とても珍しい"無印KTC"
KTC-34
裏面に楕円KTCロゴは刻印されているものの、表面には何も表示されていないKTC製スパナを見つけました。
KTCロゴ刻印が入っていてブランド名が無印なのは、とても珍しいと思います。(珍しいと言うよりは、初めて見ました)
裏面右側に"F68"と浮き出し刻印があることから米国FULLER向けスパナの鍛造型を使っているのが分かります。
その正体は何なのでしょうか?
少なくともKTC製であることは分かるため、KTCの商品としては成り立っています。
製造元さえ分かれば、ブランド名は不要というマーケット(特別ユーザー向け)に対して、こういう出荷形態があってもおかしくはないと考えています。
青森県の三沢基地そばのリサイクルショップで見つかりましたので、米軍または自衛隊絡みなのかもと考えてしまいます。
なお、見つかったのは1本だけで、使用感の無い美品です。
凸丸パネルのスパナは国内向けには存在せず、米国FULLER向けだけです。
したがい、ブランド名"FULLER"の刻印を忘れたものが市場に流出したと考えるのが素直でしょう。
ただし、FULLERスパナは米国向けのため、FULLERスパナに無印が紛れ込んで日本市場に流れたとは考えにくいところです。
ちなみに、見つけた近隣でFULLERスパナは出回っていないようです。
さらに、打刻忘れの無印が市場に流れる可能性があるのであれば、日本市場に大量に出荷されているKTC自身のスパナやコンビレンチに無印が見つかっても良いはずですが、皆無です。
ちなみに、KTCカタログモデルでインチサイズのスパナは、凹丸パネルのS10しか無く、凸平行四辺形パネルのS100にはインチサンズが設定されていません。
したがい、KTC製凸パネルのスパナで、インチサイズでなければならないとするならば、自動的に凸丸パネルのFULLERスパナを選ぶことになります。
KTC製凸丸パネルの鍛造型を使っているのは、前述の通りスパナでは"FULLER"だけです。
コンビレンチに目を広げると、"FULLER"、さらに米国ブランドの"A.H.S."、国内向けでKTC自身、同じくKTCの廉価ブランド"TOOLMAN"があります。
このスパナ1種とコンビレンチ4種には、全てにFULLER向けの鍛造型を示す"Fxx"または"Fx"の浮き出し刻印が入っています。
ちなみに、KTCからFULLERへの出荷は1960年代初頭から1980年代後半までですので、この無印KTCも同年代の製品ということになります。
★FULEERの凸丸スパナ("Fxx")

FULLER向け凸丸パネルのスパナです。
裏面に”DROP FORGED"(落とし鍛造)と刻印された仕様と、"FORGED ALLOY"(鍛造鋼材)の2種類があります。
無印は”DROP FORGED"の方です。
このモデルから"FULLER"刻印を除くと、今回の無印KTCになります。(インチとミリの差はありますが)

裏面は"FORGED ALLOY"のFULLERです。
こちらの方がポピュラーです。
★FULEER鍛造型の凸丸コンビレンチ(全て"Fx")

↑FULLERの凸丸コンビレンチ

↑米国ブランドA.H.S.向け

↑KTC自身

↑KTC廉価版のTOOLMANコンビレンチにはKTCを示す製造記号は入っていませんが、スパナの方には"KT"または"KTC"のいずれかが刻印されています。
【補足】色々な無印KTC
通常の商品には製造者名とブランド名の両方が表示されていて、ブランド名は商品の顔である表面に表示されます。
当ブログでは、ブランド名が無いものを"無印"と呼んでいます。
当然ながら、ブランド名と製造者名の両方が無くても"無印"になります。
1)完全無印のKTC
裏面に製造元のKTCロゴはあるけれど表面のブランド名が無いというのが今回の無印モデルですが、表も裏も無印のKTC例が"TOYOTA"にあります。
日本向けのセルシオに車載されていた完全無印のスパナです。
裏面の"S24"という刻印からKTCのS100スパナの鍛造型を使用していることが分かり、これがKTC製の証明となります。
JAPAN刻印がないので、KTC上海工場製と推測しています。(車の生産年と上海工場の操業年も一致)
2)もうひとつのKTCロゴだけスパナ

実はKTCロゴが片面に入っているだけのスパナがもうひとつあります。
但し、表面に刻印されていて、会社名とブランド名の両方を示すKTCロゴになりますので、今回取り上げた『表面にブランド名が無い無印』とは異なります。
これも正体不明ですが、詳細はこちらに。
ちなみに、同じく青森で見つかっています。
三沢基地絡みなのでしょうか、青森はKTC珍品の宝庫です。(KTC以外も)
3)記号表示だけの無印KTC
OEM製品で、ブランド名に相当する供給先の名前が無く、記号だけのKTCです。
豊田自動織機向けのOEMで、裏面に大きな楕円KTCロゴが入っているものの、表面には記号だけです。
商品を見てもどこ向けだか分かりませんので、無印の範疇です。
同時出荷のメガネに会社ロゴが入っていることから、トヨタ自動織機向けと分かりました。
詳細は、こちらに。
4)裏面無刻印のKTC
表面に会社名としての"KTC"、ブランド名としての"ネプロス"が入っていますので、無印ではありませんが、裏面は敢えて無刻印というKTCもあります。
特注品用ベースの金色ネプロスです。
裏面は無刻印のままKTCから出荷され、イベント主催者など第3者が自社名やイベント名を独自に印字して特注品を作るためのものです。
ちなみに、KTC解説の各ページで必ず最後に使用している"KTC Collection"コンビレンチは、この特注品ベース裏面を写真加工したものです。
今回のモデルは、『敢えて無印で出荷』、または『刻印忘れの無印を間違って出荷してしまった』のいずれかだと思います。
但し、残念ながら結論がでないまま、『とても珍しい無印KTCを見つけました』で終わりになります。
しかしながら、無印であることに意思を感じていますので、個人的には『敢えて無印で出荷』の可能性が高いと思っています。
KTCは、商品種類が多く、また歴史も長いので(もうすぐ75年)、色々な商品があるということだと思います。





