SIGNET(完全解説版)

SIGNET Tool International Co., Ltd.

台湾

 

SIGNETについてカタログ情報だけで過去に簡易解説をしていますが、可能な限りの現物の入手が完了しましたので、全てを書き直しました。

ブランド(運営会社)については商品紹介の後に触れますが、説明の都合でSIGNETが日本とイスラエル、カナダ3国の共同出資による企業であることは最初に明記しておきます。

ちなみに、SIGNETを手に入れるために、ネット上で世界一周をしました。(台湾、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イスラエル、英国、ロシア)

 

 

なお、SIGNETは製造工場を持たないファブレスブランドですので、全ての商品に必ずOEM元(製造元)があります。

商品毎にOEM元を推測し、出来る限りそのOEM元のオリジナルモデルとの比較写真も載せています。

OEM元として少なくともKABOとINFAR、TOPTUL、そして上海SATAの4社が入り混じっています。

地元台湾の製造メーカーをフル活用しているところは流石です。

ちなみに、上海SATAは同じAPEXグループである台湾のLeaWay社(ブランドGearWrench)がコントロールしているようですので、中国製ではありながら台湾ビジネスの一角に入っていると理解しています。

 

1.商品紹介

SIGNET運営の主要4カ国(台湾、日本、イスラエル、カナダ)のカタログより商品一覧を作成しました。

は台湾カタログに掲載されているモデル、さらには株主である日本、イスラエル、カナダ3カ国のカタログに独自に掲載されているモデルになります。

①から⑫まで全部で12種類になります。

SIGNETモデル単体は緑色の背景写真、OEM元との比較は水色の背景写真にしてあります。(白い背景はカタログ写真の流用)

 

 ① Standard (品番30212、サイズ12mmの場合) OEM by SATA 

Standardは、SIGNETで一番ポピュラーなモデルです。

4カ国(台湾、日本、イスラエル、カナダ)の全てのカタログに掲載されているのはこのStandardだけです。

 

SIGNETロゴとサイズ表示にバリエーションがあります。

写真の上側、サイズ19mmのSIGNETロゴは字体の斜め度合いが少し緩やかで、かつサイズ表示がスパナ部になっています。

たまたま私が保有している物だけの話かも知れませんが、19mm以上は写真の上側、17mm以下は下側となっています。

 

各部の寸法も形状もSATAと全く同一ですので、StandardのOEM元はSATAであることが分かります。

SATAは中国製ですが、世界で最大の工具企業グループであるAPEXが、『2013年以降はCrescent、GearWrenchとSATAの3ブランドに特化していく』と宣言していますので、品質も商品の魅力も充分な実力のあるメーカーです。

アメリカ市場のコンビレンチ(特にミラーフラット)の大半は、台湾のINFARとKABO、そしてこのSATAの3社の製品になります。

 

 ② Extra Long (品番30512) OEM by TOPTOL 

かなり長いモデルです。

通常のロングはサイズ12mmで200mmよりも短くなっていますが、このモデルはL=224mmあります。

 

OEM元のTOPTULとの比較写真ですが、TOPTULがOEM採用されているのは非常に珍しいと思います。

 

 ③ Stubby (品番30332) OEM by SATA 

Standardt同様にStubbyでもSATAを採用しています。

 

SATAとの比較写真です。

 

 ④ Offset 75-Degree (品番33612) 

台湾のカタログにしか掲載されていないモデルで、ボックスに75度のオフセットが少しだけ付いているヨーロッパ向けDIN仕様になっています。

後述する⑧のヨーロッパ向け凹パネルと共にどの国でも販売されておらず、手に入れることが出来ていません。

本国台湾の通販サイトにも無く、ヨーロッパ工具販売市場の中心地である英国でも登場してきません。

例えば、ebayでは、SIGNETコンビレンチ自体がアメリカと台湾には1件も掲載されておらず、英国ebayにのみ200件ほど掲載されていますが、全てがミラーフラットのモデル(サイス違い)になっています。

 

現物が手に入らないこともあり、このモデルのOEM元探しは難解です。

長さがサイズ12mmでL=160になっていますが、INFARがL=180、SATAがL=175、TOPTULとHONITONがL=170ですので、どれも該当しません。

また、KABOとKING TONYにはOffsetモデルの設定がありません。

台湾または中国の別の製造メーカーなのか、それともSIGNET専用の金型なのでしょうか?

