スーパーツール/日鍛工機のすべて
【2025年1月1日】
終戦直後から1970年までの全カタログを入手しましたので、スパナ第1号を含めて商品情報を全面的に書き換えました。
1950年代、60年代のカタログを保管しているメーカーは意外に少なく、さらに終戦直後の1940年代(1945年~49年)のカタログが見つかることはほとんどありません。
私が知る限りTONEとスーパーツールの2例だけです。
※カタログ全8冊は、本ページの後半に掲載。
Super Tool (former Nittan Koki) has been in business for over 100 years.
Prior to WW2, they were a pliers manufacturer, but since WW2 finished they have focused on open end, combination & adjustable wrenches.
Their entire catalogs from 1948 to 1971 has been found out.
Accordingly, I had rewrote this page entirety based on these catalogs.
It is very rare case for Japanese tool manufacturers to keep catalogs from the last 5 years after WW2 (1945-1950).
And as far as I know, TONE and this Super Tool are the only two companies that have kept such catalogs.
All 8-catalogs are available for download from this page.
Please enjoy these historical Japanese tool catalogs and my weblog.
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スーパーツール(旧・日鍛工器)は、大阪の堺市を拠点とする作業工具製造メーカーで、100年を越える歴史があります。
そして、早廻しコンビレンチを1954年から現在まで約70年間に渡り販売し続けていることは特筆に値します。
一方で、1962年にスパナでJISを取得している割には、スパナの情報がほとんど確認出来ていませんでした。
そのスパナの初代からの変遷が分かってきましたので、早回しコンビレンチと共に『スーパーツール/日鍛工機のすべて』として解説します。
初期のモンキーレンチとペンチについても。
1.会社情報
★基本情報
↑1962年『日本機械工業名鑑』より
1)会社沿革
1918年/大正7年…創業
・所在地は大阪/堺市の北旅籠町。
・個人企業としてペンチやニッパ類の工具を製造していたとのこと。
1942年9月…日鍛工機(株)設立
・開戦(1941年11月)の翌年、大阪府商工部の斡旋による企業合同として日鍛工器を設立。(どのような企業が合同したかの情報は無し)
・工場を北旅籠町から隣の高須町(本社工場)と北清水町(第二工場)に移転。
- - - - - 終戦
1952年…モンキーレンチでJIS認証を取得(B4604-1447)
1954年…早廻しコンビレンチを"スーパーヘッド"ブランドとして発売
1957年…工場を隣の南清水町に再移転(2つの工場を統合)
1960年…メガネでJIS認証を取得(B4632-7254)
1962年…スパナでJIS認証を取得(B4630-8976)
1965年…工販分離
・販売部門が(株)スーパーツールとして日鍛工器から独立。
・同時に日鍛工器の本社工場を現在の堺市見野山に移転。
1980年…工販再び合併
・販売会社の社名であった(株)スーパーツールを合併会社の社名に採用。
2)登録商標
(1) スーパー印
1948年…
