KABO Twindrive(ミリ・インチ兼用)

販売元 パオック/燕三条

商標登録と特許の調査編も

 

KABOの2007年版カタログにミリ・インチ兼用でTwindriveという名前のコンビレンチが載っています。

KABOとINFARには良くあることですが、カタログに載っているだけで、世の中には出回っていないのだろうなと思っていました。

一方で、パオックという燕三条の工具商社が、ブランド名が刻印されている可能性のある商品を3種類出していたので、手に入れてみました。

もし、パオックのブランド名が入っていれば、燕三条28番目/国内73番目のコンビレンチ・ブランドとなります。

(私は、自社のブランド名を打刻したものだけを、ブランドとしてカウントしています)

そして、なんと3種の内の一つ、SSPOWERという商品が、まだ見ぬKABO Twindrive(ミリ・インチ兼用)だったのです。

残念ながらと言うべきなのか分かりませんが、パオックのブランド刻印は入っていませんでした。

また、当然ながらKABOの刻印も無く、一見するとノーブランドの様です。

 

今回は、以前から気になっていた商標登録と特許について気合いを入れて調べてみました。

 

1.商品紹介

 KABO Twindrive /販売元 パオック 

本来ならブランド名が打刻される胴長のど真ん中にというミリとインチを示すマークが、まるでブランド名の様に入っています。

KABOのカタログを良く見れば、同じのマークが入っていることに初めて気が付きました。

そして、KABOカタログのモデルには、胴長の左端にKABOのロゴが入っています。

【2020年7月26日追記】

KABOのオリジナルを手に入れました。

カタログでは表面左側にKABOのロゴが入っていましたが、手に入れた現物は裏面にKABOロゴが入っています。

 

2.商標登録について

製造メーカーを調べる術はだけになりますので、で画像検索をしてみましたが、何もヒットしません。

“Metric Inch Combination Wrench”で検索すると、オーストラリアのMetrinchがヒットしますが、これは別モデルです。(Metrinchは後述します)

物は試しで、アメリカの商標登録サイトを見つけ、KABOで検査してみたら、ビンゴで、見事にが登場しました。

KABOが申請し、1999年に登録済みということが分かりました。

これで、のTwidriveは、KABOの商品であることが確認出来たことになります。

したがい、パオックはKABOからブランド名を入れない状態でOEM供給を受けていることになります。

 

 

登録商標検索サイトはこちらです。

 

3.特許について

ここまで調べた勢いで、昔から気になっていたKABOのひねりモデルは誰の特許/Patentなのかを調べて見ました。

商品のKABOロゴの右にある"PAT."が何を示しているのかです。

 

有料サイト(年間$300/3万円位)が多い中で、グーグルにGoogle Patentsという無料サイトがあって、調べられました。

さすが、グーグルです。

"KABO Twist"でググって見つけました。

KABOのひねりモデルに関する特許がこちらです。(申請2004年、認可2005年@台湾)

ねじりレンチの製造方法に関する特許になります。

グーグル翻訳も優秀ですので、冒頭だけグーグル和訳を載せます。

=ねじりレンチの製造方法およびねじり装置=

概要

本発明は、ねじりレンチおよびねじり装置を製造する方法を提供する。トーションレンチを製造するための発明された方法は、主に以下のステップを含む:(1)鍛造。(2)アニーリング; (3)処理; (4)研磨; (5)回転; (6)二次研磨; (7)熱処理; (8)振動; (9)電気メッキ等。ここで、回転ステップ(5)は、発明されたねじり装置と一緒に実行されて、最良のねじり効果を達成することができる。ねじり装置は主に機械本体を含み、それはレンチを締め付けるための締め付け部分を含み、レンチがレンチ操作中に横方向に滑らないようにする。クランプ部の前端には、スパナが当たるスラスト部があり、スパナ作業時にスパナが前後にずれないようになっています。

 

図解入りの中国語の説明書も別のサイトで見つけました。

上の2枚の解説図が載っています。

ちなみに、Google Patentsを使ってKABO TOOLSで検索すると、アメリカに585件のKABOの特許/Patentが登録されていました。

別の検索サイトでは617件というのもありましたので、複数のサイトで調べた方が良さそうです。

 

【2021年4月3日追記】

製造方法では無く、ひねりデザインに関する特許を見つけました。

製造法よりも5年早く、1999年申請で、2000年に米国で認可されています。(USAD434292S)

申請書にKABOの名前は出てきませんが、添付資料に使われている図面が前述の製造方法のものと同一の絵になっていますので、KABOモデルに使用された特許と考えるのが妥当です。

