免許がない! | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

普通自動車免許がとれた日は死ぬほど嬉しかった記憶がある。

もう2度と教習所に通わないで済むと思ったら。

 

オレらの世代というのはつくづくタイミングが悪い時代に生まれた。

まさにロストジェネレーション。

大学3年生。さあ来年からは就職活動だ、と思ったらマスコミが

今年から就職氷河期に突入すると騒ぎ出し、実際これでもかという

氷河期に突入した。

希望の企業に資料請求のハガキだしたら、「今年は新卒採用をしません」

という返信が来たことは多かった。

 

そうそう、自動車教習所で入学から卒業するまでの流れが変わったのも、

オレらが19歳で大学生になって、バイトで金ためて、やっとこれから免許

をとるために教習所に行ける!というタイミングだった。

 

その年からカリキュラム内容や料金が改定されたのである。

記憶が曖昧だが、たしかオレらの1コ上の人たちは、20万あれば教習所に

通えた。だけどオレらが教習所に通えるようになった年から講義数が増えたため、

最低でも30万くらいかかるようになったのだ。理不尽。

 

オレは2部(夜)の学生だったから、大学の講義が始まるまで昼間必死こいて

ガソリンスタンドのバイトで教習所代金30万を貯めた。

大学の生協から申し込むと少し安くなったから、もしかしたらもうすこしだけ

オトクだったかもしれない。

 

教習所は地元の府中運転免許試験場の隣りにあった大和自動車教習所。

(数年前に閉鎖してしまったらしい)

当時はまだ原付のスーパーDioがあったので、それで家から10分くらいかけて

通っていた。

 

教習所にはけっこう金吸い取られた。

女性フォロワーさんも多いなかで、かっこ悪いからあまり書きたくないけれど

どうもオレは運転があまり巧くないのである。

 

教習所、ストレートに卒業までゆけば、最初に払った30万でちゃんと収まるん

だけれど、実技で項目を規定の回数でクリアできないと、オーバーして実技の

講習を受けなければいけない。

 

あれ、運転の実技講習って、たしか一回追加で乗車するのに3000円くらいかかるのだ。

オレは卒業までに実技講習10時間くらいオーバーして受けたから、ストレートに

卒業した人よりも30000円くらい多く教習所に払ったと思う。悔しかった。

 

それと、学科講習のなかに必須で「応急救護」とかいうのが新しく加わった。

これもオレらの代から。年が1コ上でオレより1年早く教習所にいって免許とった

バイト先の先輩に訊いてみたら、「オレらのときはそんなことやっていない」との

ことだった。

 

これが、自分が運転しているときに人身事故を起こしてしまったという設定で

人工呼吸用人形を相手に行うんだけど、とても恥ずかしいのだ。

演技をしないといけないのである。経験した人ならわかるだろう。

「おーい!大丈夫ですか!!」

「すいませーん!! 救急車!!」

とか他の受講者がたくさんいるなかで大声でいわないといけない。

 

中途半端に演技したり声出したりすると余計恥ずかしいだろうと思って、ここは

イッチョ思い切り大声だして演技してやるかと思ったけど、いざ自分の番になると

できなくて、結局つぶやきシローみたいに小声でごにょごにょいっただけになって

しまった。いやあ、あれは恥ずかしい。

他の人もみなとても照れくさそうにやっていた。

みなで使う人工呼吸人形の唇に直接口をつけるわけにもいかないからということで

専用のマウスピースみたいなものも200円か300円くらいで買わされた気もするな。

今、教習所に通っている人もおそらくあの恥ずかしい応急救護の講義をやらされて

いるのだろう。

 

オレの運転技術の問題もあって、なんだかんだで卒業までやや時間と金がかかったけど

仮免試験と卒検の両方が一発合格だったのは苦労した甲斐があった。

 

ちなみに当時の大学の同級生も同じ時期に自分の地元の教習所に通っていて

オレと同じようになかなか先にすすまず苦労して卒業したらしい。

 

教習所の教官から

「君はやればできるのに一生懸命やらないから次へすすめなかったんだ」

といわれたということを嬉しそうにいっていたので、

オレが

「おい!喜んじゃだめだよ!それ一番タチが悪いんだよ!」といっておいた。

別の友人からも

「まだ一生懸命やってできないやつのほうがマシだよな(笑)」

といわれていた。

 

教習所は悲喜こもごもだ。

みなさんも教習所にはいろんな思い出があるだろう。

 