が企業広告に登場(スパナを含む初期商品に使用)

↑1948年『大阪府推奨優良工産品名鑑』
この時、既にスパナが商品に加わっていたことが分かる貴重な広告。
TRADE MARKと説明がありますので、ロゴ◇Super(小文字)も商標として登録されていたようです。(商標検索では見つかっていません)
1949年 商標登録 by 日鍛工器(◇SUPER)
1974年 商標登録 by 日鍛工機(桜マーク付き)

1986年 商標登録 by スーパーツール(中抜き桜マーク付き)
(2) スーパーヘッド
1955年 "Super Head"(商標出願は前年1954年)
・1954年発売開始の早廻しコンビレンチ第1世代から現行の第4世代まで全てにブランド名として採用。
(3) ギヤーN
1960年 別ブランドとしてギヤーN印を設定
(4) ギヤーSUPER
1962年 さらにギヤーSUPER印(ペンチのみに採用)
↓1963年カタログより
(5) スーパーツール
1995年 (出願は1992年)
・1982年の社名変更(スーパーツール)に伴い、同年発売の早廻しコンビレンチ第4世代に採用。
2004年 英語"SUPERTOOL"
★巻末に会社情報の補足として以下を追記。
1. スーパーツール100年の歴史、2. 現在の本社工場写真、3. 工場移転地図、4. その他の商標登録、5. 会社紹介記事
↑1973年6月7日『日本機工新聞』内の設立30周年広告
2.商品情報
1)スパナ
➀ 最初のスパナ / 1948年頃
1948年の広告より、戦後すぐにスパナが商品に加えられ、ロゴは◇Super(小文字)が使われていたことは分かっていました。
そして、同時期に発行された初カタログが新たに見つかり、そこにスパナの写真がちゃんと載っていたのです。
戦前にスパナは生産していなかったようですので、これが日鍛工機の最初のスパナだと思います。
残念ながら、実物は見つかっていませんので、カタログ写真は不鮮明ながらも参考にして推定写真を作ってみました。(同時期に京都機械/一重丸京より類似形状の凹帯パネル・スパナが出ていますので、その写真を活用しています)
スパナ・コレクターとしては、この初代スパナを是非とも発掘したいと思っています。
↑推定写真
※この時代のロゴは手彫りでしょうから、この写真ほど綺麗に彫られてはいないと思います。
↓1948年頃カタログ内の写真
↓表紙の商品写真(ロゴは小文字の◇Superなのが鋸の写真で分かります)
↓1948年『大阪府推奨優良工産品名鑑』内の広告(再掲載)
・1950年代の英語パンフレットに6本セットのスパナがイラストで載っていて、ホルダーに◇SUPER(大文字)のロゴが記されています。
・文字は"DROP FORGED SPANNER ASSY"だと思います。
➁ "ギヤーN"スパナ-1 / 1950年代? 品番:C
・スーパーツール社に確認したところ、
『40年前に事務所で、その数10年前に販売されていたと言われているギヤー印の中にNが表示されたスパナを見たことがあると先輩から聞いていて、"ギヤーN"と社内で呼ばれていた』とのこと。
・そして、その"ギヤーN"ロゴが、日鍛工器により1960年に商標登録されているのを見つけ、実在するという確証を得ました。("N"は日鍛工器/Nittan Kokiより)
・そして、ついに実物を見つけました。
・その存在を知ってから現物を手に入れるまでに2年掛かりました。
・JISマークが無いことから1962年以前のモデルであることが分かります。
・1948年頃カタログのスパナは◇Superロゴですので、1948年以降に登場したものと思います。
・ギヤーNの商標登録は出願が1959年ですが、実際には1950年代前半から登場していたのではないかと推測しています。
・裏面の"C-3"は品番だと思います。
・次の➂も同じギヤーNロゴですが、この➁はスパナが真ん丸で、➂は少しやり型なので、➁が先に登場してから➂に切り替わったのかと思います。
➂ "ギヤーN"スパナ-2 / 1960年頃? 品番?