 

参考までINFARを採用している日本DEENの同じタイプの写真です。

少し長いことを除けば、SIGNETとINFAR/DEENは非常に類似しているのが分かります。

 

 ⑤ Extra Long Twist (品番30872) OEM by GeraWrench/SATA 

台湾本国とイスラエル2か国のカタログにひねりモデルが登場しています。

掲載写真の形状からSATA製であることは明確です。

どのようなロゴが入っているのかとカタログを見ても台湾の写真は解像度が低くて良く分かりません。

幸いイスラエルカタログがなんとか拡大表示に耐えられる解像度で、斜めから映した写真ですが、GEARWRENCHと刻印されているのが分かります。

つまり、SIGNETカタログに掲載されてはいるものの、SIGNETロゴのモデルでは無いことになります。

ちなみに、GearWrenchはラチェットギアーコンビレンチで有名な台湾Lee Way社のブランドです。

APEXグループの中でLee Way社がアジアを統括していますので、このひねりモデルもSATAで製造されたGearWrenchブランドの商品がSIGNETに納入されているものと思います。

このひねりモデルのSIGNET版も入手不可能になっていますが、GearWrench版が入手可能ですので、敢えてSIGNET版を入手する必要は無いのかと思います。

ちなみに、このSATAひねりモデルは、アメリカではAPEX販売網でGearWrenchブランドとして出回っています。

 

↑イスラエルカタログの写真、↓その拡大写真

 

SATAとの比較写真です。

SATAのひねりモデルは、アメリカではGearWrenchだけでなく、同じAPEXグループのKobaltと、さらに農産物の種を売っているPioneer Seedからも販売されています。

 

 ⑥ Non-Skid (品番30832) OEM by KABO 

このNo-SkidモデルはKABOを採用しており、カタログでの商品説明もKABOのカタログ写真がそのまま使用されています。

上の写真は、木箱入り特別仕様のもので、ロゴも大きく、レザー印刷になっており、品番が専用になっています。(通常の30832では無く、35312)

通常のNon-Skidモデルは、SIGNETのロゴが他のモデルと同じように刻印タイプなのだと思います。

 

↑ボルトをがっちる捕まえる溝がスパナ部の両サイドに入っています。

SIGNETではNon-Skidと表示していますが、KABOはNon-Slipと呼んでいます。

 

上の写真は、KABOとの比較です。

 

 

カタログでの説明。

左側がSIGNET、右側がKABOで、SIGNETはKABOの説明写真をそのまま使用しているのが分かります。

 

 

木箱入りの5本セットです。

品番が専用で、SIGNETのロゴも大きく、特別仕様の限定品のようです。

 

下の写真は、KABOのロシア語カタログだけに掲載されている金色のNon-Slip5本セットです。

ロシア語なので何と説明されているのか分かりませんが、5本のサイズ(10~19mm)とNon-Slip、Goldenだけは英語になっています。

これの銀メッキ版がSIGNETで採用されているのだと思います。

このカタログ写真を見た時に『欲しい!』と思ったのですが、実はSIGNETの銀メッキ版がそのKABO製であることにこのページを書いていて気が付きました。

 

本モデルのSIGNETロゴを拡大したものですが、レザー印刷はドットでマーキングしているのですね。

 

 ⑦ Quick Release (品番30432) 

↑台湾と日本のカタログにだけ掲載されている早回しモデルです。

↓8本セット

 

"SIGNET"がレザー印字になっているバージョンもあります。

 

現物を入手するまではINFARがOEM元だと考えていたのですが、スパナ先端部の形状などが微妙に異なります。

INFARモデルが手に入っていないため、と言うよりもINFARはOEMに徹していてINFARブランドの商品が実在しないため、上の写真はINFARを採用しているDEENとの比較になります。

 

とても興味深いことにスパナ部の形状が日本のスーパーツール社/Super Headの早回しモデルに非常に似ています。

スーパーツールは1954年(65年前)に早回しの特許申請を行い、4年後の1958年に特許認可を受けています。

SIGNET(INFAR?)がどの特許に基づいているのか分かりませんが、何らかの関係性があることは明らかかと思います。

スーパーツールの詳細はこちら

 

