スリーピークス技研/3.peaks-1
解説編
by インターネット工具ミュージアム
【2025年2月11日 追記】
スリーピークスと交信しながら細部を修正してきましたが、ラジオペンチと斜めニッパの世代差情報等を加え、やっと完成版が出来上がりました。
作業工具の変遷を追い掛けていますが、歴代の製品を自社で保管していて、かつそれに対応する歴代のカタログを保存し公開している工具メーカーは意外に少ないことに気が付きました。
メーカーが自ら保管している製品と歴代のカタログは、貴重な情報源であると同時に、後世に残すべき工具の歴史に関する文化財と考えています。
『歴代製品と歴代カタログの両方を保管し、かつそのカタログを公開』という条件に合致しているのは今のところスリーピークス技研だけと理解しています。
鉄の街、新潟三条にて1960年代から工具を作り始め、既に60年が経っています。
そのスリーピークスについてインターネット上に工具ミュージアムを作りました。
JIS認証を取得した4種を中心に、スリーピークス技研が保管している歴代の製品とカタログ取材用の写真を、ミュージアム展示の形で掲載しています。
(JIS4種:ペンチ、ラジオペンチ、強力ニッパ、斜めニッパ)
そして、"変遷"をコンセプトにして解説を加えました。
その2として"カタログ編"を別ページに掲載しています。(カタログ全編をダウンロード出来ます) 
= Three Peaks products by Online Tool Museum =
The transitions of hand tools have been followed in this weblog.
It is noticed that few tool manufacturers keep their own products and
corresponding catalogs of past generations in their own storage and make them available to the public.
I believe that the products and catalogs stored by manufacturers themselves are not only a valuable source of information, but also a cultural asset related to the history of tools that should be preserved for future generations.
So far, only Three Peaks Giken has been able to confirm that its products and catalogs meet the requirements to store from previous generations.
Then, an online tool museum has been opened for Three Peaks using their stored products and catalogs.
1.会社情報
1)基本情報
↓左側…小山鉄工所:1978年『東商信用録 東北・新潟版』より
↓右側…スリーピークス技研(1993年~):『会社紹介パンフレット』より
★スリーピークス技研とは
3.peaks印のペンチ、ニッパを製造販売する切断工具専門メーカー。
「ペンチは刃物である」がモットー。
2)3ピークスの由来
優れた製品(Product)、顧客立場の思考(Pleasure)、人間的な成長(Personality)の頭文字から。
元々は、創業者の息子3人(鐵郎、貫郎、豊郎)によるコヤマの和と協力を願って名付けられたのが始まり。
Peaks:頂 ⇒
は小山3兄弟を表していて、山(頂)が3つでスリーピークス。
3)会社沿革
・1940年4月…小山清七個人事業として三条市大字田島2525番地にて"小山鐵工所"を創業(工作機械および産業機械の製作)
↑1950年頃の小山鐵工所(商号スリーピークスが既に使用されています)
・1952年1月…"(株)小山鐵工所"に改組(代表取締役:小山鐵郎)
・1953年7月…工場を三条市大字田島204番地に移転
・1955年3月…本社を工場所在地(田島204番地)に移転
