日本のモンキーレンチ-4
JIS 1953年~1960年代(⑪~⑭)
1953年, 54年にJIS認証を取得した3社と1960年代1社の計4社を取り上げます。
1.JIS全20社リスト
(モンキー16社+パイプレンチだけ4社)
・メーカー単位、最初に取得した認証日順
・B4606/パイプレンチ含む
※1960年代から通産省の地方局が番号発行。(それまでは通産省/中央が一括して認証番号を発行)
3xxxxx…関東通商産業局 (新潟も)、4xxxxx…中部、5xxxxx…近畿、6xxxxx…中国
2.1953年~1960年代のJIS認証4社
⑪ No.2354:明石機工
⑫ No.2356:ヤマコー
⑬ No.3523:KTC/京都機械工具 ⇒ 北陸ケーティーシーツール(No.488006)
⑭ No.466055:まこと刃物製作所
⑪ 明石機工
JIS認証を取得した16社の中で一番情報が少ないのが明石機工です。
以下3点の情報があるだけで、どのようなモンキーレンチだったのか全く不明であり、会社も短命だったようです。
・1952年にヤマコーと同時にB4605(15度)でJIS認証を取得。
・1955年時点ではJISリストに含まれているものの、その後はリストに無し。
・会社情報は1952年と1953年にだけ存在。@神戸市垂水区(たるみく)
1)商品…情報無し
2)JIS認証
★1952年5月13日…B4605/15度にてJIS認証取得
※認証取得日は、同時取得したヤマコー情報から。
↑1953年9月『JIS』月報
↑認証番号表示…1955年『JIS工場名簿』
3)商標…情報無し
4)広告…情報無し
5)会社情報
↑1952年『全国工場通覧』
⑫ ヤマコー
自社ブランド"Yamaco"は部分鍛造/JIS-Pしか見つかっておらず、普及品市場をターゲットにしていたことが分かります。
一方で、他社向けにはクロモリ鋼のJIS-HをOEM供給していて、必要に応じて硬軟を使い分けています。
会社HPへのモンキーレンチ掲載は1997年で終了となっていて、現在はモンキーレンチの生産販売は行っていないようです。
1)商品
⑥-1 JIS取得前モデル(1950年頃)
・JISマークが無く、手彫りの浮き出し刻印より時代を感じますので、JIS取得前の初期製品と思います。
⑥-2 "YMC" with JIS-P
・JIS-P/部分鍛造のヤマコー。
・ヤマコーブランドのJIS製品は全てJIS-Pになっています。
⑥-3 楕円"Yamaco" with JIS-P
・代表的なヤマコーのロゴで楕円Yamaco。
・ヤマコーのJIS-Pには”SEMI DROP FORGED"と表示されるの通常のようですが、このモデルだけ”PARTIAL FORGED"になっています。
⑥-4 "Deluxe Yamaco" with JIS-P
・楕円Yamacoロゴの前に"Deluxe"と刻印されています。
・”Deluxe"有り無しの関係は確認できていません。
⑥-5 "Yamaco Junior" JIS無し
・JIS無しで、"YAMACO JUNIOR"。
・"JUNIOR"よりホームセンター向けなどの廉価版かと思います。
⑥-7 ASH/旭金属向けOEM JIS-H
・ASH/旭金属向けのOEMで、JIS-H。
・クロモリ鋼を使った高級仕様です。(ヤマコー自身のモデルには無い)
・表面の"No.2356"と裏面の"YK"より製造元がヤマコーと分かります。
⑥-7 マツダ向けOEM JIS-P
・表面の漢字"工"を丸くしたロゴよりマツダと分かります。
・裏面の楕円Yamacoが製造者記号になっていて、製造元はヤマコーと分かります。
・一方で、裏面左側に"NEON"と刻印されているのが気になりますが、NEON商標を登録している前田機工と何か関係があるのかもしれません。
・但し、JIS認証を受けていて、Yamaco刻印がありますので、ヤマコー製であることは間違いありません。
・マツダディーラーの整備工場向けと思います。
⑥-8 "KKK"向けOEM JIS-P
・丸"KKK"、さらに"Deluxe"の刻印が入っています。
・製造者記号になるのはYMC"だけであり、かつ"Y"から始まるJIS認証会社はヤマコーしか無いことから、製造元はヤマコーと分かります。
・JIS-P/部分鍛造。
・パッケージに(株)三共コーポレーションと記載されていて、コンビレンチやスパナで"HERO"を販売している工具商社です。
⑥-9 "National TMS"向けOEM JIS-P
