"Truecraft"のすべて
"Allenite"と"Cen-Tech"も
by 大同通商/Daido USA
【2023年6月23日 追記】
Truecrafについて、ちょうど3年前に取り上げていましたが、会社情報に関する部分が満足できるレベルでは無かったので、新情報も追加して全面的に書き直しました。
前半を会社情報、後半を商品情報とし、これまで見つかっていなかったカタログも掲載します。⇒ 後半/商品情報へのジャンプは、こちらから。
Asahi DX Tools(鏡面仕上げ)の"Truecraft"版や、別ブランド"Allenite"の古いNTK製スパナも新たに見つけています。
実はこの2本が40年間におよぶブランド・ヒストリーの最初と最後だったことに後から気が付きました。
↑↓大同通商40年の歴史(アメリカで発売したモデルの最初と最後)。
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『輸出するものの、海外での販売は現地ブランド任せ』というのが日本の工具輸出の一般的な形です。
でも、日本の商社が現地に専用会社を興し、自ら運営する独自ブランドの工具を海外市場で大々的に販売していたことはご存じでしょうか?
これまでに1社だけありました。
1960年代から1980年代に掛けて、日本の商社『大同通商』が運営販売していた"Truecraft"(トゥルークラフト)です。
アメリカだけでの販売でしたので、日本では全く知られていなかったと思います。
商品の大半は、新潟/燕三条の工具メーカー製です。
当時は売り上げの半分を占めていた会社もあったらしく、各メーカー共に毎月大きなコンテナに満載して出荷していたと聞いていて、日本の工具メーカーにとっても大きな規模の商売だったようです。
なお、景気後退やアジア勢台頭の波を受けて、2000年頃にブランド運営から撤退しています。(スペインの会社と業務提携し、ヨーロッパでの生産販売まで手掛けるなど、商売継続の努力をしていましたが)
↑Daido USA/Truecraft部門の本社および東部配送センター@ニュージャージ州
・大きな配送センターもあり、当時の商売の規模が分かります。
1. 会社情報
日本の工具業界にとっては珍しい商売形態でしたので、まずは運営していた大同通商の会社情報から。(商品情報は後半にて)
1) 事業開始から終焉まで
・1949年8月
機械金属の輸出入を行う商社として東京中央区に『明正通商(株)』を設立。
同年に自転車チェーンのアメリカ輸出を開始したとのことで、自転車やオートバイのチェーン製造販売で名をなしていた大同工業との関係が当初から深かったようです。
※【資料-1『会社沿革』】
・1951年10月
日本の企業として戦後6番目に現地会社"Daido Coporation U.S.A."(以下、Daido USA)をニューヨークに設立。
2年前に起業したばかりの会社が、当時貴重なドルを運用する海外現地会社の開設を許可されたのは異例だったとのこと。
※【資料-2『逆境からの成功へ』】&【資料-1『会社沿革』】
その現地会社と同一住所に大同工業も出張所を少なくとも1958年には開設していたことが確認できていますので、現地会社設立の当初から大同工業との共同事業だったのだろうと推察しています。
したがい、現地会社名が最初から"Daido"だったと理解しています。
※【資料-3『大同工業の海外拠点』】&【資料-4『Truecraft運営開始広告』】
・1954年
"Daido USA"はブランド"Allentie"を1954年に立ち上げ、日本製ハンドツールの販売を開始。(商標登録は1971年)
いきなり独自ブランドを立ち上げてもうまく商売につながらなかったのではないかと推察されます。
※【商標-(3)】
・1962年初頭
"Daido USA"は、既存の工具会社"Truecraft Tool Company"を買収。
プライヤーやモンキー レンチ、ハンマーの販売実績があり、販売網と販売ノウハウの確保が目的だったのだろうと思います。
以降、"Truecraft"の運営販売が本格的に約40年間続きます。
大同工業とのコラボを前提に設立した中で、独自の工具事業が思いのほか成功したと推察しています。
※【資料-4『Truecraft運営開始広告』】
・"Truecraft Tool Company"は終戦から2年後の1947年に設立されています。
・源流は1930年代からの工具会社"Otto Kaufman Co."