・1960年7月…三条市大字田島121番地に工場および事務所を新築移転
・1963年7月…本社を新工場(田島121番地)に移転
・1965年11月…ペンチの製作開始
・1967年12月…強力級ペンチ/B4623のJIS認証取得
・1972年1月…ラジオペンチ/B4631、強力ニッパ/B4635のJIS認証取得
・1975年5月…三条金属工業団地内(三条市大字塚野目2171)に本社と工場を移転
・1980年9月…斜めニッパ/B4625のJIS認証取得
・1991年2月…小山喜一郎が代表取締役に就任
・1993年4月…"(株)スリーピークス技研"に社名変更
・2007年5月…新JIS/JQA認証取得(認証番号:JQ0307006)
・2019年2月…小山公一が代表取締役に就任
4)ネット情報
・会社HP(現在)
・Youtube(2021年)
↑Youtube内、展示室と社長殿(3代目)
↓本社工場
5)JIS認証(4種)
(1) ペンチ/B4623…JIS月報(1968年3月刊)
(2) ラジオペンチ/B4631、強力ニッパ/B4635…JIS月報(1972年4月刊)
(3) 工場変更…JIS月報(1976年12月刊)
・本社工場移転に伴う所在地変更(田島工場⇒塚野目工場)
(4) 斜めニッパ/B4625(認証許可日:1980年9月8日)
B4625/斜めニッパで新たに認証を取得していますが、B4623/ペンチで既に取得していたのと同じ認証番号367229が与えられています。
JISでは3種(B4623/ペンチ、B4624/丸ペンチ、B4625/斜めニッパ)をペンチ類として一括管理していたため、認証番号も共通で管理されていました。
新たな認証番号が発行された訳ではないためか、このB4625/斜めニッパの認証取得情報はJIS月報に掲載されていません。
↑JIS認証許可書(B4623にB4625も追加する形で再発行)
(5) 認証番号の統合(1991年2月)
1991年2月5日の通商産業省(現・経済産業省)通達によりペンチ、ラジオペンチおよびニッパは『ペンチおよびニッパ類』としてペンチの認証番号であった367229に統合されています。
この変更はJIS全体で実施され、スパナとメガネなども同時に統合されています。
(6) 社名変更…JIS月報(1993年7月刊)
・小山鐵工所⇒スリーピークス技研
(7) 新JIS/JQA(2007年5月)
法改正に伴いJISは2008年に新規格に変わり、認証機関が国から一般社団法人に変更となりました。
工具の場合はJQA/(財)日本品質保証機構が認証機関となるため、俗にJQA認証と呼ばれていて、工具メーカーとJQAが契約を結ぶことになりました。
これに伴い、製品に表示されるJISマークも変わり、新JISマークとJQAマークの両方が表示されています。
ちなみに、従来のJIS認証権は2008年12月で自動消滅し、JIS認証の継続を希望するメーカーは新JISを取り直しています。
スリーピークスは、それまでの4種(ペンチ、強力ニッパ、斜めニッパ、ラジオペンチ)で新たにJQA認証を2007年5月11日に取得しています。(認証番号:JQ0307006)
なお、改正されたのは認証方法であり、形状や強度などの技術要件に変更はありません。
6)JIS規格
・ペンチ/B4623 ⇒ こちら
・強力ニッパ/B4635 ⇒ こちら
・斜めニッパ/B4625 ⇒ こちら
・ラジオペンチ/B4631 ⇒ こちら
★形状、寸法要件のみ抜粋
・強力ニッパJ-1型(幅広タイプ)とラジオペンチI型は、どのメーカーも採用していません。
7)商標
・出願…1987年(登録:1991年)
・出願…1992年(登録:1996年)
・出願…1992年(登録:1997年)
8)広告
社名変更前後の『日本刃物工具新聞』広告
2.インターネット工具ミュージアム
カタログを見ると非常に多くの種類が設定されているのが分かります。
JIS認証を取得している基本4種(ペンチ、ラジオペンチ、ニッパ、斜めニッパ)を取り上げ、その変遷を解説します。
なお、背景が薄い水色の写真は、スリーピークス技研が保管している製品です。
★製造記号(ロットマーク)の読み方
(1) マーク無し…最初/1965年~1970年前後
(2) アルファベット/月:1970年前後~1972年頃