・ギヤーNがもう1種あります。
・ロゴは同じながら、スパナが尖り形状になっていますので、一世代新しそうです。
・但し、シンプルなフラットパネルで、裏面には何の刻印も無いことから、➁よりも古く、この➂が先の可能性もあります。
・このギヤーNスパナは1963年カタログだけに登場しています。
・同時掲載のJIS付き◇SUPERスパナがサイズ毎に品番が設定されているのに対し、ギヤーNは"Service Tool"として6本セットのみが掲載されていることから、廉価版扱いだったようです。
・➁と➂の登場順がはっきりしませんが、ギヤーNスパナとしては1950年前半に登場して1960年前半までの約10年間販売されていたのだろうと考えています。
↑1963年カタログより6本セット(➁と➂のどちらかは不明、セット品番:NB)
・6本セットは持っていませんが、何故かホルダーだけ手元にあります。
➃ スーパー印 凹丸パネル JIS付き JAPAN無し
・JISマーク付きが登場します。
・ロゴは他の製品と同じ◇SUPERに変わります。
・ロゴ◇SUPER(大文字)のJIS-H/強力級のスパナです。
・1963年のイラスト広告にスパナが載っていますので、1962年にJIS認証を取得した時のスパナであることが分かります。
・スパナ部がつば付きで、凹尖りパネルになっています。
・クロモリ鋼が採用されています。
・裏面の"5H"よりJIS取得後であることから1955年8月生産と推測します。
・JAPAN刻印が無く、輸出品にJAPAN刻印が法規で規定される前の製品と思います。
・ちなみに、1970年代パンフレットによると黒色はTFS塗装とのこと。
⇒ TFS塗装とは、こちら。
↓1963年『産経会社年鑑』内の広告
↓意匠登録の早廻し(スーパーヘッド)部を通常タイプに変更した形です。
➃-1 片口スパナ
・同型の片口スパナもあります。(1963年カタログより)
➄ スーパー印 凹丸パネル JIS付き JAPANあり
・上の➃と同じモデルですが、JAPAN刻印が追加されています。
・"8-D"より1958年4月生産と推測します。
・"Vanadium Steel"より一般鋼と分かりますが、JIS-H/強力級になっています。
➅ 両口/片口スパナ クロームメッキ
・1963年カタログまでは黒スパナですが、1970年カタログでは両口、片口ともにクロームメッキに仕様変更になっています。
・一方で、1970年代パンフレットでは、黒とクロームメッキの両方が設定されています。
➆ スーパー印 JIS付き by 日鍛工器 / 1960年代
・早廻し(スーパーヘッド)コンビレンチと同じV溝パネルで、上の➃、➄と同じ ◇SUPERのスパナがありました。
・裏面は、早廻しコンビレンチの第3世代と同じように左から右までV溝パネルになっています。
・写真の解像度が低く不鮮明ですが、裏面左側に"S"(JISのやり型)と"JIS"マーク、右側には"JAPAN"と製造記号"x-x"が刻印されている様に見えます。
・JISマーク付きであれば、つば付きの➃よりやや遅れて登場した1960年代のモデルと思います。
・これも➀と共にコレクションに抜けているのですが、簡単に見つかると思っていたものの、2年間見つかっていません。
➇ 桜スーパー印 JIS付き by 日鍛工器 / 1970年代
・V溝パネルの第2世代です。
・1974年に商標登録された桜印付き◇SUPERになっています。
・裏面にJISマークと共にスパナのJIS規格番号である"B4630"、さらにやり型スパナを示す"S"が刻印されています。
・日鍛工器は、1962年にJIS認証取得しているものの、1980年頃にJISを返上していますので、桜スーパー印の1974年商標登録と合わせて考えれば、このJISスパナは日鍛工器による1970年代の製品と思います。
※日鍛工器は、1967年のJISスパナ認証会社リストに載っているものの、1982年のJISリストには載っていないことから、1980年頃にJIS返上と推測。
・恐らく、1982年に社名をスーパーツールに変更した時に、JIS認証権利を日鍛工器から継承しなかったのではないかと考えています。
・桜印付き◇SUPERのロゴは、1974年に日鍛工器が商標登録した明朝体SUPER
・