スパナ右側先端の厚みや湾曲度が異なりますが、全体で見るとほぼ同じです。

 

 

 

上段がSIGNETで、下段がスーパーツールになります。

スパナ底部の形状などは全く同一です。

 

 ⑧ Spline 凹-Panel/とんがりパネル (品番30912) OEM by INFAR 

台湾とイスラエルのカタログにだけ掲載されている凹とんがりパネルで、ヨーロッパ仕様と言えるモデルです。

ボックス部がスプライン形状になっています。

これも残念ながら④と同様に台湾でもヨーロッパでも入手する手段がありません。

長さとカタログ写真の形状、ならびにボックス部がスプラインであることから判断すると、INFAR German-typeの表面仕上げサテンを採用しているのでは無いかと思います。

ただし、このタイプ(凹とんがりパネルのサテン仕上げ)では、形状が微妙に異なる複数の商品が確認出来ていますので、今後の課題としてそれぞれのOEM元(製造元)を明確にさせる必要があると考えています。

 

↓台湾版よりも解像度が高いので、イスラエル版のカタログ写真を載せます

 

 ⑨ ボルトリムーバブル (品番30522) 

六角頭がなめてしまったボルトを緩めるためのレンチです。

その名もボルト・リムーバブルです。

大トルクを掛けても良いように材質にモリブデンが使用されています。

日本のカタログにだけ掲載されています。

 

上の比較写真のように台湾製のZEALUXと同一モデルになっていますが、ZEALUXが製造元なのか、ZEALUXもOEM供給を受けているのか判然としません。

ちなみに、日本のスエカゲツールのPro-Autoも同じモデルを採用しています。

 

物は試しにSuper Longで採用しているTOPTULと比較してみました。

長さとスパナ部の形状は、ほぼ同一ですが、胴長とボックス部とのつながり方が異なります。

ちなみに、TOPTULにはこのタイプのボルト緩めモデルはありません。

 

 ⑩ ステンレスレンチ (品番セットで30701) 

台湾本国のカタログには掲載されていませんが、日本とイスラエルにステンレスモデルが登場しています。

何の特徴も無い、無国籍感が漂うモデルです。

カタログにも9本セットのホルダーにも原産国の表示が無いので、台湾製なのか中国製なのか、はたまたインド製なのか不明です。

SIGNETの刻印が申し訳程度に薄く打刻されているのがとても残念です。

このモデルの存在感の薄さは、たぶんこの刻印に起因するのだと思います。

ちなみに、INOXはステンレス製品に共通する呼び方です。

 

 

 ⑪ 凸平行四辺形パネル (品番830406) 

カナダのSIGNET会社Webにだけ掲載されているモデルです。

ロゴがSIGNETでは無く、SGになっています。

SGは、SIGNETの略かと思いますが、何故SIGNETの名前を使用しないのか不明です。

カナダ会社の社名もちゃんとSIGNET TOOL INC.になっていますし、WebにはSIGNETのロゴも登場していますので、SIGNETと言う名前が使えない訳では無いようです。

なお、凸平行四辺形パネルの商品はどの台湾メーカーにもありませんので、OEM元は不明になります。

パネル形状を除けばINFARのA-Type(凸丸パネル)が非常に類似しています。

ただし、諸元表が載っていないので、長さなどのスペック比較による深掘りが出来ません。

 

アメリカの工具マニアフォーラムのGarage Journalに入手方法を聞いたところ、『カナダのカルガリーにある工具屋で16本セットなら売ってるよ』という情報を貰いました。

早速そのネットショップを確認しに行ったのですが、残念ながら『カナダ外からのオーダーは受けません』とのことでした。

それではと、直接SIGNETカナダにメールをしたところ、『まだ在庫はありますが、カナダ以外には発送しません』とのことで、SIGNETカナダの商品はカナダ人しか購入できないようです。

ただし、実際に売っていることは確認出来ました。

抜け道は無いかと色々と考えています。

 

 ⑫ 4WDミラクルレンチ (品番IM12) 