(3) T+アルファベット/月:1972年頃~1990年5月
(4) 数字1桁/年+アルファベット/月+K:1990年頃~1993年3月
(5) 数字1桁/年+アルファベット/月+T:1994年~1995年
(6) 数字2桁/年+アルファベット/月+T:1995年頃~現在
*数字…西暦(1桁でも1990年代だけのため199x年と特定可能)
*アルファベット…製造月("A"~"M"、"H"は強力級との混同を避けるため除外)
(2)と(3)の場合は製造月しか分からず、製造年は特定できない。
*"T"…Three Peaksより、"K"…小山鐵工所より
↑現行ペンチでの例
右下の"23BT"がロットマークで、2023年2月生産を示しています。
★表示内容(刻印)の変遷まとめ
採用時期は基本的にはスリーピークス技研より入手した情報を基にしています。
また、一部はカタログへの未掲載と掲載の境目を判断基準にしています。
これは歴代のカタログが揃っているからこそ分かるものです。
注)カタログからの採用時期判断
注1.…1970年代中頃:1970年9月カタログには未掲載、1978年11月には掲載
注2.…1982年頃 :1982年4月カタログには掲載
注3.…1990年代初頭:1991年4月、9月カタログは対象
注4.…1993年頃 :1993年9月カタログには掲載、1994年8月には未掲載
基本形状はJISで規定されていますので、初期から現在までほぼ同一形状です。
それでも4つの世代があり、股下から柄にかけた意匠(股下形状)が異なりますので、比較的簡単に世代を見分けることが出来ます。
下の比較写真で分かるように4種類➀~➃の識別点があります。
➀股の両サイド形状(軸方向直線部なし⇒直線部短い⇒長い⇒中くらい)
➁股下の長さ(中くらい⇒長い⇒短い)
➂先端刻み部の刻み数(6個⇒5個) ※CP/SC-175の場合
➃先端長さ(SCモデル専用の第4世代だけ少し短い)
第1~4世代は鍛造型図面から異なっているのが分かります。
なお、同じ世代間でも股下形状に若干の差が発生しています。
これは鍛造型の微妙な差によるもので、同じ図面から作られた鍛造型でもそれぞれ個性があると理解しています。
また、4世代の変遷に合わせて刻印表示も変更されていますので、刻印だけでも世代を見分けることが出来ます。
・第1世代…T.P. KOYAMA、スリーピークス・ロゴ:接合部内円
・第2世代…THREE PEAKS、ロゴ:接合部内円⇒右下
・第3世代-1…THREE PEAKS、ロゴ:右下
・第3世代-2…THREE PEAKS、ロゴ:裏面
・第3世代-3…3.peaks、ロゴ:裏面
・第3世代-4…3.peaks、ロゴ:表面、レーザーマーキング
・第4世代…SC、同上
("THREE PEAKS +ロゴ右下"の場合だけ、第2世代か第3世代かを刻印表示だけでは判別できず、形状を見る必要があります)
※詳細は上の『表示内容(刻印)の変遷まとめ』一覧表および以下の解説にて。
➀ 1966年(初代モデル)
・1965年11月にペンチ類の生産を開始していて、この製品はその翌年の1966年製と分かっています。
・生産年が特定できる中で一番古い製品です。
・最初の年の1965年製と同じと考えて良いだろうとのことですので、これがスリーピークスの初代モデルになります。
・会社名(小山鐵工所)の"KOYAMA"、上部にスリーピークスを略した"T.P."が刻印されています。(このモデル以外の刻印は全て"THREE PEAKS")
・また、スリーピークス・ロゴが接合部の内円に刻印されていて、目立ちます。
・品番(CP)は刻印されていません。
・ハンドル部両側の内面に強力級を示す"H"マークが丸い凹面に刻印されています。
➁ 1967年
・第2世代に切り替わります。(1967年~1970年頃)
・ブランド名刻印が"THREE PEAKS"に。(1993年からは3.peaksに)
・品番としてCP表示が始まります。
・ハンドル部両側の内面に➀と同様に強力級を示す"H"と、さらに製造記号"1E2・"が刻印されています。
・ハンドル裏側の"H"マークは➂1971年製でも刻印されていますが、➆1973年製からは表面の"H"マークに変更されています。
・なお、ペンチの強力級は1998年のJIS改訂で規格から無くなっています。
➂ 1971年-1
