない松葉杖歩行や脚の痛みに耐えながら待合室で少しずつ姿勢を変えたりするのに疲れてしまったのである。妻が迎えに来る時間がないというので、タクシーで帰宅すると、ソファに横になり少しの間仮眠をとった。
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MRIは毎年の健康診断で撮っているので勝手知ったるものである。時計や指輪など身に着けている金属類を外すと準備万端なのだが撮影用のベッドまでは結構な距離がある。看護師さんが車いすを使うよう勧めてくれたので遠慮なく甘えることにした。ベッドに横になると看護師さんが私の膝の角度を少しずつ変えて、撮影にちょうど良いポジションにしてくれた。そして最後にひと言、にわかに信じがたいことを言った。
『撮影は30分です。動かないようにじっとしていてくださいね。』
な、なんだって?今まで私が経験したMRIは長くて20分ほどだった。痛みに耐えながら30分間も動かずにじっとしていろなんて拷問そのものではないか。笑顔をかなり引きつらせながら返事をすると、一人ぼっちの撮影室にヒュンヒュンというMRIの機械音だけがこだました。
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何とか我慢して撮影が終わった。書類をもって会計に向かう。名前はすぐに呼ばれて窓口の女性職員が私に質問した。
『交通事故だと思うのですが、相手の保険屋さんとは連絡が取れていますか?』
「いえ、まだなんです。」
『そうでしたか。次回の診察までに保険屋さんと連絡が取れなかったら、いったんcornさんの方で全額立て替えていただく形になります。現時点で10万円ちょっとになります。』
ムムッ。なるほど、そういうことか。
「わかりました。ありがとうございました。」
病院を出ると薬局に行って処方された痛み止めをもらった。妻が迎えに来てくれたので、すぐに車に乗り込む。昨日、事故の相手からは連絡がなかった。もし、明日まで待って連絡がなかったら、こちらからショートメッセージを送ろう。頭の隅でそう考えながら帰宅中の車内で妻と会話した。
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そう言えば警察署へ調書を取りに行かなければならなかった。週末の午後は仕事も落ち着くのでその時間にしよう。警察には日程が決まったら事前に連絡を入れるよう言われていたので電話をかけた。警察に電話するのはあまり良い気はしないものであるが、私は今回被害者なので仕方ない。電話がつながると名を名乗り用件を伝えて担当者に代わってもらった。
「金曜日の午後に伺うのでよろしくお願いします。そういえば、まだ相手から連絡がないのですが、こんなものなのでしょうか?」
せっかくなので相手の状況を確認してみた。
『ああ、そうでしたか、こちらの方からも連絡してみますね』
有難い返事が返って来た。直接私から連絡するよりクッションが入ったほうがお互い良いだろう。
警察との電話を切ると1時間ど経った頃に事故の相手から連絡があった。謝罪の言葉、私の状況についての気遣い、警察が私の連絡先を間違えて伝えていたので連絡が遅れたこと、保険会社にも間違った連絡先が伝わっていることが一方的に話された。最後に今一度、謝罪の言葉で締めくくられ、何かの営業ではないか?と思うような電話が切られた。
そして、その後すぐに保険会社からも連絡があった。事故の状況を説明すると相手が話している内容と齟齬があるような感じだったが、私の説明をきちんと聞いてくれた。松葉杖をついて歩けないことや、最悪手術になる可能性がいあることなども伝えると、申し訳ないが進捗があるたびに都度連絡を入れるようにということを聞いてこちらの電話も切った。今後の病院への支払いは保険会社で対応するとのことだったので、とりあえずひと安心である。
膝の状況は本当に少しずつ良くなっているといった感じである。事故に遭ってから今日でちょうど1週間が経つのだが、まだまだ膝は腫れているし、きちんと曲がらない。明日、休日明けの火曜日が専門医による診察の日なので、そこである程度今後の予定が立つだろう。なんだか複雑な気持ちが続く2026年の年明けなのであった。
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というわけで明日、判決が言い渡される。
最悪、手術という運びになるのだが、手術が避けられたとしたらどうなるのかが不明である。
さて、どうなることやら。
私の未来
まぁ、ゆっくり酒でも飲みながら考えるとしよう。
ビールをこよなく愛する皆さま
であるからして
やっぱり今宵も
キンキンに冷えたビールで
乾杯ッ!
なのである。
ムフフフフ。
