前回から続く。
夢のような至福の一夜を過ごしたT川氏と私は、昨日と打って変わって清々しい青空となった晴天の朝に迎えられた。
この日も計画があったので10時のチェックアウトを待たずに老舗旅館をあとにした。
素晴らしい想い出を記憶に残してくれた新発田の街中を通り抜け、聖篭新発田インターから高速道路へと乗り込んだ。
広い空に力強い雲が広がる。東京では見ることのない景色に目を奪われる。目を奪われるのは私だけにしておく。運転手のT川氏が目を奪われたときは命を奪われるだろう。恐ろしや。ズンズガと進み、巻・潟東インターを降りて目的地を目指す。
北の土地にも春のさわやかな風が吹いていた。実際には非常に寒いのだが、、、
それにしても景色が素晴らしい。ドライブ日和に恵まれて気分もアゲアゲである。
その昔、家族と訪れたことのある弥彦山。ふもとに弥彦神社があり、山全体が信仰の対象になっているような話を聞いた。頂上にはちょっとした遊園地があり、ロープウェイに乗って上ることができる。子供を連れて行っても飽きさせない良いところだった。当時、ちょうどテレビの情報番組の撮影をしていて、息子がシレーッと映り込んだ番組の録画を今も待っている。懐かしい。
道の駅 SORAIRO国上に寄った。この街は良寛という有名な僧侶の生地が近くにあるようである。テレビ東京のなんでも鑑定団でよく聞く名前の僧侶だ。
道の駅を出て、目的地を目指す。雰囲気の良い鉄橋が見えた。この辺りは鉄橋が良く目につく。北国の河口近くだからなのだろうか。この旅では何度も似たような景色を見た。
やって来ました。本日の第一目的地。通称魚のアメ横、「寺泊漁港」だ。私は過去に一度来たことがあるのだが、子供が小さい頃でササッと見て帰ったのでこの写真の雰囲気くらいしか記憶になかった。
T川氏がこの店を見て見たいということだった。東京の街にもある「角上魚類」の本店だ。魚のことは私も気になるので喜び勇んで乗り込んだ。道路沿いに横長く鮮魚店が立ち並ぶ独特の商店街である。店先ではサバの丸焼きや貝のバター炒めなどを炭火焼にして売っている。歩いているだけでイイ匂いが嗅覚をマヒさせるほど刺激してきて食欲がそそられる。ヨダレをたらしながら目を白黒させて歩いている私達は異様なオーラを出しながらウヒョヒョと見学した。
ムムッ!ブリではないか!あー食べたい。丸かじりしたい!しかしこれを買って帰っても食べきれないだろう。その前に持って帰る術がない。
各店の二階は食堂になっていて、新鮮な魚介類のご馳走メニューが並んでいる。露店に並ぶ炭火で焼かれたお魚、貝達の強烈な誘惑に打ち勝ち、漁港を後にする。私達には次の目的が待っているからね。ここはぐっと我慢のcorn達なのだ。グフッ。
ゆっくり海が見たくなったので近くの漁港にある公園に車をとめた。素敵な景色だ。私が住む町の近くには海がないので、あたかも非現実的空間に紛れ込んだような、頭の中がふんわりと心地よい混乱に包まれた。凪の内海は心を落ち着かせてくれる。
このあと車を走らせ出した途中、ガソリンスタンドで給油していると私たちが青春時代を過ごした当時のバイクや車を改造して爆音を立てながら走って行く集団がやって来た。耳をふさいでしかめっ面になってしまう。運転席を見てみるといい年をした大人が運転しているではないか、、、
そのようにしか自己表現ができない人たち。考えさせられる。せめてウルさくなかったら許せるのだが、音や臭いはそれを望まない人たちに対しても否応なしに入り込んでくる。上手に共存できないものか。良い旅の気分が一気に落ち込んでしまった。
気を取り直して再出発。本日の第2の目的地を目指し、ひと山越えるのだ。
それにしても空が青く高くて広い。
素敵な河原道に入ったので車をとめて雄大なパノラマの景色を眺める。
春はもう来たのだ!コンニチワ!つくし君!
いつかどこかで見た有名な絵描きの油絵のような、そんな錯覚さえ覚える景色。
越後三山と呼ばれる山なのか。どこを走っても美しく目に飛び込んでくる。雪山などしょっちゅう見られるものではないのでついカメラを向けてしまう。ここに載せた写真はこれだけだが、私のスマートフォンの中には100枚近い新潟旅の写真が詰め込まれた。
おぉ!な、なんだ?
突如私たちの目の前に現れた黄金色に輝く山の上にポッカリと白い綿帽子をかぶった権現様が現れた!