・JISマーク付きになります。(1967年12月に認証取得)
・1967年12月にJIS認証を取得後、すぐにJISマーク付きになったと思いますので、1968年からJISマーク付きになっていたと思います。
・なお、1970年発行の最初のカタログからJISマーク付きになっています。
・スリーピークス・ロゴが接合部中央から右下に移動。
・"THREE PEAKS"の円周文字径が小さくなり、接合部の内円と外円に重なる(跨ぐ)形で刻印されています。(➁では接合部の外円部)
・保管記録より1971年製と分かっていて、ロットマークが"L"ですので、1971年12月生産と分かります。
("L"は11月のはずだったのですが、次の➃の通りアルファベット1文字ロットマークの場合は"H"は除外されていなかった様ですので、"L"は12月になります)
➃ 1971年-2

・➂と➃は同じ1971年製で、➂の"L"と同じ位置に"H"が刻印されていることから、ロットマークから"H"を除外するルールは初期のロットマーク(1文字)の場合はまだ適用されていなかった様です。(恐らく2文字ロットマークから適用)
・したがい、この製品は1971年8月生産となります。
・"THREE PEAKS"の円周文字が➁と同じく接合部の外円に刻印されています。
(ただし、写真の製品は打刻する時に円周文字のセンターが先端方向に少しずれています)
➄ 米国販売モデル(1967年~70年頃)
・米国で販売されていたスリーピークス製品です。
・形状より第2世代(1967年~1970年頃)と分かります。
・1965年のペンチ製造直後からアメリカ向けに輸出を開始していたとのこと。
・"JAPAN"刻印は1993年4月から全製品に打刻されていますが、その20年前に生産された本製品には"JAPAN"が既に打刻されていることから、この製品は輸出専用と推測しています。
・不思議なのは、第2世代であればロットマークはアルファベット1文字のはずなのですが、この製品には"TD"と刻印されていて、第3世代初期(1972年頃~1990年5月)の採用と言われているアルファベット2文字になっています。
・輸出向け生産には先行してアルファベット2文字を採用した、または第2世代からアルファベット2文字が既に採用されていたのいずれかだと思いますが、詳細は不明です。
・写真…米国工具サイト"Alloy Artifacts"から。(該当ページ ⇒ こちら)
➅ Truecraft/米国-1(1967年~70年頃)
・日本の大同通商がアメリカでTruecraftブランドを運営していて、1970年前後から1980年代に掛けて多くの日本の工具メーカー(特に新潟三条)がTruecraftにOEM提供していました。
・スリーピークスにもペンチとニッパにTruecraftモデルがあります。
・写真のペンチは、股下形状から第2世代と分かりますので、1967年~1970年頃の製品となります。
・裏面にスリーピークス・ロゴと"JAPAN"が刻印されています。
・情報元…Alloy Artifacts、該当ページ ⇒ こちら
・Truecraftの詳細(コンビレンチとスパナ) ⇒ 当ブログ内のこちら
↓1973年Truecraftカタログより
(スリーピークス・ロゴ、ロットマーク"L"、"JAPAN"が確認できます)
➆ 1973年
・第3世代に切り替わります。(1971年~現在/CPモデル)
・ロットマークが2桁になり、"TI"の最初の"T"はTree Peaksの意味ですので、"I"より生産月が8月とだけ分かります。
・保管記録より1973年製と分かっていますので、写真の製品は1973年8月生産です。
・JISマーク右横の"H"は強力級を示します。
・1998年以前のJISには強力級"H"が規定されていましたので、会社沿革にあるように『強力級ペンチにてJIS認証取得』と表現していました。
・強力級"H"は1998年のJIS規則改定により廃止されましたので、1998年以降~1990年以降の製品に"H"マークは入っていません。(製品自体は現在でも強力級で生産)
※強力ニッパもJIS規則改定により同年1998年から強力級"H"の表示廃止。
斜めニッパのみ現在でも強力級と普通級の設定あり。
ラジオペンチは最初から等級設定なし。
・現行のCPモデルも第3世代を継続しています。