・1947年~1962年は、"Otto Kaufman Co."経営陣が引き続き"Truecraft"を運営していました。
・なお、"Otto Kaufman Co."は、戦時モデル生産で契約違反を犯し、1945年に営業停止命令を受けていますので、その絡みで2年後の1947年に"Truecraft"へ社名変更し、再出発したのではないかと推測しています。
・1969年1月
廉価ブランドとして"Cen-Tech"を1969年に立ち上げ。(商標登録は1971年)
※【商標-(4)】
・1982年4月
『明正通商(株)』から『大同通商(株)』に会社名を変更。
大同工業との関係が深まり、会社経営の方向性が明確になったことによる社名変更と理解しています。
※【資料-1『会社沿革』】
・2002年6月
"Daido USA"から"Advantech International, Inc."へ社名変更。
恐らくこの時に大きな事業転換があり、工具販売事業から撤退したものと推察しています。
※【資料-1『会社沿革』】
【資料-1】大同通商HPより
【資料-2】明正通商 下村専務による起業経緯
※1960年『逆境からの成功へ』より
⇒ オリジナルはこちら。(国会図書館ID要)
【資料-3】1958年『機械と工具年鑑』
【資料-4】1962年6月28日号『Hardware Age』内のブランド開始告知
・Daido Corporationの中にTruecraft Tool Divisionという工具販売部門があるのが分かります。
2) 登録商標
(1) Truecraft /1952年登録(最初のロゴ使用は1947年)
・”Truecraft Tool Company"は1947年に設立され、同年12月には"Truecraft"ロゴの使用が始まっています。
・同年12月にロゴ"TRUECRAFT"を使い始めたことがこの登録資料から分かります。
・1962年にDaido USAに買収され、このロゴの使用権もDaido USAへ移行します。
(2) True Craft Tools ヘキサゴンマーク版 /1993年(最初の使用は1985年)
・"Truecraft"の新しいロゴです。
・1985年から使われたことがこの登録資料から分かる
(3) Allenite /1971年(最初の使用は1954年)
・"Daido USA"が"Truecraft"買収以前に自ら創設したブランド。
(4) Cen-Tech /1971年(最初の使用は1969年)
・廉価版"Cen-Tech"ロゴは1969年から使用が開始されています。
(5) Pro-Mate /1980年(最初の使用は1978年)
★日本での商標登録
日本でも明正通商/大同通商が"Truecraft"3種類を商標登録しています。
↓計3件登録(1973年、1994年、1995年)
3) 広告
↑1964年『Hardware Age』、1962年の買収から2年後の広告
・販売会社としてDaido Corporation、その中の販売部門Truecraft Tool Divisionが出した広告と分かります。
スパナやコンビレンチは掲載されていませんので、1964年以降に登場したのだろうと思います。
↑ここまで会社情報
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2. 商品情報
1)モンキーレンチ
Truecraft Tool Companyが1962年にDaido USAに買収される前の1959年カタログの表紙に日本製のモンキーレンチが掲載されています。
↓”Truecraft Tool Company"の右側に"JAPAN"と刻印されているのが分かります。
その実物が下のモンキーレンチ第1世代で、裏面に"TOP"と刻印されていて、トップ工業製であることが分かります。
つまり、Truecraft Tool Companyは、Daido USAに買収される前に既にトップ工業とOEM供給の関係があったことになります。
1951年から既にアメリカで業務を始めていたDaido USAがこの関係に介在していたのか、またはこのOEM供給が呼び水になってDaido USAとコンタクトを始めたのかは不明です。
アメリカと新潟の工具会社が結びつくには工具商社が必ず介在しているはずですので、個人的には前者のような気がします。
大阪の大手・湯浅金物が取り持ったところを、現地に会社を興した東京の大同通商が横から出てきて、、なんてこともあるのかもしれません??
