Craftsman-8
T型フォード用(1930年頃)
【2021年4月4日追記】
アメリカから届いた現物に写真を差し替えました。(①、③x2、④、⑤の5本)
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珍しいCraftsmanを手に入れました。
Craftsmanのコレクションに拘っていて、長らく探し求めていたコンビレンチです。
今回のテーマは3つ。
1.オールドタイプとモダンタイプ
2.Searsでは無いCraftsmanの可能性
3.車載とアフターマーケット
1.オールドタイプとモダンタイプ
① Craftsman / T型フォード用のアフターマーケット向けコンビレンチ(1930年頃?)
・コンビレンチは1933年にPLOMBが世界最初で、Craftsmanのコンビレンチは4年遅れて1937年に登場しています。
・"世界最初"というのは『モダンタイプ・コンビレンチでは』という注釈が付きます。
・『モダンタイプ・コンビレンチ』の定義は、(1)胴長がストレートで曲がりが無く、(2)スパナ部とメガネ部ともにオフセット(15度)が付き、(3)メガネ部が12PTのコンビレンチとなります。
・しかしならが、1933年以前にも(1)~(3)に当てはまらないながら色々な形のコンビレンチが存在しており、これを『オールドタイプ・コンビレンチ』と呼びます。
・今回手に入れたCraftsmanはオールドタイプであり、胴長に大きな曲げが入り、かつスパナ部は胴長に一直線でつながっていて締付方向のオフセットが付いていません。(見た目からして如何にもアンティーク)
・Tフォード(1907年~1927年)のアフターマーケット向けに市販されたものです。
・一方で、SearsがブランドCraftsmanの製品を世に出したのは1929年で、最初はのこぎりだったことが分かっていますので、このコンビレンチは1929年よりも後、1930年以降の製品となってしまいます。(アメリカの各種サイトを確認しましたが、販売年を特定できる情報は見つからず)
・T型フォードの生産終了は1927年ですので、1930年以降までの少なくとも3年間はこのCraftsmanモデル①は販売されなかったことになり、ちょっと疑問を感じます。(この疑問は次項2に継続)
・Craftsmanには製造記号が刻印されているのが通常ですが、この商品にはCraftsmanロゴ以外には何の表示もなく、製造工場も特定できません。
↑世界最初のモダンタイプ・コンビレンチ、PLOMB(1933年)
↓Craftsmanで最初のモダンタイプ、CIシリーズ(1937年)
2.モデル①はSearsでは無いCraftsmanの可能性
② "Marion-Craftsman Tool"社製のCrfatsman(1920年頃)
・Searsは"Marion-Craftsman Tool Company"(オハイオ州)からCraftsmanの商標使用権を1927年に購入し、2年後の1929年からCraftsmanブランドとして"のこぎり"、1930年からスパナの販売を開始しています。(by Wikipedia & Chicagology)
・そのMarion-Craftsmanは、Searsに商標を譲るまでT型フォードのアフターマーケット向けに"Craftsman Tool"と刻印した写真のレンチ②(スパナ、ボックスは同一口径)を販売していました。(by Garage Journal)
・したがい、モデル①は、SearsのCraftsmanでは無く、Marion-Craftsman Tool Companyが車載工具③と同一タイプのコンビレンチもCraftsmanと刻印して販売していた可能性があります。
・モデル①で述べた通り『T型フォードが生産終了した3年以上も後にアフターマーケットで新商品を販売するものなのか』、また『Craftsman初期カタログにモデル①が掲載されていない』の2点がモデル①はMarion-Craftsmanの商品ではないかと推測する根拠です。(by Craftsman Catalog 1929-1942 Text Explanation)
・ただし、Marion-Craftsmanの他の工具を見ると、どれも"Craftsman Tool"との刻印が入っていますので、"Craftsman"と単独ロゴが刻印されているモデル①はSearsの可能性も残っています。
・Sears Craftsman製なのか、Martin-Craftsman製なのか、可能性は半々だと思います。
・なお、前述のGarage JournalではMartin-Craftsmanの可能性に一言だけ触れています。
*このモデル②の写真のみGarage Journalからの借用で、他は全て私のコレクションより。
*リンク先参照(アンダーライン部)が多くなっていますが、私自身が調べた経緯や情報源を忘れないようにするためですので、あしからず。
*写真はAlloy Artifactより
3.車載とアフターマーケット
③ Moore Drop Forging社 / T型フォード車載工具(1907年~27年)
・T型フォードに車載された工具セット内のコンビレンチです。
・T型フォードと同時期の生産になりますので、1907年~27年製となります。
・スパナ部はスパークプラグ用(15/16インチ)、メガネ部はシリンダーヘッド用(5/8インチ6P)。
・モデル①/Craftsmanに対し、スパナ部に締付方向のオフセットが付いていて、モダンタイプに近くなっています。
・但し、胴長がストレートでは無く、2カ所で大きく曲がっていること、またメガネ部が6PTのため、モダンタイプでは無く、オールドタイプになります。
・Moore Drop Forging社製で、裏面に○Mの刻印が入っています。
・『車載工具に入っているのに同一の工具が何故アフターマーケットで市販されているのか?』という素直な疑問を感じますが、『1,500万台も売れていれば、中古などで車載工具の無いT型フォードを入手した人も多いだろう』というのがアメリカ工具フォーラムGarage Journeyでの結論です。
・昔の車は頻繁にプラグ清掃や交換が必要で、またシリンダーヘッドも良くガス漏れを起こし、この種の工具が必需品だったのでしょう。
★Craftsman①とT型フォード車載工具②の比較
・基本的には同じ形状ですが、Crafstman①(一番上)が少し短めです。
・上から2番目と3番目は同じフォード工具ですが、銀メッキと黒塗装の差があります。
4.代表的なオールドタイプ例
④ Planet Jr.(1910年代)
・1910~20年頃、農工トラクター用のPlanet Jr.製コンビレンチです。
・メガネ部は四角頭のボルト用で4PTになっています。
・スパナ部にはオフセットが付いています。
・鍛造では無く、鋳造製で、強度補強のために凸ラインが複数入っています。
⑤ VLchek(1920年代)
・1920年代、VLchek車載工具用のハブレンチです。
・スパナとメガネが合体されていますので、立派なコンビレンチです。
・VLchekは1959年にPLOMBグループ入りしますが、この当時は自動車用ツールキットで最大のメーカーでした。
⑥ Auto Kit(1930年代)
・ブランドAuto Kit(J.P. Danielson社製)のコンビレンチです。
・PLOMBのモダンタイプ・コンビレンチが登場したのと同時期のコンビレンチです。
・6本を重ねてボルトで固定させるようになっていますので、スパナからメガネまで平面で、かつ胴長の中央に孔が開いています。
・写真は"PAT.PEND"との刻印が追加された第2世代(1935年~37年製)になりますが、同型で"PAT.PEND"の刻印が無い第1世代(1930年~34年製)がPLOMB登場の3年前から販売されていました。(Patent/特許:US2083130 by J.P. Danielson)
★Craftsmanシリーズ
*Craftsman-1 /Standard
*Craftsman-2 /ミラータイプ他
*Craftsman-3 /限定品
*Craftsman-4 /ステンレス(1972年)
*Craftsman-5 /兄弟ブランド(Seras, Companion, Dunlap)
*Craftsman-6 /カタログ
*Craftsman-7 /単一品番コレクション
*Craftsman-8 /T型フォード用(このページ)