↓1976年当時のJIS認証と等級(再掲載)
➇ Truecraft/米国-2(1970年中頃)
・股下形状より第3世代と識別できるTruecraftです。
・裏面にスリーピークス・ロゴ、ロットマーク"TJ"、"JAPAN"が刻印されています。
・第3世代であることから➅より切り替わった1971年以降の製品と分かります。
➈ 1991年カタログ
・ロットマークが3文字に。("0KK"より1990年10月製)
・1986年頃から採用されている硬質ビニール絶縁グリップ。
➉ 1993年カタログ
・エラストマー・グリップが登場し、1993年頃に硬質ビニール絶縁グリップから切り替わります。
・スリーピークス・ロゴとロットマーク(3文字)が同じく1993年頃から裏面に移動。(裏面表示は2006年まで)
・鍛造型は第3世代で替わりはありませんが、表示の一部が裏面に移動しているため、
第3.5世代と分類します。
・ロットマークは同じ裏面3文字表示ながら1994年~1995年は最後が"T"になって"xxT"との表示になっています。(下の写真は"4DT"より1994年4月生産)
⑪ 1999年
・1993年の社名変更に伴いブランド表示が"3.peaks"に。
・写真では"3.peaks"がレーザーマーキングに見えますが、従来通りの打刻刻印です。
・1993年頃から裏面に移動していたロットマークは、1995年頃から4文字に。
・写真の製品は"99MT"より1999年12月製と分かります。
・"JAPAN"刻印が追加されています。
・海外向けには初期より輸出法規にしたがって"JAPAN"が刻印されていましたが、1993年4月からは国内向けも含めて全製品に"JAPAN"を刻印。
・2000年以降は全てのペンチがグリップ付きになるため、写真の製品(1999年12月製)はグリップ無しのほぼ最終生産品と思います。
⑫ 現行ビニールグリップ(SCモデル)
(1)SCモデル追加
・第4世代として持ちやすさを追求したSCモデルが追加されます。(2005年頃から)
*重量15%低減。(柄が少し細い)
*切れ味15%アップ。(接合部中心から刃までの距離が僅かに短い)
*研削面の股下部が短くなっているのが、一番の他世代との識別点。
*先端掴み部のギザギザ数が従来の6個から5個になり、その分先端が数ミリ短い。
*JIS規格の範囲内での形状変更であり、JIS認証は継続。
*SCモデルは主に日本国内向けで、海外向けは従来のCPモデルが主流。
(海外ユーザーは変更を嫌い、また軽量化を望んでいない)
・写真のモデルはロットマーク"07LT"より2007年11月製と分かります。
・CPモデルは第3世代のまま現在も継続。
(2)JIS4種共通の変更点(2006年9月~現在)
・モデルマークが刻印では無く、レーザーマーキングに。
*JISマーク入りは2006年9月生産より全てレーザーマーキングに。
*JIS以外品では1995年頃からレーザーマーキングの採用を始めていたとのこと。
・JIS表示が新JISのJQAに。(2007年5月に新たにJQA認証を取得)
(2006年9月~2007年5月の9ヶ月間だけは旧JISマークをレーザーマーキング)
・"3.peaks"が直線文字に。(これまでは接合部円周に合わせたラウンド文字)
(3)グリップについて
・2000年より全てのペンチモデルがグリップ付きになり、ビニール、エラストマー、プラスティックの3種類。
・各グリップの採用時期と品番
*ビニール(CPとSC)…1970年には採用、CP-GとSC-G
*エラストマー(CPとSC)…1993年頃から、CP-ZとSC-Z
*プラスティック(CPのみ)…1970年代中頃から、CP-P
・グリップ無しモデルは1999年12月が最終生産と理解していますが、在庫により2003年頃まで販売を継続。(1999年版のカタログでは先行してグリップ無しが消えています)
・第1~3世代に較べて第4世代はカシメ中央部から先端までの長さが短くなっています。(写真は上から第1世代⇒第4世代の順)
・写真より股下横形状の世代差も分かります。
⑬ 現行エラストマーグリップ(SCモデル)
・エラストマー(熱可塑性エラストマー)…ゴムのような柔軟性を備えた樹脂、熱を加えると軟化、リサイクルが可能な素材、燃やしてもダイオキシンを発生しない
