東京都美術館「ハマスホイとデンマーク絵画」 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

ロスジェネであると同時に、上の世代にいわせればファミコン世代でもある。

そんなに熱中していなかったりほとんどプレイしていなくても、ファミコン全盛時代に

少年時代を生きていただけでファミコン世代と呼ばれたものである。

別に気にしていないからいいけれども。

 

一家に1台ペースでファミコンはあったかもしれないが、自分の経験からいえば

現実、友達とは「外で遊べ!」といわれた。

親の世代の価値観からすると、子供はとにかく外を走り回るものだという時代だった。

だから友達と室内でファミコンで遊ぶ日はだいたい雨の日とか。

 

なので友人とはひたすら外で鬼ごっこや草野球やエアガンでサバイバルゲームなどをして

過ごしただけに、たまーに友人の家の中で遊ぶ機会があったときはとても楽しみだった。

 

他人の家の中の風景というのが新鮮なのだ。

ふだん、学校で一緒に過ごしている友人の部屋がどんな感じなのかというのも楽しみだったし

友人自身の部屋がなかったとしても、家の中に飾られているものとかや、居間のテレビの下に

並べられているVHSのビデオテープのラベルに書かれているタイトルを見たりするだけで

友人の家族の趣味をのぞき見したようで、ちょっとわくわくした。

 

友人の部屋に置かれているものからなんとなく好みや趣味を察して、誕生日プレゼント

とかでそれに関するものを選び、サプライズで贈ると喜ばれたりする。

 

なので室内、屋内の風景というものがオレはけっこう好きだったりする。

今でも友人の部屋や新居にゆくときは心が弾むものだ。

 

2週ほど前になるが、上野の東京都博物館へいってきた。

 

 

目的はこちらの企画展。

 

『ハマスホイとデンマーク絵画』

サイトはココ

 

 

これでここ最近の上野公園エリアの各美術館&博物館企画展は

コンプリート。

 

最初に断わっておくと、ハマスホイという人物を今回はじめてしった。

 

パンフによれば19世紀末デンマークを代表する画家とのこと。

展示ではこのハマスホイの作品に限らず、デンマークの画家たちが描きだした北欧の

美しい自然やそこで暮らす人などのなにげない日常がたくさんあるらしい。

 

冒頭でなぜ屋内について書いたかというと、この展示はそういう屋内を描いた

作品がメインといえるほど多いようだから。

風景画というと壮大な景色とかそういうのが多いが、こういう身近な視線を描いたもの

とかもなかなか趣きがある。

 

 

入口横の巨大パネル。

撮影スポットのようだ。

 

 

音声ガイドによるナビゲーターは宮沢りえ。

 

しかしビンボー人は声にお金を払う余裕がないので、作品が内側から訴えかけてくる

心の声を受信することでそれを音声ガイドとす。

 

この展示もやはり中は撮影不可。

 

下はパンフの一部から。

 

 

上にあるように部屋とそこにいる女性のうしろ姿がテーマの重要な位置を

〆る印象。

 

ただ、純粋に部屋の中だけを描いた作品もあれば、窓から見えるような

ごく身近な風景的なものもある。

 

多いのは屋内画だが、もちろん海や山や人物を描いた画もそれなりにある。

 

文字情報だけなのでわかりづらくて申し訳ないが、ミケール・アンガという作者の

『ボートを漕ぎだす漁師たち』という画は大きなキャンバスに、たくさんの荒っぽい

男たちが描かれていて臨場感に溢れていた。

 

オスカル・ビュルクという作者の『遭難信号』という画はサスペンスチックな題名に

あるとおり、窓の外から聞こえてきた不吉な避難信号に不安になり外を見つめる

母親と、それとは対照的に卓の上にある食べ物に興味深々の幼子が描かれていて

やけに印象に残った。

 

『娘の髪を編む母親』という画を描いたクリスティアン・クローグという人は

あのムンクを指導したとらしい。

 

ヴィゴ・ヨハンスンという作者の『コーヒーを飲みながら』という画は老女が二人向き合い

ながらコーヒーを飲んでくつろいでいる画で、まるで以前紹介した映画「八月の鯨」を

思いださせる。

 

画像がなく伝わりづらいと思うのが残念。

 

あと、パンチボウルという陶器が展示されていたのだが、これがハマスホイの画の中に

描かれている実物だということだった。

思わず現地で見比べた。

参考までに上のパンフ画像の一番左上の画で女性の左側に描かれている陶器である。

あれの実物があったということ。

 

まだまだ芸術に疎いオレだけど、屋内や身近な風景をメインとしたハマスホイと

デンマーク絵画、とても良かったと感じた。