KTCはOEM契約による受注生産に力を入れていて、OEM製品数はカタログモデル数よりも多いと言われている程です。。
日本の大多数の工具メーカーは、OEM受託生産をしていることを公表せずに隠したがりますが、KTCは多くのOEM製品にKTCロゴを入れるなどして公表をしています。
高品質への自信の表れ、ならびにKTCというブランド力をOEM供給先が望むためと理解しています。
特に有名なのが創業時からの関わりが深いトヨタへの車載工具ならびにディーラー整備工場向け工具。
また、過去にはホンダやヤンマーディーゼルへもKTCロゴ付きで供給していました。
また、海外ブランドへのOEM契約も多く、アメリカを始めとする6つのブランドへ1970年から1980年に掛けて供給しています。
1.一覧表
【訂正2021年6月17日】 SearsにもKTCスパナがありました。
2.モデル詳細
1)国内向け
★トヨタ
・初代トヨタOEMモデル/二重丸京スタンダード相当 TOYOTA MOTOR
上の写真と同一形状のスパナで、KTCとトヨタのダブルロゴモデルを”KTC-4 スパナ編-1”で紹介していますが、それぞれの使い分けについては今のところ不明です。
・トヨタモデルの基本4種(①~④)
*一番下はKTCカタログモデルのS10(モデル比較のため)
①-1 S10凹相当:TOYOTA ○トヨタ MOTOR
①-2 社名バリエーション:TOYOTA MOTOR
①のスパナ部エラ形状:
S10よりもエラが小さい⇒①はトヨタモデル専用の鍛造型
*S10と比較するとスパナ部のエラが小さいのが分かる。
②-1 S100凸相当:TOYOTA
②-2 社名バリエーション:TOYOTA MOTOR
②-3 上の②-2に対し、裏面の材質刻印無し
②の8-9mm、14-17mmは、トヨタモデル専用の鍛造型
*KTCカタログモデルのS100にはサイズ8-9mm、14-17mmが存在しないが、トヨタモデルには設定されている。
③-1 凸長方形パネル/OEM専用モデル:TOYOTA
③-2 上の③-1バリエーション:裏面に材質刻印が無く、さらにスパナ部が薄い
*スパナ部肉厚:t=5.5(③-1はt=7.0)
③-3 社名バリエーション:TOYOTA MOTOR
④-1 フラット:TOYOTA
④-2 社名バリエーション:TOYOTA MOTOR
④-3 社名バリエーション:TOYOTA ○トヨタ MOTOR
②の5本セット
★ヤンマー
ヤンマートラクターの車載工具としてKTC S100相当品を7本セットでOEM供給。
1980年前後に単発でヤンマーに納入したものと推定しています。
※OEM供給用に既存製品を無刻印で事前生産しておき、必要に応じて納入先の社名等を供給時に刻印する形。
裏面に楕円KTCロゴがくっきりと刻印されています。
材質刻印がCarbon Steelとなっているのが他の製品と異なりますが、単に炭素鋼/SC材(SC45またはSC55)という意味だと思います。
★ホンダ
ホンダカブなどのオートバイの車載工具として異形の10-14mmスパナ。
HMはホンダの旧型ロゴ。
裏面に楕円KTCのロゴが大きく、そしてくっきりと刻印されています。
このタイプのスパナは、KOWA/興和精機やRK/RK Japanもホンダに納めていますので、KTC既存商品では無く、ホンダ提供図面による新規作成の鍛造型と推定します。
ヤンマーと同様に1980年前後の供給と思われます。
KTCロゴの形が複数ありますので、単発納入では無く、ある程度の期間に渡り納入していたものと思われます。
下の写真はKTCロゴ部分で2本を重ねてありますが、KTC字体の斜め度が異なり、下側の方がより斜めになっているのが分かります。
さらに、楕円サークルが下側の方は1mmほど幅広くなっています。
★バンザイ
大型トラックバス/アクスルUボルト用のでっかいスパナ。
サイズは32-36mm、長さ600mm、重さ1.8キロ。
円柱形の胴長に、鍛造スパナ部を差し込んで、プレス止めしてあります。
大きくて、ずっしりと重いです。
KTC OEMで、バンザイ品番はBT-10。
BT-10A(22-24mm)からBT-10I(32-36mm)まで9種類あります。
年代は不明ですが、1950年頃のOEMかと思われます。