・"硬質ビニール絶縁グリップ"がエラストマーグリップに切り替わっています。
(1993年カタログまで"硬質ビニール絶縁グリップ"、1994年カタログからエラストマーグリップ)
・現行のエラストマーグリップはSCとCPの両方に設定されていますが、国内向けはSCモデルが主流、海外向けはCPモデル(第3世代)が主流になっています。
・写真の製品は"18LT"より2018年11月製。
↑2023年9月カタログより
・現行品では全てのJISモデルでカタログにはJIS/JQAマークの無い状態で掲載されています。
但し、実際の現行商品⑫~⑭およびニッパとラジオペンチはJQAマーク入りで販売されています。
⑭ 現行プラスティックグリップ(CPモデル)
・プラスティック・グリップは基本モデルのCPのみに設定されています。
・CPモデルは第3世代を継続しています。
・写真の製品は"24MT"より2024年12月製です。(生産されたばかり)
★防錆塗装
ペンチを含めてスリーピークス製品の基本的な防錆塗装は以下となっています。
・先端部研削面(銀)…透明樹脂塗装
*ペンチのみ先端部研削側面…黒染め/四三酸化鉄皮膜
・ハンドル部(黒)…黒染め/四三酸化鉄皮膜
・斜めニッパは特別に
*先端全体(黒)…パーカーライジング/リン酸被膜処理
*先端刃面部(銀)のみ…研削+透明樹脂塗装
★ペンチ各部の特徴と機能(カタログより)
【参考】他社との比較(現行モデルのみ)
基本形状がJISで規定されていることから、他社も似たような形状になっていますが、股下形状等に各社毎の特徴があります。
・先端の刻み数…Three Peaks、Merry、Tsunoda:5、Fujiya:6、TOP:7、KEIBA:10
・股下にも刻み…KEIBA、Tsunoda
・JQA認証マーク付き…Three Peaks、FUJIYA、Merry、Tsunoda
スリーピークスの裏面加工逃げ穴は全て楕円形ですが、他社では長方形や長円、掴みのための刻み付きなどがあります。
ラジオペンチはざっくりと3世代に分類されます。
・ 第1世代…尖り型Ⅰ(初期タイプ):1970年
・ 第2世代…面長型 :1973年~1991年
・ 第3世代…尖り型Ⅱ(現行タイプ):1983年~現在
※1983年~1991年には第2世代と第3世代が混在します。
※歯の上部につかみ穴があるタイプは1978年からテレホンタイプ/TPと呼称され、基本モデル/RPと同じ鍛造型になります。
但し、1978年以前の初期つかみ穴付き(下記➁、➂)は基本モデルに対し面長になっていますので、第1.5世代と呼んでも良いかと思います。
➀ 1970年(初代ラジオペンチ)
・最初のラジオペンチです。(第1世代/尖り型Ⅰ)
・1970年カタログに長さ1種類だけ(RP-150)が登場していますので、これが最初の生産と推察します。
・ブランド名の刻印は無く、スリーピークス・ロゴと品番、それにロットマークだけのあっさりとした顔付きです。
・次の➁には"THREE PEAKS"が刻印されていますので、初代だけのデザインだと思います。
・ちなみに、翌1971年に登場するニッパも初代は同じ様にブランド名の無いデザインになっています。
・ロットマークが"H"ですので、1970年8月製になります。
・➀に対し刃の上部に"つかみ穴"を追加したモデルです。(第1.5世代)
・電話線用に設定されたモデルですので、テレフォンタイプと呼んでいます。
(1972年からは専用品番の"TP"が与えられます)
・全長は➀と同じになっていて、そのため先端のとがった部分が"つかみ穴"の追加分だけ短くなっています。
・➀とほぼ同時期に生産された製品ですが、こちらにはブランド名"THREE PEAKS"が刻印されています。
・ロットマーク"I"より1970年9月または1971年9月の生産と推察します。
➂ 1972年
・JISマーク付き。
・1972年1月にJIS認証を取得し、すぐに製品へ反映されています。
・写真の製品はテレホンタイプで、専用品番の"TP"が与えられました。
・テレホンタイプ/TPもJIS規格内であり、JISマーク付きになっています。
・➁1970,71年および➃1973年はスリーピークス・ロゴとロットマークも表面に刻印されていますが、この1972年には何故か無く、裏側に刻印されていたのだろうと思います。(TPだから?)