前述【資料-4】のブランド開始告知にも"TOP TOOLS"/トップ工業の名前が2回出てきていて、TruecraftにとってTOP製品は重要な位置付けにあったことが分かります。
なお、モンキーレンチだけで無く、プライヤーとハンマーもトップ工業製だった様子。
第1世代(1959年頃)
・表面の"Truecraft Tool Company"が、第1世代の証となります。
・1958年のカタログに掲載されていることからの判断です。
・裏面の"TOP"刻印よりトップ工業製と分かります。
・Truecratfは1962年に大同通商に買収されますが、トップ工業はそれ以前からTruecrfatに製品供給していたことになります。
・製造記号"2-20"とカタログ掲載年の2点より、1962年2月の生産品と分かります。
(TOPの2代目製造記号…月+西暦4桁目+管理番号)
・裏面"TOP"前の"N"が何を示しているのか分かりませんが、恐らくJIS-N/普通級の"N"なのだろうと思います。
・カタログより、8インチの品番は"F8"。
★写真…TOPコレクターの方よりお借りしました。
第2世代(1962年~)
・表面の表示が"Truecraft Tool"に変わります。
・モンキーレンチ第2世代として、1973年カタログに掲載されています。
・裏面"TOP"の刻印より、Truecraftの大同通商化後もトップ工業は継続供給していたことが分かります。
・製造記号"8-B (or E) 4"と1973年カタログ掲載より、1968年の2月または5月製と推定します。
・カタログより、品番は"F2xx"
★写真提供…Alloy Artifacts ⇒ Webサイトは、こちら。
Alloy Artifactsと私の間でアメリカと日本の情報を交換し合っています。
⇒ 情報交換状況は、こちら。
第3世代(1980年頃~2000年頃)
・新しいロゴ(太文字ロゴと六角ボルト頭の組み合わせ)の第3世代が登場します。
・裏面の製造記号が"86A"とも"97A"とも読めますが、トップ工業は1997年1月から新しい製造記号表示(第3期)に変わっていますので、"86A"だろうと思います。
・したがい、1986年1月製と推定します。
・ただし、1997年1月きっかりから新しい製造記号表示がスタートしていないこともあり得るため、"97A"⇒1997年1月製の可能性もあります。
・裏面の刻印より、品番は頭のアルファベットが無くなって"2xx"。
2)コンビレンチ&スパナ
① 凸平行四辺形パネル-1( プレスオフセット)by AIGO
・プレス曲げによりボックス部オフセットの凸平行四辺形パネルです。
・品番がアルファベット+数字3桁(B424)で、1973年カタログに掲載されているモデルです。(1983年カタログの品番は数字だけ4桁に変更されています)
・裏面スパナ部根元にある2列の製造記号が相伍工業/AIGO製であることを示しています。
・下の比較写真通りTruecraftとAIGOモデルは、形状も製造記号も同一なのが分かります。
↓AIGOとの比較
② 凸平行四辺形パネル-2(プレスオフセット)by AIGO
・上の①と同じ凸平行四辺形パネルでプレス曲げオフセットのモデルで、表面パネル内の品番刻印がありません。
・これも、スパナ部根元の製造記号の入れ方よりAIGO製と分かります。
・下の4本比較写真を見ると分かりますが、何故かこのモデルだけ数mm長くなっています。
③ 凸丸パネル-1(鍛造オフセット)by AIGO
・メガネ部のオフセットが鍛造によるタイプで、高級な作りになります。
・パネルは凸丸パネルに変わります。
・品番は数字だけ4桁(1016)に変わります。
・この品番は1983年カタログに採用されていますが、1983年カタログでは次の④のようにロゴも新しくなっていますので、このモデル③は1973年と1983年の間の製品と分かります。
・これも裏面スパナ部根元の製造記号の入れ方よりAIGO製と分かります。
④ 凸丸パネル-2(鍛造オフセット)by ASAHI
・品番は同じながら、表パネル内のブランド刻印が正立"TRUECRAFT"からデザイン文字でキサゴンマーク付きの斜め"TRUECRAFT"に変わります。
・品番は上の③と変わらず、数字だけ4桁の新タイプです。(1/2インチで1016)
・裏面にも"TRUCRAFT"が正立文字で刻印されています。
・メガネ部オフセットは鍛造タイプです。
・製造記号の種類が①~③とは異なり、1列の"x-xx"になります。
・このモデルは、下の比較写真から分かる通り、旭金属工業/ASAHIのコンビレンチと形状が同一です。
・製造記号の取り方もASAHIと同じであることから、ASAHI製と考えるのが妥当です。
・なお、製造記号より写真の商品は1978年7月生産(←"7-78")と読み取れます。
・このモデルは1983年カタログに掲載されています。(1978年生産で1983年カタログ掲載)
↓ASAHIとの比較
・サイズが12mmと1/2インチで異なるため、長さが若干違いますが、同一と言えます。
・スパナ形状と、スパナ部と胴長をつなげているエラ形状も、全く同一です。
・製造記号の位置と表示方法が同じなのが分かります。
★①~④比較(下から①⇒④)
↑表面(③だけ少し長いのが分かります)
↓裏面(①~③と④は製造記号の入れ方が異なります)
⑤ フラットパネル-1 by ?