・"National TMS"のロゴが刻印されていて、外箱にはカタカナで"ナショナル"と印刷されています。
・"YMC"よりヤマコー製です。
・特徴的な名前の割にはブランド情報を見つけられませんでした。
・"TRADE MARK"との表示から商標登録されているらしいのですが、これも登録を見つけられていません。
・トレーサビリティーを重視するJISマークが付いている割には、外箱も含めて製造会社や販売会社名が表示されていません。
1960年代頃の製品と思いますが、当時は会社名未掲載が許されていたようです。
⑥-10 "LIFEMAN"向けOEM JIS-P
・”LIFEMAN"の刻印が入っています。
・"YMC"より製造元がヤマコーと分かります。
・JIS-P/部分鍛造、"2-5"より19x2年5月生産(?)。
・家の中でハンマーを持った人のロゴに"LIFEMAN"丸Rとありますので、商標登録されているのだと思いますが、残念ながら登録は見つかっていません。
・販売元は不明ですが、ホームセンター向けの工具商社ブランドと思います。
2)JIS認証
★1952年5月13日…JIS認証取得(B4605/23度)@大阪/六万寺工場
※1954年までは23度はB4605規格でした。(1954年改定でB4604に統合)
↑1953年9月『JIS』月報
★1964年1月30日…何か変更?
1964年まとめリストによると許可年月日が変更になっているので、何か変更登録をしたことになりますが、工場は同じであり、何が変わったのか不明。
↑1964年『JIS表示許可工場名簿』
★1981年10月26日…六万寺工場の認可取り消し
一端認証を取り消してから、同日に別工場で認証を取り直しています。
但し、認証番号は変わらずで、何故単純に工場変更にしなかったのか不明です。
↑1982年2月『標準化ジャーナル』JIS月報
★1981年10月26日…大阪/加納工場にて再認証取得(認証番号は同じ)
↑1982年3月『標準化ジャーナル』JIS月報
★1994年6月27日…工場の住所変更(単に行政の住所呼称が変わっただけ?)
↑1994年10月『JIS』月報
★2001年~2007年…認証返上
JIS最終2007年リストには含まれていませんので、旧JIS規則が終了する2007年よりも前に認証権を返上しているようです。
一方で、2001年まではJIS月報で返上も含めて情報を確認できるものの、ヤマコーは含まれていませんので、2001年~2007年に返上したのだと思います。
(2001年~2007年のJIS月報を閲覧する手段が無いため、推測になります)
3)商標
↑1949年 商標取得
・製品に使用している楕円"YAMACO"の商標登録は見つからないことから、この商標登録を変形させて使用している模様。
↑1997年 "YAMACO"を再登録
4)広告
↑1960年『機械取引案内』
5)会社情報
↑ヤマコー(株)HPより
↑1962年『日本機械工業名鑑』
↑1962年『産経会社年鑑』、1967年『産経日本紳士年鑑』
↑1997年1月まではヤマコーHPにモンキーレンチが掲載されていました。
※現在のヤマコー(株)HP ⇒ こちら
⑬ KTC/京都機械工具
KTCについては当ブログでコンビレンチとスパナを中心にあらゆる角度から解説していますが、モンキーレンチを取り上げるのは初めてです。
1)商品
⑬-1 1953年広告
・創業3年後の1953年、KTCとして初の広告にモンキーレンチが登場しています。
・イラストだけの掲載で、握り部が右に細くなる形状になっていて、普通のモンキーレンチとは異なるデザインです。
・実物の存在は確認できていません。
mark style="background-color:#8f20ff;color:inherit;"> ⑬-2 1954年広告 二重丸京 JIS無し
・1954年と56年の広告に、二重丸京ロゴのイラストが載っています。
・1954年広告は、JIS認証を取得する直前になりますので、イラストはJIS無しモデルになっています。
・実物写真はありませんが、スパナの例から考えると、JIS無しとJISマーク付きの両方、さらに二重丸京の単独ロゴと二重丸京と楕円KTCのダブルロゴのモデルがあったと推測しています。
・次の⑬-3/日産向けのKTC版だと思います。
・パネル内の左側に表示されている"PAT. 370859"は、モンキーレンチに関するKTCの実用新案(または特許)だろうと思いますが、実用新案/特許は1970年以降しか検索出来ないため、内容を調べることは出来ませんでした。