➃ 1973年
・第2世代(面長型)が登場します。
・"つかみ穴"の無い基本モデル/RPですが、"つかみ穴"付きのテレホンタイプ/TPと鍛造型が共通化され、刃先よりも上部の研削面が長くなっています。
・保管記録より1973年製と分かっていますので、ロットマーク"TD"より1973年4月生産と分かります。
・品番では呼び寸法150mmを表すRP/TP-150になっていますが、JIS規格では呼び寸法に150mmは無く、呼び寸法160mm(160mm±8mm)が規定されています。
・したがい、実際の製品はRP、TP共にJIS規格に準じた長さ162mmになっています。
↓1978年カタログより
↑1973年頃の米国向けパッケージ(RP-150)
➄ 1986年カタログ
・上の➃に対して先端の尖り部分が長くなっています。
・また、同じ年のカタログ内で、同じ品番、同じ長さながら形状が異なっていて、第2世代と第3世代が混在しているのが分かります。
・RP…刃部の研削面がバネ付きは長く広い。
・TP…"つかみ穴"の位置は同じながら、バネ付き無しで"つかみ穴"が研削面の内と外の差。
↑接合部センターを基準にした研削面先端の位置を比較。(カタログ写真にて)
・上から第3世代、第2世代、第2世代、第3世代。
・鍛造型の更新のためだと思いますが、同じ世代間でも微妙な差があります。
※全長は4本共に162mmまたは163mm(RP/TP-150)であり、ほぼ同じ長さ。
➆ 1991年カタログ
・第3世代/尖り型Ⅱ(現行タイプ)に統一されます。
・ロットマーク"0LK"より1990年12月生産。
↓現行タイプの識別点
➇ 現行
・現行品。
・JISマークが2007年よりJQAに変わっています。
・写真の製品はパネ付きなので、グリップは青色。
・ロットマーク"23CT"より2023年3月生産。
・ハンドルを元の位置に戻すためのコイルバネ付きであることから、エラストマーグリップは青になっています。(スプリング無しは赤)
ニッパには世代差が無く、基本的に同一形状を維持しています。
➀ 1971年(初代ニッパ)
・初代のニッパです。
・保管記録より1971年製と分かっています。
・1970年カタログには未掲載ですので、1971年が初生産だと思います。
・ブランド名の刻印は無く、スリーピークス・ロゴと品番、それにロットマークだけのあっさりとした顔付きです。
・次の➁/1972年には"THREE PEAKS"が刻印されていますので、1971年だけのデザインだと思います。
・ちなみに、1970年カタログに掲載されているラジオペンチも同じデザインになっています。
・ペンチ➁/1967年と同様にハンドル内側に強力級を示す"H"が刻印されています。
・ロットマーク"J"は9月生産を示していますので、この製品は1971年9月生産と分かります。
・また、裏面に"JAPAN"刻印がありますので、写真の製品は輸出用だろうと思います。
➁ 1972年
・ラジオペンチと同時の1972年1月にJIS認証を取得し、JISマーク付きになりました。
・JISニッパは強力級として規格化されていますので、写真の製品にはJISマークの横に強力級を示す"H"マークが刻印されています。
・この写真はカタログ用だと思いますが、表面の写真しか無いため、裏面の状態が分かりませんが、ロットマークとスリーピークスロゴが裏面にあったのだろうと推察します。
・この製品は配線皮むき用の刃穴付き。(刃穴付きと無しの両方が設定されています)
➂ 1973年
・"TG"より7月生産と分かります。
・保管記録より1973年製と分かっていますので、写真の製品は1973年7月生産。
・表面に全ての表示が刻印されていますので、裏面は刻印無しです。
➃ Truecraft/米国向け
・ペンチの➅と同様にアメリカTruecraftにニッパも輸出していました。
・表面の"K306"はTruecraftの品番です。
・裏面にスリーピークス・ロゴ、ロットマーク"TD"、"JAPAN"が刻印されています。
・情報元…Alloy Artifacts ⇒ こちら
➄ 1999年(カタログより)
・ブランド表示が3.peaksに。(1993年~)
・強力級を示す"H"マークが無くなっています。(1998年のJIS規格改定)
・JISマーク付き。
・ロットマーク、スリーピークスロゴ、JAPANは裏面に移動しています。