・梨地フラットの現代的なモデルです。
・表と裏の両面にTRUECRAFTのロゴが入っていますが、表(ヘキサゴン入りデザイン文字)と裏(非デザイン文字)で変えてあり、凝ったことをしてあります。
・ちなみに、裏面の斜め"TRUECRAFT"(非デザイン文字)は、鏡面仕上げモデル⑧の両面に採用されます。
・上の③、④と同じく鍛造オフセットで、コストが掛かるモデルです。
↑④との比較(表面)
↓同(裏面)
・凸パネルで無いことを除けば、④と非常に類似しているのが分かります。
・長さやスパナ形状など2本を重ねるとぴったりです。
・ただし、気になる点が2点。
・胴長部につながるスパナ部のエラ形状が、上の⑤は少し小さくなっています。
・また、ボックス部と胴長部のつながり方も異なります。
・ボックス部の裏面を比較すると明らかに形状が異なるのが分かります。
・この2点は、製造メーカーが異なることを示しているものと思います。
・しかしながら、製造記号が無く、他のヒントになるような印も無く、どの製造メーカー製なのか残念ながら分かりません。
・燕三条にTruecraftの製造元が4社以上あったらしいとの話もあることから、このモデルはASAHI, AIGO, TOP、NTKでは無く、また別の製造メーカーなのではないかと考えています。(NTK製は"Allenite"⑨で登場)
・燕三条では繁盛期(Truecraftオーダー活況等)には域内2次外注が多くあった様なので、4社以外の可能性は大いにあると推察しています。
⑥ フラットパネル-1/スパナ 流れマーク付き by TOP
・流れマーク付きで、何故か表裏共に刻印部の表面が薄く削られています。
・初めて入手した時は、所有者がマーク付けのためにサンダーで削ったのだと考え、残念に思っていたのですが、以降に入手した全てが研磨されているので、これがオリジナルの様です。(削ってからクロームメッキ?)
・見栄えは全くよろしくないので、何故このような後加工をわざわざ行っているのか摩訶不思議です。
・裏面にTOPと刻印されています。
・したがい、このモデルはトップ工業/TOP製と分かります。
・品番として"A106"が刻印されています。
・なお、1973年カタログには品番"A106"は別モデル(Palmera製)になっていて、このモデルはカタログ(1973年、83年)には掲載されていません。
⑦ フラットパネル /流れマーク付き by TOP
・流れマーク付きフラットモデルは、コンビレンチもあります。
・コンビレンチモデルも刻印文字部が両面とも薄く削られています。
・"JAPAN"刻印はありますが、上の流旗スパナ⑥の"TOP"刻印はありません。
・"TOP"刻印はありませんが、形状や刻印がスパナ⑥と同一ですので、コンビレンチ⑦もTOP製と考えて良いと思います。
・なお、1973年カタログには品番"B110"は別モデル(AIGO製)になっていて、このモデルはカタログ(1973年、83年)には掲載されていません。
・表面に品番"B-110"とは別に"SW-10"との刻印がありますが、これが何を示しているのか不明です。
・前述の通り、1973年カタログには別モデルの"A106"スパナと"B110"コンビレンチが載っています。
・したがい、この流れマーク⑥、⑦は、1973年以前のモデルである可能性が高く、恐らく"Truecraft"の初代スパナと初代コンビレンチだったのではないかと推察します。
・つまり、Truecraftは、モンキーレンチにスパナ、コンビレンチ共にTOP製から始まったのだろうと思います。
・パネルの削り方に差があり、上の写真はごく薄く削ってあるだけで、ぱっと見では削られていることが分かりません。
・"削り無し"で出せば良いのにと思ってしまいます。
⑧ フラットパネル-3 流旗マーク付き/JAPAN刻印無し
・流旗モデルにJAPAN刻印の無いモデルがあります。
・どう解釈すれば良いのか、これも悩んでしまいます。
・一つの推測として、アメリカ製など日本以外で生産された。
・もう一つの推測は、打刻部のスペースが空いていますので、単にJAPAN打刻を忘れた。
・さて、どちらでしょうか?
