世界を揺るがすトランプイズム | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

 

大好きな漫画のひとつにゆでたまご原作の「キン肉マン」がある。

 

今読み返してみてもその世界観はいかにも昭和の漫画らしい。

正義の正義超人と、悪の悪魔超人というのがいて、平和をかけて戦うという

ストーリーだ。

 

現在またキン肉マン本編の続編が連載?されているようだけれど、

今やっているシリーズのひとつ前にキン肉マンの息子であるキン肉 マンタロウが

主役である「キン肉マンⅡ世」という漫画が週刊プレイボーイだったかで連載されていた。

 

これがコミックス化されてから数年後、ブックオフで数冊買って読んでみた。

最初なんとなくパラパラとページをめくってみたときに見えたコマに超人同士が

愛憎たっぷりで闘っていたので、今回も最初のキン肉マンみたいに正義超人と悪魔超人が

闘っているのだな、と思った。

 

だけど読んでゆくとどうやら違う様子。

途中からは悪魔超人との戦いに入るのだが、それまでは正義超人同士がまるで善悪を

決するよう戦いをリングで繰り広げているのである。

 

正義超人同士が戦っている理由は、それこそこれからせめてくる悪の超人を倒すための

メンバーを決めるためである。

 

なんという設定だろう。驚いた。

単純に正義と悪が戦う子供向け漫画だったあのキン肉マンも、昭和が終わり平成と

なった当時にはその世界観も大人向けにすっかり変わっていたのである。

 

正義と正義が愛憎や嫉妬や陰謀まみれる中で自分の地位を守るため、ときには

残酷な技で相手を血祭りにあげるのだ。

 

まるで同じ社内で最下位には罰がある売り上げレースを営業マン同士にさせる

企業のようだ。

 

キン肉マンの息子満太郎のチームも相手のチームも正義の正義超人なのだが

やはり主役の満太郎チームと対戦する正義超人の描写はどこか好きになれない

ような悪役っぽいキャラである。そのへんが生生しい。

 

最近コロナと並んでアメリカの民主党による大統領候補戦がニュースでよく流れているので

ついつい興味しめし観てしまうのだが、アメリカの政治にあまり詳しくないので一番はじめに

その各候補が演説している映像を観たとき、それぞれ異なる対立する党の候補者が

演説しているのかと錯覚しそうになった。

 

だが冷静に考えるまでもなく、サンダースもバイデンも舌を噛みそうな名前の

ブティジェッジ(撤退)もみな‘同じ党’なのだな。

 

それぞれが互いに激しく論で攻撃しているから、一見みんな対立している党だが

実は仲間。

最近流れている映像は極端にいえば同じ党の中での同士討ちに近いかもしれない。

だから、観るたびにオレの中では正義超人同士が悪魔超人を倒すためのエリート

メンバーを決めるための血戦を繰り広げるキン肉マンⅡ世の画像が頭に浮かんで

しまうのである。

 

アメリカ民主党の中で誰が候補に選ばれるのかはわからないし、誰になってほしいとか

いう願いのとくにはないのだが、ひとつ心配なのは仲間内の舌戦を披露しているうちに

候補者それぞれの悪い部分が露呈してしまい、ラスボスであるトランプを相手にする前に

国民に大きなマイナスイメージを与えてしまい、それが大統領選に大きな影響を与えて

しまうのではないかということである。

 

日本国民だけれどもトランプはなんかもう嫌だ。

 

彼は政治家である前にビジネスマンだからイデオロギーがない。

オレは日本人だろうが外国人だろうが、ビジネスマンよりも思想家のほうが好きだ。

 

いや、ビジネスマンか思想家か政治家かという以前かもしれぬ。

 

不謹慎発言ではあるけれど酔ったサラリーマンが新橋の立ち飲み屋で

同僚相手に冗談半分でいうくらいならばまあいいだろうけれど、影響力のある

トップの人間が公にいうのは絶対NGだというような差別発言を平気でする。

 

アメリカ人でガタイもいいからそれなりに華があるように見えるけど

トランプって年齢的にはもうおじいちゃんといっても過言ではないだろう。

あんなにSNS(ツィッター)が好きなおじいちゃんも珍しいのではないか(笑)

 

公人でありながらも経済以外の知識はあまりない印象。

政治と離れた文化面においても酔っぱらったサラリーマンみたいなことをおおっぴらに

いい放つ。

 

今回のアカデミー賞は韓国映画の「パラサイト」が受賞した。

それについても‘ばかげている’と批判。

観たうえで批判するならまだわかる。

でもトランプはきっと観ていない。

政治面で韓国とうまくいっていないから政治と文化を一緒にして

批判しているのだ。

さっきも書いたように、仮に観ずに批判するにしてもそれが酔っ払いや

ネトウヨならばむしろ許していい範囲。

でも、大国のトップが文化面についておおっぴらに個人的感想をいっては

だめだろう。

 

作品批判したトランプにたいして配給会社は

「納得できます。彼は字幕が読めないから」

と皮肉で返した。ある意味トランプよりオトナだ。

 

蛇足だが国家としての韓国は好きじゃないし、韓国映画もほとんど観ないが

「パラサイト 半地下の家族」はちょっと興味あり観てみたいと思う。

ただオレ自身がある意味で半地下の家族並みの財政事情で再生機器がない

ため観られず残念。

「JOKER」は金払っても観にゆく価値あるテーマだと思ったので映画館まで

足を運んだが。

 

話は戻るがアメリカの大統領選はどうなるのだろう。

 

池上さんも本でトランプについてはイデオロギーなき大統領と

語っている。

 

――

グローバリズムの反動の波が押し寄せようとしている2017年、ビジネスマン、ドナルド・トランプが

第45代アメリカ大統領に就任した。世界はどこに向かおうとしているのか。

そして日本人が何を理解しておかなくてはならないのか。

トランプイズムの真意を読み解き、新閣僚の顔ぶれもふまえて、トランプ政権のゆくえと変化する

世界情勢を池上彰が解説する。イデオロギーなき大統領の出現で、日本と世界はこう変わっていく!

(amazonより引用)

 

トランプが大統領になって、明確に良かったといえることってなにかあっただろうか。

 

環境問題についても他のいろいろについてもすべて時代に逆行しているように思える。

 

これはこの本ではなく、いつかの新聞に書かれていたことなのだけれど、

津久井やまゆり園で障害者殺傷事件をおこした植松聖被告もトランプを尊敬していると

語っていたようだ。

彼が金髪にした理由は、崇拝しているトランプのマネらしい。

経済力がある人間には手をさしのべ、生産性がない人間は助けない。

その姿勢である。

 

変に影響力や発信力がある人間にはトップにならないで欲しい。

これはけっこう危険なことだ。