⑬-3-0 "二重丸京" with JIS
1962年、63年のKTCカタログに二重丸京で"KYOTO K.T.C."と刻印されたモデルが載っています。
次の⑬-3-1/日産向けの裏面にあるKTC名表示が表面に移り、KTCモデルになっている感じです。
現物を見たことがありませんので、カタログだけのモデルかもしれません。
【2025年2月 追記】
実物を見つけました。
⑬-3-1 "二重丸京" 日産向けOEM with "YK"
・日産自動車向けの二重丸京モンキーレンチ。
・裏面のJISマークと共に表右側に"N"表示があることから、JIS-N/普通級だと思います。
・『KTCものづくり技術館』にトヨタ自動車向け工具と並んで展示されています。
・裏面に"BORON STEEL"という聞き慣れない表示がありますが、ホウ素/Boron入りの鋼材で、1%未満のホウ素を混ぜると強度があがるとのこと。
・日産自動車への納入は、日産自動車販売と日産弘済会経由の2ルートがあったものの、KTCが納入していた日産弘済会が工具の取扱いを止めたため、日産自動車への納入は早期に終了したとのこと。(社史『KTC50年の歩み』より
・KYOTO-二重丸京-K.T.C.という表示はスパナを見る限りでは1960年頃までしか使用されていないため、本製品は1954年~1960年頃までの生産と推測できます。
・なお、裏面JISマーク隣の”YK"よりヤマコー製の可能性があります。
・その場合、ヤマコーは1953年にJIS認証を取得していることから、1953年~1960年頃までの生産となります。
⑬-3-2 "二重丸京" 日産向けOEM "YK"無し
オークションで入手した日産向け二重丸京。
こちらには"YK"が無く、KTC製と思われます。
他のオークションを見ると、全てこの"YK"無しですので、上のKTC展示⑬-3-1が異例なのかもしれません。
但し、両方共に同じ形状ですので、製造者について何らかの解釈が必要なようです。
⑬-4 MW-1 "KYOTO TOOL CO." JIS-H
・楕円"KTC"ロゴとなり、ある意味最もポピュラーなJIS-HのKTCモンキーレンチです。(NW第1世代)
・スパナの例より、"KYOTO TOOL CO."が一番最初の会社名表示と分かっていて、1964年から1979年まで生産していた伏見工場製と推測出来ます。
・したがい、裏面の"75"は1975年製を示している可能性がありますが、KTCの数字2桁の製造記号は読み取りが難しいので、違うかもしれません。
・会社名表の"KYOTO TOOL CO."はスパナ例より1964年頃~1990年代の生産と推測できます。
・一方で、⑬-6の通り1988年に北陸KTCがJISを取得していますので、1988年以降は丸"H"
の製品に切り替わります。
・したがい、本製品は1964年頃~1988年までの生産となります。
・なお、裏面の"SA"より北陽産業/SANKI製の可能性があります。
・SANKIは1964年にJIS認証を取得していますので、生産年の推測に変わりはありません。
⑬-5 MW-2 "KYOTO TOOL" JIS-H
・会社名表示から"CO."が抜けて"KYOTO TOOL"になり、第2世代のNWモデルです。
・恐らく、1979年6月26日にJIS工場の変更登録をした久御山工場(1979年~現在)の生産と思います。
・⑬-4のNW第1世代に対し、NW第2世代はアゴ部がやり型になっているのが下の比較写真より分かります。(狭い場所へのアクセス性向上)
↑⑬-4と5の比較
⑬-6 MW-3 "KYOTO TOOL" JIS-H by 北陸KTC
・KTCは石川県に新たな生産工場となる北陸KTC(株)を設立し、1988年4月にモンキーレンチのJIS認証を取得しています。
・新たな認証番号である"No.488006"と共に、北陸KTCの製造者記号として丸"H"
のマークが刻印されています。
・NWの第3世代になります。
・KTCは1990年頃から新たな製造記号表示を採用していて、裏面の刻印"C4"より写真モデルは1994年10月の生産と分かります。
※製造記号の詳細は、当ブログ内スパナ解説のこちらにて。
> ⑬-7 MW-4 "KTC" JIS-H by 世信/韓国
・1980年の工場標準化法改正によりJIS認証は海外工場でも申請可能となり、ハンドツールとして初めて韓国の(株)世信が1997年に海外工場としてJIS認証を昌原工場(チャンウォン工場)で取得しています。