では無く、1982年にスーパーツールに社名変更してから商標登録したゴシック体
が採用されています。
↓ゴシック体"SUPER"(再掲載)
➈ 桜スーパー印 JIS無し by スーパーツール社 / 1980年代
・上のスパナ➇に対し、裏面の刻印が"スーパーツール"に変更されています。
・したがい、裏面も早廻し(スーパーヘッド)コンビレンチの第4世代と同じパネルデザインになります。
・"スーパーツール"刻印より、会社名をスーパーツールに変更した1980年以降の商品と思います。
・➇で説明の通り、スーパーツールに社名変更時にはJIS認証を返上していたと推測していますので、この➈はJISマークは無しになっています。
・また、1998年に開設されたスーパーツール社HPには掲載されていませんので、10年ほどでは生産を終えていたと推測しています。
➉ 桜スーパー印 JIS無し by 台湾 INFAR / 2011年頃~現在
・現在のスーパーツール社HPの製品情報に載っている凸丸パネルの6本組みスパナセット(品番:SX60J)です。
・HP写真はホルダーでロゴ部が隠されているので、ちゃんとスーパーツール社のロゴが入っているのか、はたまた無印なのか確認出来ません。
・半信半疑で入手してみたら、ちゃんと"桜◇SUPER"が刻印されていました。(ロゴが分かる写真を載せれば良いのに)
・インターネット過去ログ(Internet Archive)を見る限りでは、2021年1月にこの凸丸パネルモデルの写真が登場します。(こちらもロゴ部が隠されています)
・一方で、その10年前の2011年1月に同じ品番SX60Jの6本組が写真無しで登場しています。
・過去ログでは写真が出てきませんが、品番が同じことから、6本組はこの2011年に登場したと考えるのが妥当だと思います。
・JAPAN刻印が無いこと、および現行コンビレンチも海外OEMに移行していることから考えて、このスパナも海外OEMと思います。
・カタログで確認する限りでは、台湾INFAR製だろうと思います。(形状ならびに全長がぴったり同一)
・ちなみに、スーパーツール社はHPを1998年2月に開設していますが、開設の時から2011年1月まではスパナは掲載されておらず、12年間のスパナ商品欠落期間があったようです。
↑現行HPに掲載されている6本組スパナ
↓台湾INFARの凸丸パネル(A-Type)
↓これ以降の2点は、現物は未確認ながら、存在していたと思われるスパナ。
⑪ 自衛隊向けスパナ / 1962年 JIS取得直前
・企業名鑑の製品商会に『防衛庁指定スパナ』と書かれています。
・したがい、日鍛工器は自衛隊にスパナを納入していたことが分かります。
・現物情報が見つかっていませんので、納入先が陸上、海上、航空のいずれの自衛隊向けであったかは不明です。
・スパナ④に自衛隊備品を示すの桜マークが表示されていたのではないかと推測しています。
・自衛隊とスーパーツールとのダブル桜を期待してしまいますが、スーパーツールの桜マークは1974年の商標登録ですので、残念ながらこの自衛隊向けはシングル桜だったのでしょう。
・なお、JIS認証を取得した1962年に発行された資料からの情報になりますが、『JIS申請中』と記載されていますので、自衛隊向けスパナにはJISマークは付いていなかったのだろうと思います。
↓1962年『大阪府工場要覧』より
⑫ 早廻し(スーパーヘッド)・スパナ
・上のスパナ➃にて解説の通り、早廻しの意匠登録に提出されているイラストはスパナになっていることから、早廻しコンビレンチの第3世代や第4世代と同じ早廻し仕様でスパナ部が補強された両口スパナが存在していた可能性があります。
2) コンビレンチ
① 第1世代 by 日鍛工器(1954年~57年)/意匠登録中
・1954年に日本の3番目のコンビレンチとして発売された早廻し/スーパーヘッドです。
・1番目の京都機械/一重丸京は終戦の1945年頃、2番目のKTC/二重丸京は創業の1950年頃の発売ですが、2社共に正確な発売年に関する情報はありません。
・一方、スーパーツールは『1954年コンビレンチ/スーパーヘッド発売』と社史に明確に示していて素晴らしいことです。
・さらに、その約70年前と同類のコンビレンチが、今でも販売されているのは特筆すべきことだと思います。