➅ 2007年(2009年カタログより)
・2007年5月からJIS認証がJQAに切り替わり、JQA認証マークに変更されています。
・また、2006年9月からレーザーマーキングに切り替わり、同時に"3.peaks"が円周文字から直線文字に変わっています。
・写真の製品はロットマーク"07LT"より2007年11月生産と分かります。
➆ 現行
・"23CT"より2023年3月製。
・それに合わせて、接合部内円の表示が外円等に移動し、"3.peaks"と品番が円周文字に戻っています。
★グリップ種類、色と品番
【例】NP-xxxGH-S…コイルバネ付き、刃穴付き、青いビニールグリップのニッパ
1)グリップ種類と品番
・ビニール…NP-xxxZ
・エラストマー…NP-xxxG
・プラスチック…NP-xxxP
2)コイルバネ有無とグリップ色
・コイルバネ付き…青グリップ/NP-xxxxH
・コイルバネ無し…赤グリップ/NP-xxxx
※プラスチックグリップは、コイルバネの有無に関わらず半透明の赤のみ。
※JISモデルではありませんが、『軽いパワーペンチ/PP』と『パワーニッパ/PN』に黄色いエラストマーグリップが設定されています。
3)刃穴と品番
・刃穴付き…NP-xxxx-S
・刃穴無し…NP-xxxx
★ニッパ各部の特徴と機能(カタログより)
斜めニッパは、日本生まれの日本育ちであり、需要の大半が国内です。
したがい、1978年から1993年の間は"THREE PEAKS"では無く、会社名の"KOYAMA"表示で販売されていました。
斜めニッパは第1世代と第2世代に分けることが出来ます。
刃の長さと先端研削面の下側形状(尖りと丸い)が識別点になっています。
なお、第2世代から呼び寸法150mm(DNP-150)で全長が150mmから157mmに少し長くなっています。
➀ 1970年前後(初代モデル)
・斜めニッパの初代モデルです。
・初期は"THREE PEAKS"が刻印されていました。(1978年から"KOYAMA"に切替え)
・ハンドルは磨き仕様。(表面が綺麗に加工されていて、鍛造肌の粗さがなくなっています)
➁ 1970年代
・➀のビニールグリップ付き。
・➀と本体形状が同じに見えますが、研削面の側面下部形状が➀と➁で全く異なり、ハンドルの付け根形状に差があるのだろうと思います。
➂ 1986年(カタログより)
・1980年にJIS認証を受けて、JISマーク付きに。
・JISマーク上の"H"は強力級を示しています。
・1983年から第2世代に切り替わっています。
・硬質ビニール絶縁グリップ付き。(エラストマーグリップの前身)
・会社名/ブランド名として"KOYAMA"と表示されています。
・斜めニッパは基本的に日本国内向けの製品であることから、会社名である "KOYAMA"の表示が1978年~1993年の16年間続きます。(1982年の1年間だけ"THREE PEAKS"が混在)
・1993年に会社名がスリーピークスに変更されたことを受けて、"KOYAMA"から 新しいブランドロゴの"3.peaks"に変更されます。
➃ 1991年カタログ
・1991年カタログではまだ"KOYAMA"表示。
➄ 1993年カタログ
・1993年の会社名変更に伴いブランド表示が"3.peaks"に。
➅ 現行
・新JIS/JQAマーク付き。
・"20MT"より2020年12月製。
・斜めニッパだけは現在でも強力級"H"というJIS規格が継続されていますので、 "H"が表示されています。
(ペンチと強力ニッパには1998年の規格改正で強力級"H"という規格がなくなり、 "H"表示もなくなっています)
・斜めニッパだけの特別仕様として研削面が黒色化されています。(パーカーライジング/リン酸被膜処理)
・したがい、レーザーマーキング文字が白色になっています。
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JISモデル基本4種の解説は、ここまで。
さらに、その2『カタログ編』の後半で、ALUTOOLを解説します。
その1『解説編』、終わり。
その2『カタログ編』に続く。⇒ こちら












































