・モンキーレンチの認証番号である"KR9770"が表面に刻印されていることから製造元が"世信"と分かります。
・NWの第4世代で、JIS-H、ロゴが楕円KTCから現在も使用している斜めエスプリット字体に変わっています。
・なお、KTCは同じ1997年に自社資本の中国工場で生産を開始していて、海外化によりコスト低減を図るのなら何故自社の中国工場で生産しなかったのか疑問を感じます。
・中国工場はいちからの立ち上げなので、可動部分のあるモンキーレンチの製造はまだ技術的に難しかったのかもしれません。
・"F3"より写真モデルは2003年2月生産と分かります。
↓JIS認証取得…1997年5月29日 @昌原工場 (チャンウォン工場)
※(株)世信の会社情報については次稿の『日本のモンキーレンチ-5』の一番最後⑳にて解説します。(ほとんど情報がありませんが)
⑬-8 WM
・JIS認証のクレセントデザインとは別に、新たな新世代モンキーレンチWMシリーズを発売。
・開口部のワイド化、握りやすいグリップ、やり型ヘッド、くぼみを設けて操作しやすくしたウォーム部が特徴です。
・クレセント型から新世代への移行を示す斬新なデザインを採用しています。
・"A6"より写真モデルは2006年4月生産と分かります。
★意匠登録…D1288723、2006年12月18日登録
⑬-9 WMA
・カタログNo.No.39 (2017年)に掲載されていて、現在も販売中。
・製造記号がKTCには無い"B00"であることから、いずれかの日本メーカーからのOEMと推定します。("JAPAN"より日本メーカー製)
・ロブテックス??(ロブテックスにはコンビレンチをKTCがOEM供給しています)
⑬-10 "D-TOOL"
・高級工具市場への参入を目指していたKTCが、1982年にアドバルーンとして試験的に3,000セット限定で市場投入したDツール/デラックスツール。(正式にはD-KTCツールセーフ)
・モンキーレンチは200mmと300mmの2種。
・凹パネルの中に敢えて凸部分を作り、打刻刻印を行っています。
⑬-11 "MIROOR TOOL"
・Dツール限定販売での市場調査結果を受け、満を持して発表された高級工具ブランド。
・発売から10年で、本命のネプロスに引き継がれます。
・生産販売…1984年~1994年頃
・これも凹パネルの中に凸を作って打刻刻印。
★凹パネルと刻印
日本のモンキーレンチは、私が知る限り全ての凹パネルが浮き出し刻印になっています。
一方で、海外製品には凹パネル内に打刻により刻印している例があります。
凹パネル内への打刻は技術的に難しいのでしょうか?
なお、凹パネル内に周囲の縁と同じ高さの凸を作って打刻している国内例はKTC以外にも複数あります。
↓打刻による刻印例(PROTO)
⑬-12 "NEPROS"
・モンキーレンチとして全く新しいデザインであり、金属のかたまり感が前面に出されていて、私はとても気に入っています。
・すべり止め加工が無いので、握った時に落としそうなのが心配です。
・製造記号"2N"より写真モデルは2022年11月生産と分かります。
⑬-13 タイロッドレンチ
・テスター上でのトーイン調整など車検整備で活躍するタイロッドエンドレンチです。
・サンデーメカニックには余り馴染みがありませんが、ずっしりと重量感があり、プロ仕様を感じます。
・"JAPAN"刻印が無く、オレンジブックを見ると中国製になっています。
⑬-14 SK11向けOEM JIS-H
・藤原産業のSK11にKTCがJIS-HモデルをOEM提供しています。
・裏面の"KT"よりKTC製と分かります。
・製造者記号になる表示は"KT"しかなく、JIS18社で"K"で始まる会社はKTCしかないことからの判断です。
・やり型度合いより⑬-5と同一モデルと思います。
・なお、北陸KTCは丸"H"ロゴを製造者記号として使いますので、"KT"は京都の久御山工場となります。
・したがい、久御山工場がJIS認証を返上する1988年6月より前の生産と分かります。
⑬-15 CRAFTSMAN向けOEM
・KTCは、CRAFTSMANを初めとするSEARS社の複数のブランドにスパナやコンビレンチを1970年, 80年代にOEM供給していますが、その中にモンキーレンチも入っています。(品番44603より添付1971年カタログの商品と分かります)
・裏面に日本製Searsを示す"BF"マークが入っています。
・Sears社にはCRAFTSMANだけでなく、SEARS⑬-16とCOMPANION⑬-17のKTC製と思われるモンキーレンチもあります。