先日、舘ひろし主演の映画「免許がない!」がテレビで放送されていた。

ずっと昔に一度観たことがあるのだが、あまり憶えていないのでなんとなく

また観てみた。

 

 

 

――

舘ひろし主演で贈る痛快コメディ。免許を取るため教習所通いを始めた映画スターの

悪戦苦闘を描く。若者から絶大な人気を誇るアクション・スターの南条弘。

ところがそんな彼にも唯一のコンプレックスがあった。それは「免許がない」こと。

それを共演の美人女優・夕顔ルリ子に知られてしまったから、さぁ大変!映画の撮影

を中断し、南条は単身、自動車学校の合宿免許取得コースに入るが、そこにはセクシー

教官や鬼教官など強烈なキャラクターの教官たちが勢揃いしていた…。

 

 

懐かしい。もう30年くらい前の作品になるのだろうか。

当時映画のCМをよくやっていて、画面で舘ひろしが「ハンコ押してくれよ!」って

いっていたのをおぼえている。

 

かっこいいが免許を持っていない舘ひろし演じる映画スターの南条が合宿で教習所に

通い、免許をとるまでのコメディ映画。

 

ずっと前テレビでこの映画観たときは、もう既に免許とったあとだったかもしれない。

CMとか映画紹介とかで、とにかくクセのある教官ばかりいる教習所がでてくると

いうことは観る前からわかっていたので、教習所通う前だったらこの映画観たくなかった

ことだろう。

 

実際映画の中でも嫌な教官ばかり出てくる。

墨田ユキ演じる脚線美がセクシーな宇貝教官。

片岡鶴太郎演じるいじわるな暴田教官。

西岡徳馬演じるカタブツな照屋教官。

どれもあたりたくない教官ばかり。

 

それぞれキャラが極端ではあると同時に、教習所あるある的な部分もあった。

 

墨田ユキ、オレが若いころ流行った。

いつの間にか見なくなっていたが、ちょっとネットで検索してみたら今もう還暦らしい。

驚いた。

でもオレが通っていた教習所は、セクシーだとかいう以前に女性の教官がいなかった。

いたのかもしれないけれど、あたったことはなかった。

でもあのころのオレは女性と話すのが苦手だったから、墨田ユキみたいな教官がいたら

緊張して巧く運転できなかったかもしれない。

年上のオネエサンタイプは好きなんだけどね。ちょっと山咲千里っぽかったし。

 

あそこまでじゃないけど片岡鶴太郎みたいな教官もいた。

実技2回目でさっそく当たってしまった。

しかし、教習所っていうのはなんであんなに態度が悪い教官がいるのだろうか。

「怖い」とか「厳しい」んじゃないのだ。言葉づかいとかも含めて「態度が悪い」。

義務教育とは違って、こっちはお金を払っているからある意味お客さんなのに、

「いつまで(マニュアルの)1で走ってんだよ」

と言われたことがある。

あれは腹立った。

 

カタブツといわれている西岡徳馬みたいな教官が実はいいのかもしれない。

映画でも最後はいい人で終わっている。

 

オレが通っていた教習所は好きな教官を指名できるシステムがあったんだけど、

一回優しかったコジマさんという教官を指名したら、項目クリアさせてくれず

次回まで保留にされたことがあった。いわゆるハンコきれなかったというやつ。

 

優しいけどクリアさせてくれない教官を選んで時間かかったら自爆に等しいので

それ以降は嫌な教官に当たらないことを願って指名はしなかった。

しかし、今でもあの2回目にあたった教官はなんであそこまで態度が悪かったのか

不思議だ。

 

映画の中の舘ひろし演じる南条も四苦八苦する。

40歳越えて教習所に通うというのもかなりつらいことだ。

まわりは若い人ばかり。

孤独も感じることだろう。

 

そういえばオレのまわりでも40歳くらいで免許を持っていないという

人がひとりいる。

でもその人はとる気がないのかもしれない。

 

オレも一応マニュアルで免許とったけど、今もうマニュアルなんて

運転できないと思う。

東京のごちゃごちゃした渋滞ばかりの道にマニュアルは合わない(いいわけ)

 

でもこの映画、教習所通う前には観たくないかもしれないけれど、免許とった

あとで観るぶんには面白いかもしれない。

人間、心のどこかにきっと「他人事は面白い」っていうのがあるんだろう。