※写真提供…AlloyArtifacts
⑨ 鏡面仕上げ仕様/Asahi DX ToolsのOEMモデル
・形状ならびに鏡面仕上げは、旭金属工業/ASAHIの"DX Tools"にそっくりです。
・メーカー毎の特徴が顕著に出るメガネ部横形状も同一と言えます。
・したがい、製造記号等の印はありませんが、ASAHI製と考えるのが妥当だと思います。
・鏡面仕上げモデルを出して『Snap-onみたい』を狙ったのかもしれません。
・前述⑤の裏面に刻印されていた斜め"TRUECRAFT"が、表と裏の両面に刻印されています。
・Asahi DX Toolsが1995年頃の発売ですので、このTruecraftも1995年以降のモデルと思います。
・Truecraftは、2000年初頭には事業撤退していることから考えると、この⑨が最終の日本生産モデルだったのではないかと思います。
↓Asahi DX Toolsとの比較
★Daido USAの初モデル↓と、日本最終モデル↑、この2モデルの間に40年の時が流れています。
3) Allenite
Daido USAは、"Truecraft"を1962年に買収する前の1954年に独自の"Allenite"というブランドを立ち上げています。(読み方:アレナイト??)
⑩ "Allenite"-1 凸丸パネル by NTK
・パネル部が荒い梨地仕上げ(鍛造地肌)になっている古めかしいスパナの"Allenite"が見つかっています。
・下の"Speed by NTK"との比較写真から分かるように、燕三条で1979年まで活動していたNTKの製品と理解しています。(スパナ形状、パネル形状が同一)
・NTKは、1955年に新体制となり、本格的に作業工具の生産に乗り出していますので、Alleiteブランドが立ち上がった最初のモデルがこのNTK製Alleniteだった可能性がありそうです。
↓"Speed by NTK"との比較(写真内下側2つがSpeed表裏)
⑪ "Allenite"-2 フラットパネル by NTK
・フラットパネルのAlleniteもありました。
・NTKの初期フラットパネルと形状が似ていますので、これもNTK製と思います。
・NTKと裏面の"DROP FORGED"表示が同じで、"JAPAN"が追加されています。
↓初期NTKフラットパネル
4) Cen-Tech
大同通商がTruecraftブランドの運営を始めたのが1962年。
その約10年後の1971年(商標申請年)に、廉価版のサブブランド"Cen-Tech"を登場させます。
Truecraftと同様に相伍工業/AIGO製のコンビレンチが採用されています。
さらに、OEM先が燕三条以外にも広がり、業界の巨星KTC製のCen-Techも現れます。
Cen-Techの商標は、アメリカで1971年に申請され、1973年の認可になっています。
大同通商がアメリカでの事業を本格的に始めたのが1960年頃ですので、10年ほど経ったところで、ブランディングの新しい戦略を立て直した結果としてCen-Techが登録されたと理解しています。
Cen-Techは、Truecrfatに較べるとワンランク下の格付けになり、ホームセンターでの販売が主流だったと思いますので、情報が少なく、販売資料を見つけることは出来ませんでした。
⑫ "Cen-Tech" 凸丸パネル by 相伍工業/AIGO
・日本製コンビレンチの代表的デザインである凸丸パネルです。
・オフセットがプレス曲げで確保されています。
・裏面のスパナ部付け根の製造記号からAIGO製と分かります。
・"Truecraft"にも同一形状の凸丸パネル(①、②)がありますが、Cen-Techは Truecraftに較べると胴長が細身になっています。
⑬ "Cen-Tech" 凹丸パネル by KTC
・Truecraftは凸パネルですが、Cen-Techはへこんだ凹パネルです。
・どこかで見たことがあるモデルだと思ってきたのですが、KTCがアメリカ"Sears"にOEM供給していたモデルにそっくりです。
↓"Sears"との比較
・上の2つの写真を見ても似ているのが分かりますが、ノギスで各寸法を計測しても同一ですので、KTC製と考えるのが妥当だと思います。