⑬-16 SEARS向けOEM
⑬-17 COMPANION向けOEM

⑬-18 FULLER向けOEM
・アメリカFULLER向けで、上のCRSAFTSMAN⑬-15と同一形状です。
・KTCは初のアメリカ輸出として1960年代からFULLERに供給を開始していて、上のCRAFTSMAN⑬-15よりも早く輸出を始めています。
※KTC製を示す表示はありませんが、KTCはスパナやコンビレンチ、パイプレンチもFULLER向けに供給しており、かつ形状が同一であることから、モンキーレンチもKTC製と考えて良いと思います。
★Craftsman、Sears、Companion、Fuller⑬-15~18については、こちらにてさらに詳細解説。
2)JIS認証
KTCは複数回の工場変更を行っていますが、モンキーレンチは3番目の御池工場で最初の認証を受けています。
★1954年11月22日…JIS認証取得 23度JIS-N, H @御池工場
1954年1月~1955年12月のJIS月報には何故か『JIS表示許可工場一覧』が掲載されておらず、24ヶ月の情報空白期間が発生しています。
KTCモンキーレンチのJIS認証取得はちょうどこの時期のため、下のまとめ版2年分より情報をピックアップしました。
↑↓1964年と1967年の『JIS表示許可工場名簿』
★1964年12月17日…工場変更(御池工場 ⇒ 伏見工場)
↑『標準化ジャーナル』1965年3月号より
★1979年6月26日…工場変更(伏見工場 ⇒ 久御山工場)
・新設された久郷山工場(くみやま工場)で3つ目の工場としてJIS認証取得。
↑『標準化ジャーナル』1979年9月号より
★1988年4月20日…石川県の北陸KTCにて認証取得 @石川/北陸工場
★1988年6月9日…許可取り消し(工場変更)
・所在地変更が1988年6月に申請されていて、北陸KTCが2ヶ月前の同年4月にJIS認証を取得していますので、久郷山工場のJIS認証取り消し登録と思います。
↑『標準化ジャーナル』1988年10月号より
3)商標
モンキーレンチで6種類のブランドロゴが使用されていますが、全て商標登録されています。
↑会社用と製品用の両方に使用されているロゴ
↓製品専用のブランドロゴ
4)広告
↑1953年『自動車整備』
・KTCの初広告にスパナと共にモンキーレンチも登場。
↑1954年『全国工場通覧』、1956年『同』
・JIS認証を取得してJISマーク付き。
・広告には楕円KTCも表示されていますが、製品のロゴは二重丸京。
5)カタログ
★ ⑬-11/ミラーツール
★ ⑬-12/ネプロス
★ ⑬-13/タイロッドレンチ
5)会社情報
KTCについては当ブログで何回も取り上げていますので、会社情報は簡単な解説に留めます。
・1950年5月…創業
・1952年11月…スパナでJIS認証取得
・1954年11月…モンキーレンチでJIS認証取得
・1970年…北陸KTC工場操業開始
・1979年…京都内の工場は現在の本社工場である久御山工場へ生産統合
・1988年4月…北陸KTCでモンキーレンチのJIS認証を再取得
★ 当ブログのKTC解説ページ一覧 ⇒ こちら
⑭ まこと刃物製作所
"まこと刃物製作所"は岐阜/関の金属加工会社で、刃物と自動車部品生産と共に三菱重工業向け専用のモンキーレンチを生産していました。(生産は三菱重工向けだけ)
1965年にモンキーレンチの生産を開始、1967年にJIS認証を取得して後に、1970年頃には納入を終了しているため、生産は5年程度の短期間です。
1972年に"まこと工業"に改名し、自動車用の鍛造部品生産を中心に今も事業を継続しています。
※前編『日本のモンキーレンチ-3』で販売の観点から三菱重工⑧を販売の観点から取り上げていますが、同じ製品ながら本稿では"まこと刃物"として生産の観点から解説します。
1)商品
⑭-1 三菱重工業向けOEM JIS無し/黒
・JIS認証を取得する前、1965年~67年に生産されたJIS無しの三菱重工向けモンキーレンチです。
・次の⑭-2/JISが、同一形状であり、"まこと刃物製作所(以下、"まこと刃物")を示すJIS認証番号が表示されていることから、この⑭-1も”まこと刃物"製と分かります。
・三菱重工が終戦直後から始めていた工具事業の一環として、三菱重工からの要請に基づきモンキーレンチの生産を始めたのだろうと推察しています。
⑭-2 三菱重工業向けOEM JIS無し/銀
・⑭-1の銀色メッキ版です。(クロームメッキ?)