本日第2の目的地。T川氏が旅に出る前に新潟アルアルを会社の友人に聞いてきたそうである。その中でひと際心を奪われたキーワード「新潟の回転寿司はどこに入っても旨いらしい」。これを検証せずに帰京できるはずなどない!力強く。
グーグルマップで回転寿司を探すのだがなかなか身近な場所で見つからない。東京への帰り道である長岡駅の近くに小さな回転寿司店を見つけた。T川氏のリクエストで、チェーン店ではなく地場の回転寿司店を選んだのだ。
「巡り寿司しゅん」というこじんまりした回転寿司の看板が見えたので車をとめ、ダッシュで店内へ入った。設備は整っているのだが、残念ながら寿司は回転していなかった。日曜日の昼下がりの店内は家族連れが一組とオジサン二人が何やら昼飲みをしている雰囲気でもう一組。私たちは三組目の客となった。
心優しそうな店の奥様が席を案内してくれた。寿司はすべて注文制で、食べたいものを注文用紙に書き込みそれを店員さんに渡すシステムだ。
T川氏には悪いのだが、この先運転はT川氏に全て任せて、私は先ほどの黄金色に輝く、永遠に私の心をつかんでやまない、つまりはビールというものを頼んだ。T川氏、申し訳ない。
お通しで貝がついてきた。T川氏にもお裾分けしてすまないと思う気持ちを表す。まったく説得力無し、、、
奮発して特上握りを頼んだ。いやぁ、旨かった。それは特上なのだから旨いに決まっているでしょう。しかし「新潟の回転寿司屋はどこに入っても旨い」という噂を検証しきったかというと多少疑問は残る。しかし旨かったことには違いない。またいつか新潟に来た時にぶらりと違う店に入ってみよう。検証にはサンプルが複数必要だからね。
T川氏、すまぬ。もう一本だけ飲ませてくれんかね。大人の正しい選択。ラガーの中瓶を頼んだ。ご想像通り旨いに決まっている。
この寿司屋のサービスメニューでブリのアラ汁おかわりし放題というものがあった。もちろんいただくのだが、これが旨いのなんのって。この味が忘れられず、私は帰京後にスーパーでブリのアラを買ってきてアラ汁を作ってしまった。よくできて、おかわりが止まらなくなる一品、また一つ、レパートリーが増えたのである。ムフッ。
この日2つ目の目的もキッチリと果し、満足夢心地の一行は再び関越道に乗り込んだ。
行きと違って晴れ渡った空のもとに美しく輝く雪景色はやはり別世界に感じられた。
新潟三山も近づいて見える。やはり美しい山である。
越後川口サービスエリアに入った。除雪した雪の保管場所なのだろうか、大きなブルドーザーの後ろには幻想的なオブジェになった雪が積もっている。まるでアナと雪の女王に出てくる石の妖精たちのようだ。
妖精たちと戯れた後は、新潟土産を購入して再びハイウェイスターになる。そして素晴らしい越後の大自然をご覧あれ。どうぞ。
迫りくる山脈に心奪われる。
さよなら新潟。素敵な思い出をありがとう。
この後は長い関越トンネルを抜けて、現実の世界へと引き戻されてしまいそうだ。少しでも長くこの夢のような時間に包まれていたかった。
が、現実は甘くない。関越を抜けて谷川岳パーキングエリアに入る。朝から運転しっぱなしのT川氏が眠気に襲われた。仮眠をとって一息つくのだ。私は図々しくも助手席で落ちまくっていたので意外と頭スッキリ。
T川氏が休んでいる間、谷川岳パーキングエリア名物の美味しい天然水を手ですくって飲んだ。近くにいた初老の先輩が市販のソフトクリームを食べていたので私も無性に食べたくなる。
店に入り、cornはバニラモナカを手に入れた!食べる前に割ってから少しずつ食べようと思い、袋を開ける前に割ろうと思うがビクともしない。しょうがないので開封してかじるのだが、これぞまさしく全く歯が立たない。前歯が折れそうになったのであきらめて柔らかくなるのを待つことにした。そういえばさっきソフトクリームを食べていた初老の先輩も困ったような顔で長い間ずっとナメ回していたのを思い出した。そういうことだったのか。
待っている間ボーダーコリーとレトリバーのミックスのような大型犬が近くにやって来た。いかにもおとなしそうなそぶりで飼い主に連れられている。可愛い顔をしているのだが、いきなり私の目の前でフンをし始めた。ヤルでないか。犬だもんね。しかし、フンをするときも申し訳なさそうな顔をしながら飼い主を見上げていた。好きなだけ出しなさい!キミは可愛いからね。
バニラモナカがやっと割れるくらいになった時にT川氏がスッキリ目覚めて私のところにやって来た。バニラモナカを全部たいらげる自信がなかったので、谷川岳パーキングにいる人たちの元気玉をすべて集めてアイスを2つに割りT川氏に差し上げた。
2人食べ終わり、車に乗り込もうと歩いていると、まだ初老先輩がアイスを舐めていた。頑張って下さい。応援してます!
休憩で目を覚ました私たちは現実の世界へと引きずり込まれながら東京を目指す。
上里サービスエリアで最後の休憩を取った。植木でできたコアラ。帰りたくない東京を目指し車に乗り込むと大渋滞に巻き込まれながら意気消沈している間に帰宅したのであった。
薄暗くなった我が家の前でT川氏とお疲れ様の言葉を交わし、またそれぞれの日常に戻るのでる。
ああ、悲しい。
しかし非常に楽しく満足な旅だった。
時計の針はちょうど19時を指している。
メシツブ、メシツブ。
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昼間に飲んだのだがやはり夜も飲むのだ。速攻で近所のスーパーに向かいアテの衆を買いあさった。
寺泊漁港で買わなかったブリを半日ブリに東京で食した。旨し。
冷蔵庫に大量ストックされた小籠包。両面焼いたよ。旨し。
あれだけおいしい魚介類を食べてきたのに、やはり食べたい生牡蠣を柚子胡椒で。旨し。
お久しぶりの主食豆腐さま。ご無沙汰しております。




