・Truecraftは燕三条の工具メーカーに多くを生産委託していますが、KTCにも生産委託していたとは、ちょっと驚きです。
・もっとも、KTCはOEMも重要な事業の柱と捉えていますので、良く考えれば不思議ではありません。
・KTCはSears、Craftsman、Fuller等にOEM供給していますが、これらにはKTCマークそのものやKTCを示す製造記号(BF)が入っていますが、このモデルにはKTCを示す印はありません。
・Cen-Tech日本製凹丸パネルを4本まで手に入れています。
⑭ "Cen-Tech" 凹丸パネル 荒い梨地 by ?
・もう一つ別の日本製凹丸パネルのCen-Techモデルがあります。
・KTC製⑫に較べると、表面仕上げの梨地が荒く、またメガネ部縁の鍛造仕上げもラフな作りになっているのが分かります。
・スパナ形状がKTC製⑫とは異なりますので、別のメーカー製だろうと思います。
・製造元として燕三条のいくつかのメーカーが思い浮かびますが、同一形状の物は見当たりませんので、Cen-Tech専用形状かと思います。
・②に対して、長さが短く、またスパナ形状は真ん丸になっていて、微妙な差があります。
【参考】台湾製 凸丸パネル
・時代の要請と思いますが、Cen-Techも台湾製へ移行されます。
・Cen-Techの次に紹介する同じく大同ブランドのPro-Mateは、台湾製でスタートして、中国製へ移行して行きますので、1990年から2000年に掛けての大きな時代の流れを感じます。
★ インド製 "CENTECH"
インド製の"CENTECH"モデルを見つけました。
最初は『2000年頃に早くもインド製に移行したのか?』とびっくりしました。
でも、よく見れば、CenとTechの間にハイフンがありません。
いわゆるコピー商品だろうと思います。
5)【参考】Pro-Mate
そして、5年後の1976年にはさらにアジアの風を受け、台湾製ならびにインド製の新たなサブブランド"Pro-Mate"が登場します。

・一番下が台湾製の"Pro-Mate"。
当ブログ内のPro-Mate詳細は、こちら。
6)【参考】スペイン"Palmera"製の"Truecraft"
大同工業はヨーロッパでの事業にも乗り出し、スペインの"Palmera"に生産委託する形でヨーロッパ向け事業にも進出していました。
PALMERA-1(ダブルロゴ)凹パネル-1
・"SPAIN"のロゴが入っていることからスペイン産と分かります。
・"TRUECRAFT"と"PALMERA"のダブルロゴになっています。
・パネルが3分割になっているのが特徴ですが、同じようなデザインをNTKやASAHI、昭和スパナも採用しています。
・これのスパナ版が1973年カタログに掲載されています。(品番…A10xB)
・したがい、1973年の時点で既にPalmeraへの生産委託は始まっていたことが分かります。
↓スパナ版
PALMERA-2(ダブルロゴ)凹パネル-2
・上の"PALMERA-1"と似ていますが、サイズ表示部が凹パネルではなく、フラットになっています。
PALMERA-3(ダブルロゴ)凸平行四辺形パネル
・凸平行四辺形パネルもあります。
・上のモデルと同じくダブルロゴですが、下のPALMERA-4/シングルロゴモデルと同一ボディーです。
・スペイン製ながら、日本のAIGO製Truecraft①、②にそっくりです。
PALMERA-4(シングルロゴ)凸平行四辺形パネル
・"PALMERA"がシングルロゴになっています。
PALMERA-5(シングルロゴ)凸平行四辺形パネル/スパナ
・凸平行四辺形パネルのスパナ版もあります。
7)【参考】初期Truecraft/アメリカ製
初期"Truecraft"-1 コンビレンチ
・鍛造肌が粗く、戦時モデル(1942年~1945年)に良く見られるタイプです。
・しかしながら、Truecraftは1947年(終戦2年後)の設立であり、"Truecraft"ロゴの初使用も同年1947年と登録されています。
・したがい、Truecraftが大同通商に買収される前の初期モデル(1947年~1962年)と思います。
初期"Truecraft"-2 スパナ
・同じデザインのスパナもありました。
・スパナ部の鍛造仕上げ精度が低く、コンビレンチよりもさらに古そうです。
・Truecraftの第1号モデル?