・JISマークが無いことから、JIS取得以前の1965年~67年の生産と推測します。
・⑭-1と⑭-2のどちらが”まこと刃物"モンキーレンチの第1号なのかは情報がありません。
⑭-3 三菱重工業向けOEM JIS-H/黒
・外箱にNo.466055の表示があり、岐阜/関の"まこと刃物"が製造元と分かります。
・モンキーレンチ本体にはJIS認証番号は刻印されていませんが、外箱に表示のマーク("M"と逆さ"M"合わせ)が本体に刻印されていて、このマークが製造者記号となります。
・1967年にJISを取得していますが、1970年頃には三菱重工への納入が無くなりますので、①と②を合わせて生産期間は5年程度です。
★ Bahco No.71との比較
・傾きが23度と15度の差はありますが、"まこと刃物"はBahco No.7xに似ています。
・Bahco No.7xは1926年カタログに登場していて、歴史あるBahcoモデルです。
・モンキーレンチはBahcoとCrescentを抜きにして語ることは出来ませんが、日本のモンキーレンチの大半はクレセントが採用している丸凹パネルであり、JIS規格のデザイン例にまでクレセントデザインのイラストが採用されています。
・一方で、凹パネルがウォームギア部までつながっているのがBahcoの特徴であり、日本ではマイナーなデザインながら、"まこと刃物"が少数派として採用しています。
★ Bahco No.7x(第3世代)について
世界で初めてモンキーレンチを作ったBahcoに敬意を表して少し触れます。
・第3世代Bahcoの後期型(1924年~1954年)モデルです。
・第3世代の前期型(1914年~1924年)からのモデルチェンジです。
・モデル呼称は前期型も後期型もNo.7x。
・恐らく、戦前の日本に初めて輸入されたBahcoだと思います
2)JIS認証
★ 1966年11月1日~12月31日…認証取得(23度H級のみ)@岐阜, 関市/平賀工場
JIS月報には認証日が載っておらず、上記の2ヶ月間のいずれかでの登録になります。
↓JIS認証まとめ『JIS表示許可工場名簿』の1967年版にのみ"まこと刃物"が掲載されていますが、こちらにも認証日情報は載っていません。(但し、認証種類あり)
次の1982年版には"まこと刃物"は登場しませんので、正確な認証日は分からず仕舞いです。
★ JIS返上…1970年代に返上したと思いますが、掲載されるはずのJIS月報に情報はありません。
3)商標
↑1964年の商標登録
まことの"M"と逆さ"M"を合わせて円形にデザインしたのだろうと思います。
三菱向けモンキーレンチの本体と外箱に表示されたロゴは、この商標をアレンジしたものでしょう。
4)広告
三菱重工も含めて広告は見つかっていません。
5)会社情報
★ 会社沿革
現在の"まこと工業"HP ⇒ こちら
★ モンキーレンチ生産事業について
"まこと工業"殿からの聞き取り情報は、以下の通り。
・JIS認証を取得する前からモンキーレンチを生産していた。(生産開始は1965年)
・モンキーレンチは三菱重工への納入を目的として生産。
・したがい、自社ブランドも含めて三菱重工向け以外のモデルは無い。
・1972年に"まこと工業"に社名変更する前に納入は終わっていた。(生産は5年程度の短期間)
・記録がほとんど残っておらず、三菱重工への納入経緯を含め他の詳細は不明。
上記情報より、当ブログとして独自に以下と推測。
・三菱重工が終戦直後から始めていた工具事業の一環として、三菱重工からの求めに応じモンキーレンチの生産を開始。
・同じく販売を行う三菱重工の要請に基づき、JIS認証を取得。(三菱重工向けの23度JIS-H/強化型だけで認証取得)
・三菱重工の工具事業終了に伴い、"まこと刃物"のモンキーレンチ生産も終了。
↑1959年『全国工場通覧』
↑1964年『帝国銀行会社要録』、1970年『同』
この回、終わり
日本のモンキーレンチ/全13編には、こちらから

















































