・スパナ部のラチェット機能が先進的で、大手自動車会社の組み立て工程で採用されていたとのことです。
・意匠登録が申請中であったため、裏面にPAT. PEND.(Patent Pending/パテント申請中)と刻印されています。
・表面に"Super Head"と"Ratcheting Spanner"の刻印があり、"Super Head"はブランド名になっています。
・1954年の発売と同時に"Super Head"が商標登録されています。
・製造会社である日鍛工器を示す表示はありません。
・なお、この第1世代の発売年は社史に載っていますが、次の第2世代から現行の第4世代までの発売開始年についてはスーパーツール社から情報提供して貰っています。
② 第1.5世代 (1957年、58年)/意匠登録完了
・1957年12月に意匠登録が承認されたため、第1世代の途中で登録済みを示す"PAT."に表示が変更されています。(登録番号は133321)
・翌年の1958年に第2世代に切り替わっていますので、この登録済み"PAT."版はごく短期間だけの生産だったと思います。
・意匠登録の内容は、第4世代⑥の後に解説します。
③ 第2世代 by 日鍛工器 (1958年~68年)
・第1世代では両サイドまで伸びていた表面の凹パネルが、第2世代では凹箱形になったのが最大の変更点です。
・また、第1世代ではスパナ部に打刻刻印されていたサイズが、胴長本体の浮き出し刻印に変更になっています。
・なお、端まで凹パネルの裏面形状は第1世代と同じになっています。
製造記号の"4-B1"より、この商品は1964年2月の生産と推測します。
("B"が2月、"1"は不明ですが、鍛造型などの管理番号と思います)
④ 第3世代 by 日鍛工器 (1968年~82年)
・第3世代です。
・スパナ部の肉盛り追加とV溝パネルの採用で大きなモデルチェンジとなっています。
・裏面も大胆にV溝となっており、スパナ部が重くなった分を胴長で軽量化した努力の結果かと思います。
・相変わらず”Super Head"のブランド名刻印のみで、社名表示がありません。
・製造記号"7-G1"より、1977年7月生産と推測します。
・なお、後述する様にこの早廻しは1970年9月に特許権が切れ、どの工具会社でも自由にこの早廻しデザインを使用することが出来るようになりますが、日鍛工器が第2世代から第3世代で大きなモデルチェンジを行ったのは、この特許権切れとの関係があるのかもしれません。
・この第3世代④だけが"Super Head"が少し異なり、"S"がくずれ字体になっています。
⑤ 第3.5世代 with Japan
・第3世代のマイナーチェンジとしてJAPAN刻印版を見つけました。
・輸出には"JAPAN"の表示が義務づけられたことへの対応と思います。
・"PAT1"の右隣の"1F"が何を示しているのか分かりませんが、製造年月表示だとすると1981年6月生産となります。
・第3世代④に比較してロゴ"Super Head"両サイドの<>形状のとんがり度合いが少し緩くなっています。
・また、"Super Head"の字体も少し変化しています。
・この2つの傾向は、次の第4世代に引き継がれます。
⑥ 第4世代 by スーパーツール(1982年~現在)
・第4世代に切り替わりました。
・いまでもカタログに載っている現行版です。
・最大の特徴は、1982年に日鍛工器から変更された会社名である"スーパーツール"がカタカナで裏面に刻印されていることです。
・第1世代から第3世代は日鍛工器時代の製品ですが、この第4世代はスーパーツール社製になります。
・なお、コンビレンチにカタカナが刻印されているのは、このモデルと、通販サイトのモノタロウが自らのブランド”モノタロウ”のコンビレンチを出していて、この2種類だけだと理解しています。
・ちなみに、スパナではASAHIの"極ウス"で漢字&カタカナ刻印の例があります。
・なお、漢字刻印であれば、中国製に沢山ありますが。
・製造記号の"001"はこれまでとは異なる形式になっています。
・V溝の縁が<>形状から ▭ 形状に変わりました。
・第1世代から第4世代まで19mmを並べてみました。
・スパナヘッドが第1世代に対し第2世代で小さくなっていて、さらに全長が第3世代に対して第4世代は長くなっているのが分かります。