 

 

長いこと疑問だったことが一気に分かり、すっきりしました。

また、調べ方も分かりましたので、今後は特許や商標登録で壁にあたることは少なくなりそうです。

ちなみに、KABOひねりモデルはTwisterというモデル名ですが、商標登録されています。

 

 

 

商標登録と特許の話は、ここまで。

通常のコンビレンチ商品の話に戻ります。

 

4.ミリとインチの共用について

ミリとインチを兼用出来ることの意味が良く分からずにいましたが、『なめて角のとれたボルトでも力を入れて緩めることができる』ということでした。

ボルトを角では無くて、2面幅の面で捉えると言うことかと思います。

 

 

 

 

5.パオックの商品ラベル

 

 

6.Metrinchとの関係

冒頭でちょっと触れましたが、同じようなミリ・インチ兼用のコンビレンチで"Metrinch"という商品があります。

"Metric"と"inch"の造語です。

台湾SIGNETの日本語カタログだけに掲載されている"4WDミラクルレンチ"が"Metrinch"になります。

SIGNETのカタログに載ってはいますが、SIGNETのロゴは刻印されていません。

その昔、TONEのカタログにフランスFACOMの早回しレンチがFACOMブランドのまま載っていたのと同じことです。

KABOとMetrinchは、長さは全く同一なのですが、スパナ部とボックス部共に異なった形状になっています。

それぞれ別のパテントで作られているのだと思います。

↓左側がTwindrive、右側がMetrinch。

 

 

Metrinchモデルの情報はこちらです。

TRIDONというオーストラリアブランドの一つの商品としてMetrinchが登場しています。

TRIDONのオリジナル商品なのかはちょっと疑問です。

 

7.パオック、残りの2モデル

パオックからだいぶ話が逸れてしまっていますが、パオックの残り2つの商品です。

 Bcross 

いわゆるホームセンター仕様の廉価版です。

予想通りパオックのブランド刻印は無く、のっぺらなモデルです。

Made in Chinaと表示されていて、ぱっと見は上海SATAに近似しています。

でも、SATAにはこの長さのモデルは無く、出元は不明です。

 

 

 Southern Cross 

Amazonにパオックとして"Southern Cross"というモデルが掲載されていて、現在は在庫待ちの状態になっています。

写真はKABO Twindriveと同じものが使われていますが、説明文章がとても気になったので、オーダーしてあります。

曰く、

・固く締まったボルト・ナットを強い衝撃でゆるめる事ができます。

・4段階のトルク調整で、オーバートルクを防ぎます。

・滑りにくいラバーグリップ。

最後の"ラバーグリップ"というのが写真とは全く異なる説明になっています。

台湾INFARにはラバーグリップモデルがありますが、オーバートルクで使えるような仕様ではありません。

何が出てくるのがとても楽しみにしています。

 

【6月11日追記】

問い合わせをしていたパオックから明確な回答があり、『Southern Crossは旧の呼び名で、商品はSSpowerと同じ物、ラバーグリップの表記はAmzon出品者の間違い』とのことでした。

Amazonへのオーダーはキャンセルしましたが、何が来るのか楽しみにしていましたので、残念です。

 

8.カタログ

 KABO Twindrive 

 

 Metrinch 

 SIGNET/日本 4WD ミラクルレンチ 

 

 パオック Bcross 

SSpowerとSouthern Crossはカタログ未掲載です。

 

9.各種情報

パオック Webサイト

パオック カタログ

 

★最後に

昔の話になりますが、仕事の関係でアメリカの法律制定を追いかけていたことがあります。

日本の国土交通省にあたるNHTSAというお役所が、将来に向けて法律案を公開し、関係者から意見を聞くのですが、トヨタUSAが法律案に真っ向うから反対して、お役所のNHTSAが『TOYOTAが言うことはもっともなので案を作り直します』などというやりとりがそのまま載っているのです。

アメリカの情報公開と正面から議論を行う精神は凄いなと思いました。

ちなみに、西部劇の決闘は多くの人の前で堂々と行いますが、アメリカではそれと同じ考え方で皆の前で意見を戦わすんだという説明は説得力があります。

Patent & Trademarkのページを追いかけていたら、頻繁に読んでいた政府広報のWebサイトにたどり着き、昔のことを懐かしく思い出した次第です。

それにしても、昔は英語の法律文章をうんざりしながら読んでいましたが、今はグーグル翻訳で簡単に、それもほぼ正確な日本語で読めるようになりました。

時代の進歩は物凄いですね。

 

この回、終わり