※Alloy Artifactsより
初期"Truecraft"-3 /1930年代タイプ
・ちょっと悩ましいモデルです。
・PLOMBが1933年に世界で最初の(モダン)コンビレンチを発売する前に主流だったボックス部にオフセットが無くフラットなOpen & Box Wrenchの形状をしたオールドタイプのコンビレンチです。
・類似形状の別ブランド品が1930年代に多くありました。
・『1947年に初使用した』と商標申請時に申告している"Truecraft"に1930年代モデルがあるのは不思議です。
・"Truecraft"の前身会社である"Otto Kaufman Co."が、実は戦前から"Truecraft"ロゴを使っていたのではないかと考えてしまいます。
・もしくは、戦前に別会社の同名ブランドがあった?
3. カタログ
カタログ4種類の存在が確認できています。
その内の3種類は、Webサイト"International Tool Catalog Library"で全ページが閲覧出来ます。
さらに、プライスリスト(1987年版)も閲覧出来ます。
・1959年(全4頁)⇒ 詳細は、こちら
・1968年…スミソニアン博物館所蔵(表紙のみ公開)
・1973年(全28頁) ⇒ 詳細は、こちら
・1983年(全38頁)⇒ 詳細は、こちら
・1987年プライスリスト(全16頁)⇒ 詳細は、こちら
1)1959年/大同通商による買収以前
大同通商に買収される直前の1959年版(全4ページ)です。
表紙のモンキーレンチがトップ工業製です。
スパナ系としては、鋼板のプレス打ち抜きによるインジェクションレンチのみが掲載されています。
2)1968年(表紙のみ)
アメリカ歴史博物館(スミソニアン)に"Truecraft Tool by Daido Corp."として1968年のカタログが所蔵されていることが分かっています。
但し、残念ながら表紙しか公開されていません。
物は試しで同博物館の無料会員になり『資料提供サービス』にデーター提供をリクエストしてみましたが、反応がありませんでした。
なお、スミソニアンにはゼロ戦の機体が展示されていて、さらに唯一現存する工具一式を内蔵したゼロ戦の整備要具箱も所蔵しているのが分かっていますが、これも写真をリクエストしたものの無反応でした。
3) 1973年(全28頁から3頁だけ抜粋)
・品番がアルファベット+数字になっています。
(次の1983年版ではアルファベットが無くなり、数字だけの品番に)
4) 1983年(全38頁から4頁だけ抜粋)
↑表紙に掲載されている商品の多くが新潟/燕三条製と分かっています。
・モンキーレンチ、プライヤー…トップ工業/TOP
・コンビレンチ…相伍工業/AIGO
・ペンチ…スリーピークス技研
・ラチェットレンチも日本製ですが、どこ製でしょう?
5) 1986年/プライスリスト(全16頁から1頁だけ抜粋)
この回、終わり











































