☆意匠登録について
↑早廻し部の拡大
・PAT-133321の特許庁への登録図面。(再掲載)
・1957年に意匠登録されています。
・登録図面は両口スパナ形状。
・意匠登録の詳細は、こちら。
☆アメリカ特許について
1953年にアメリカで同一デザインのスパナ部早回しをThorsen ToolのGlenn W. Wilder氏が特許出願し、特許番号US2652735として認可されています。
アメリカ特許の使用許可を貰ったうえで、日鍛工器が日本で意匠登録したのではないかと推測しています。
ちなみに、スーパーツールの第1世代は、この特許が認可された翌年1954年に発売されています。
アメリカ特許の詳細(Google Patents)は、こちら。
↓Thorsen Toolの特許として登録されています。
☆他社の同型早廻し
特許権は出願から20年で効力が無くなりますので、1970年9月以降はどの会社でも自由にこの特許を使用することが出来るようになっています。
アメリカのCraftsmanと日本のダイヤ精工/Tough、台湾のINFAR、さらにINFARが製造元と思われるファクトリーギア/DEENとSIGNETにその使用例があります。
特許元のThorsen Toolから早廻しデザインの使用許諾を得て、1950年代から生産販売していたのはスーパーツール/日鍛工機だけだったのだろうと推測しています。
⑦ ミラータイプ 品番CBW
・約70年前のスーパーヘッドと共に今時のミラータイプが併売されています。
・この新旧併売は、なかなかお目にかかれるものでは無いと思います。
・2004年に商標登録された英文字の"SUPERTOOL"が刻印されています。
【参考写真】
・上海SATAモデルとの比較写真です。(上がスーパーツール、下が上海SATA)
・SATAは、アメリカのAPEXグループ企業で、多くのアメリカブランドに高品質なレンチ類をOEM提供しています。
・SUPERTOOLのコンビレンチは形状の類似性からSATAのOEMと理解しています。
3) モンキーレンチ
スーパーツールのモンキーレンチは◇SUPERのクレセント型が定番ですが、初期2冊のカタログにバーコ型でヘッドの首振り角度が15度のイラストが掲載されています。
日本で15度はSANKIだけだと思っていましたが、スーパーツールにも15度があったことが分かりました。
SANKIもスーパーツールも共にバーコ型ながら、スーパーツールは胴長がストレートで吊り下げ穴の全周に縁が付いている一方で、SANKIは胴長がくびれていて吊り下げ穴の縁は一部にしか無く、両者に明らかな差があります。
↑上側:1950年代英語版カタログ、下側:1948年頃カタログのスペック表
上側のイラストは23度に見えますが、下側の1948年頃カタログのスペック表では明確に15度と表示されています。
↑1948年頃カタログの写真
(同スペック表のイラストと微妙に形状が異なります)
↑【参考】SANKIのバーコ型15度
さらに、1950年代カタログにはクレセント型23度(正確には22.5度)のイラストも載っています。
これがスーパーツール・モンキーレンチの定番になる◇SUPERモデルの初代だと思います。(この下に◇SUPERモデルの変遷写真を載せます)
なお、1971年『堺市史』(本ページの一番下【補足-4】)によると、『戦前はペンチとモンキーレンチを製造』とのこと。
スーパーツール社のホームページでは『戦前はペンチとニッパ類の工具を生産』と説明されていて、モンキーレンチの生産には触れていません。
戦前からモンキーレンチを生産していたのかもしれません。
1957年時点での各メーカー毎のモンキーレンチ生産量が明確になっていて、日鍛工機は3番目になっています。
日鍛工機は思っていたよりもモンキーレンチの生産に力を入れていたようです。
↑1957年『輸出中小工業の実態調査』第五編より
★クレセント型、◇SUPERロゴ3種、全てJIS付き
(ロゴに桜なし ⇒ 桜付き ⇒ 中抜き桜付き)
※スーパーツール・モンキーレンチの詳細は、当ブログ内のこちらにて。
4)ペンチ類
日鍛工機は戦前からペンチやニッパ類の工具を製造していました。
(スパナは戦後になってから)
したがい、ペンチ類に敬意を表して、1970年までをカタログ画像で追いかけます。
・1948年頃
