染井為人「正体」他 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

 

イギリス人英会話講師リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件で

逮捕された市橋達也は今、反省をしているのだろうか。

昔彼の逮捕されてからの手記を読んだけれど、どうも作家気取りで

良い印象を受けなかった。

 

事件においては映画化されているようだけれどちょっと気になって観てみたい。

よくぞまあそこまで逃げていたというその逃亡劇に関心があるのだ。

 

自分で顔をかえ偽名を使って、いろんな職場で働いてしのいでいたとのことだが、

以外とバレないものだということと、履歴書というシステムがザルだということを

改めて感じた。

 

逮捕されたのがもうけっこう昔なので、あまりワイドショーの報道などもおぼえていないが

逃亡中に市橋が働いていた職場である工場などで周囲の評価は決して悪くなかった

ようなことを聞いた気がする。

 

全部が全部とはいわないけれど、過去に悪いことをやってそれを隠している人間ほど

余計なことをやって目をつけられたくないから、真面目には働くのではないかと感じること

がある。

市橋もきっと余計な関心を持たれる危険をおそれて、黙々と真面目に働いて

いたのでないかと考えられる。

 

染井為人の「正体」という本をすこし前に読んだ。

いろんな事件がモチーフになっているが、市橋達也の事件がとくにモチーフに

なっているような印象を受けた。

――

埼玉一家惨殺事件の未成年死刑囚が脱獄する。

24時間フル稼働する東京オリンピック施設の工事現場、介護者の人手不足に喘ぐ千葉の

グループホーム……。

その場所に突然あらわれ逃亡そして潜伏を繰り返す彼の目的とは? 少年死刑囚の脱獄488日を追う!

(amazonより引用)

 

脱走した少年は正体を偽り、いろんなところに出没してはそこで働くが、一緒に働いた人間から

はとにかく優しさが目立ったり良い人だと言われる。

彼は本当に人殺しなのか?

 

オチに関しては市橋の場合とか決定的に異なるのだが、そこはネタバレにつながるので

書かないでおく。

 

たまに考えるのだ。

もし、自分が冤罪で死刑宣告されて収容された際、もしそこを脱走できる機会があったら

果たして脱走するか、それともおとなしくそこにとどまり拘置所の中から冤罪を訴えるか。

 

逃走中に冤罪が発覚し、真犯人が逮捕されたらそれはそれで結果オーライかも

しれないが、流れはそんな甘くない。

ハリソン・フォードがでていた「逃亡者」という映画は妻殺害の濡れ衣を着せられた医師が

自分の無実を証明するために脱走し、真犯人を見つけることに成功するがそれこそまさに

映画の中の話である。

 

この本のラストも決して救われる結末ではなかったが、テンポはよくてエンタメとしては

面白い1冊であった。

 

 

 

今回のもう1冊。

芥川賞受賞作家であり、ロックバンドBUCK-TICKの櫻井敦司の息子でもある

遠野遙の「改良」

 

 

 

 

――

メイクやコーディネイト、女性らしい仕草の研究…、美しくなるために努力する大学生の私は、

コールセンターのバイトで稼いだ金を美容とデリヘルに費やしていた。

やがて私は他人に自分の女装した姿を見てほしいと思うようになる。

美しさを他人に認められたい―唯一抱いたその望みが、性をめぐる理不尽な暴力とともに、

絶望の頂へと私を導いてゆく。第56回文藝賞受賞作。

(amazonより引用)

 

芥川賞受賞作ではないが、図書館にあったので読んでみた。

文字が大きくページ数も少ないので、借りるまでもなく図書館滞在中に読めた。

 

厳密にいえば読了はしていない。

あと数ページというところまで読んだが、ラストのほうでエグイ性描写が続いたので

気分悪くなりそこでリタイアしてしまった。

 

父親が属するBUCK‐TICKもけっこうエロティックな歌があったのでそこはやはり

血なのかもしれない。