京都機械(一重丸京)のOEMなのか、またはKTC(二重丸京)のOEMなのか、微妙なところです。
京都機械オリジナルで、一重丸京ロゴ入りもあります。
KTCカタログのNo.17~19(1977年~80年)にメッキ版として生まれ変わって掲載されています。
基本的には同じ鍛造型の様ですが、胴長部分が30mmほど長くなっています。
KTC品番はS90、サイズは同じく9種類あります。
★UD/日産ディーゼル(推定)
日産ディーゼルトラックの車載工具。(上:表裏写真、下:S100との比較写真)
各部形状と寸法ならびにスパナ部やり型がKTCカタログモデルS100とぴったり一致するので、KTC OEMと推定します。
他の自動車メーカー車載工具にもKTC製と寸法がほぼ一致するスパナがあるのですが、スパナ部やり型が微妙に異なったり、Japan刻印が無かったりなどKTC OEMと断定するには躊躇しています。
でも、その中でこの日産ディーゼル版は完全に一致しています。
ただし、凸パネルの両端形状が、トヨタモデルにある長方形や平行四辺形では無く、とんがり型になっています。
したがい、鍛造型としては専用になります。
2)海外向け
【2021年6月17日】 海外OEMについては、詳細版を作りましたので、参照をお願いします。
★Fuller
アメリカFuller向けOEMとして1981年から生産開始。(生産終了時期は不明)
S100相当の凸パネルですが、パネル両端が丸くなっており、Fuller専用の鍛造型になっています。(トヨタ向けの長方形パネルとも異なっています)
裏面に楕円KTCロゴが刻印されています。
ブランド運営元:Fuller Tool
1930年代にニューヨークで創業し、その後1990年代にカナダに拠点を移動。
KTCとのOEM契約はニューヨークの時代と思われます。
今は作業現場工具ブランドとして運営されています。
https://www.fullertool.com/about/
アメリカ向けとは別にオーストラリア向けにFuller Proと称してS150ロング相当品のクロモリ製を供給。
FullertとのOEM契約に基づき、アメリカ向けはChrome Vandium、オーストラリア向けはChrome Morilybdenium/クロモリと材質を使い分けていた模様です。
下はオーストラリア向けのFuller Proパッケージ。
下部にFULLER Tool Co. (AUST.) PTY. LTD.と印刷されており、アメリカ向け製品とは別にFullerのオーストラリア法人が取り扱っていたことが分かります。
このS150ロング相当モデルには普通の材質を使ったアメリカ向けもあります。
なお、S100相当品のクロモリ仕様(オーストラリア向け)は確認できていません。
*オーストラリア向けFuller Pro(S150ロング相当)とアメリカ向けFuller(S100相当)の比較
★Award
Fullerと同様に裏面に楕円KTCロゴが刻印されています。
S15ロング相当の凹パネル。
OEM供給時期は1980年前後と思われます。
ブランドの詳細は不明で、かつKTC OEMモデル以外にはアメリカ工具市場にAwardブランドの痕跡は見つかりません。
上の写真を借用しているアメリカの工具コレクターサイトAlloy Artifactにもブランド詳細不明と説明されており、今となっては幻のブランドです。
★Companion
アメリカの百貨店/総合スーパーであるSearsは3つのブランドを運営しており、Craftsmanブランドがサンデーメカニック向け、自らの名前を冠したSearsブランドはより家庭向け、さらに廉価な位置付けとしてCompanionとなっています。
そのCompanion向けとしてスパナをSerasにOEM供給。
裏面に刻印されているBF JAPANはSearsの管理記号で、日本KTC製、1969年~1987年生産を意味しています。
なお、海外向けコンビレンチではCraftsmanとSearsで契約先指定のモデルを新規作成していますが、スパナでは全てKTC既存商品の流用になっています。
この回、終わり





















