日本のカタログにだけ掲載されているミリとインチ兼用のコンビレンチです。

KABOに同様のコンセプトでTwindriveというモデルがあり、その解説の中でMetrinchにも触れていますので、詳細はこちらを参照願います。

ちなみに、Metrinchは、"Metric"と"inch"の造語で、メトリンチと読みます。

SIGNETの日本カタログに載ってはいますが、SIGNETとの関係は無く、単に日本輸入代理店の販売上の都合で掲載されているモデルと理解しています。

 

 【番外】 Bottle Opener/栓抜き(品番99927) 

日本のカタログにだけ掲載されていますが、栓抜きです。

道具としてのコンビレンチではありませんので、番外としますが、Chrome Vandium鋼を使用し、しっかりとした作りの商品です。

ボックス部は通常のコンビレンチとして充分に機能すると思います。

これもINFARのOEMですが、INFARのカタログを見て気に入り、いずれどこかのブランドが採用するだろうと待っていました。

ブルーメタリックがとても綺麗です。

実は私が一番気に入っているSIGNETです。

※青メタの綺麗さを損なわないように、この写真だけは背景を無彩色にしてあります。

 

 

 

2.ブランドSIGNETについて

台湾のファブレスブランドで、日本でも多くの商品が流通しています。

Wikipediaの"世界の工具"によると、

『1990年創立。日本・カナダ・イスラエルの3社による共同出資によりシグネットインターナショナルとして本部をオンタリオ州ピカリングに設立したが、現在は台湾(台中市神岡区)に本部を移転している。』

とのことです。

会社Webに掲載されている販売ネットワークを見る限りでは、日本:喜一工具、カナダ:QialityTool、イスラエル:Peled Technical Supplyとなっていますので、この3社による出資なのだろうと推測しています。

下の6カ国の輸入代理店は、主要取引先としてWebで紹介されています。

 

3.各種情報

SIGNET 会社Web

Wikipedia 工具メーカー一覧

日本カタログ Ver.9/2019年版

日本カタログ Ver.6/2009年版

カナダ/SIGNET CANADA 会社Web

イスラエル/Peled Technical Supply 会社Web

イスラエル・カタログ/2019年版

 

4.カタログ

 台湾Web英語カタログ 

 ①-1 Standard (品番30212、サイズ12mmの場合) OEM by SATA 

 

 ② Extra Long (品番30512) OEM by TOPTOL 

 

 ③ Stubby (品番30332) OEM by SATA 

 

 ④ Offset 75-Degree (品番33612) 

 

 ⑤ Extra Long Twist (品番30872) OEM by GeraWrench/SATA 

 

 ⑥ Non-Skid (品番30832) OEM by KABO 

写真、寸法図、機能説明写真共にKABOのカタログそのものです。

 

 ⑦ Quick Release (品番30432) 

 

 ⑧ Spline 凹-Panel/とんがりパネル (品番30912) OEM by INFAR 

 

諸元表を見ていて面白いと思ったのは、各寸法の記号(アルファベット/厚みがTなど)の入れ方。

如何にも各メーカーの諸元表からそのまま持ってきた感じが否めなく、このアルファベットの使い方も4種類に分かれているので、OEM元が4種類であることと一致します。

 

 日本語版カタログVol.9 

 

 

 

 ⑨ ステンレスレンチ (品番セットで30701) 

 

 

 ⑫ 4WDミラクルレンチ (品番IM12) 

 

 ⑧ ボルトリムーバブル (品番30522) 

 

 番外 Bottle Opener/栓抜き(品番99927) 

 

 日本語版カタログVOL.6 

このカタログのみに掲載されている商品はありませんので、特にコメントは入れてありません。

 

 イスラエル語版 

文字は読めませんが、写真と一覧表で充分に分かります。

 

 

 

 

 

 

 

 ⑤ Extra Long Twist (品番30872) OEM by GeraWrench/SATA 

 

 ⑩ 凹とんがりパネル (品番30912) OEM by INFAR 

 

 カナダ Webカタログ 

ミラータイプではStandardだけが掲載されています。

 

 ⑪ 凸平行四辺形パネル (品番830406) 

SIGNETを略したと思われるSGブランドになっています。

カナダSIGNET独自のモデルのため、ブランド名も独自にしたのでしょうか?

 

 

この回、終わり