・1950年代(英語版)
・1963年
ギヤー印ロゴ2種
・1970年
3.カタログ
アメリカの工具カタログサイトに日本の昔の工具カタログを掲載し、誰でも自由に閲覧出来るようにすべく、各工具メーカーにその提供をお願いしています。
スーパーツール社からはなんと終戦直後からの歴代カタログを提供して貰いました。(改めて探し出して下さったとのことで、よくぞ保管されていました)
カタログは情報量が多いので、PDFファイルで個人サーバーに保存してあります。
表紙写真、概要と共にサーバーへのリンクを貼り付けてありますので、ダウンロードしてじっくりとご覧になって下さい。
なお、1970年以前のカタログには発行年が記載されていませんので、掲載商品などから発行年を推測しています。
アメリカの工具カタログサイトには別途掲載の予定です。
(1) 1948年頃(初カタログ)
・初カタログ(商品情報は表紙写真とスペック表のみ)
・カタログ表紙のロゴは◇SUPER(大文字)ながら、商品のロゴは◇Super(小文字)。
・1948年広告と掲載商品種類および商品のロゴが同一であることから、1948年頃の発行と推定。
・ダウンロードは、こちらから。
(2) 1950年代 英語版 パンフレット2枚
・商品ロゴとして◇Super(小文字)が残りつつ、◇SUPER(大文字)も登場していることから、(1)よりも後ながら、それほど離れてはいない時代と推定。
・恐らく、1950年代前半。
・ダウンロードは、こちらから。
(3) 1963年 No.632
・スパナがJIS付きになっているので、JIS認証を受けた1962年以降と分かります。
・JIS解説文のなか『この10年間』と謳われているので、最初にモンキーレンチでJISを取得した1952年の10年後の1962年頃と理解。
・発行が"632"であることから、1963年と特定。
・ロゴは、◇SUPER(大文字)およびギヤーSUPERとギヤーN。
・ダウンロードは、こちらから。
(4) 1965年 No.655 英語版
・カタログNo.が(3)より少し増えていて、"655"より、1965年と特定。
・ダウンロードは、こちらから。
(5) 1960年代 Blue Ribbon Tools パンフレット2枚
・◇SUPERにまだ桜印が追加されていないので、1960年代とラフに推定。
・Blue Ribbon Tools の商品としての位置付けが分かれば、もう少し発行年を絞り込めるはず。
・ダウンロードは、こちらから。
(6) 1970年8月 No.700
・発行年月が印字。
・ロゴはまだ◇SUPER。
・このカタログより、◇SUPERから桜印付き◇SUPERへの移行は1970年よりももう少し後と分かります。
・ダウンロードは、こちらから。
(7) 1971年 価格表
・発行年が印字。
・ダウンロードは、こちらから。
(8) 1970年代 パンフレット集16枚
・◇SUPERにまだ桜印が追加されていないので、1970年代とラフに推定。
・ダウンロードは、こちらから。
(9) 1992年
入手の予定。
(10) 現在
スーパーツール社・ホームページのこちらから。
【補足-1】『スーパーツール100年の歴史』
※スーパーツール社の『100年の歴史』専用ページは、こちら。
以下、抜粋。
・『1952年モンキーレンチ発売』というのが気になりますが、『1952年JISモンキーレンチ発売』という意味だろうと思います。
【補足-2】現在の本社工場写真
↑3点ともGoogle Mapより
【補足-3】工場移転(全て堺市内)
①…1918年~1942年 北旅籠町
②…1942年~1957年 高須町(本社工場)、北清水町(第2工場)
③…1957年~1965年 南清水町(2工場を統合)
④…1965年~現在 見野山
【補足-4】その他の登録商標(採用商品は不明)
【補足-4】会社紹介記事
↑1962年『日本の自動車工業』
↑1971年『堺市史』
『戦前はペンチとモンキーレンチを生産、戦後昭和20年代はモンキーレンチとスーパーヘッドの2種だけを生産』と説明されていますが、堺市が書いた記録なので、信憑性は?
この回、終わり










































































