イントゥ・ザ・ストーム | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

街角でたまに見かける風景の中で、子供のころ一度でいいから

そこにいてみたいと思う場所があった。

 

それは営業中のガソリンスタンドの敷地内において、稼働している洗車機

に止められている車の中である。

 

直接体を濡らすことなく、あの水しぶきと激しく回転するブラシの内側の

世界を味わってみたいと地味にずっと思っていた。

運転席がとてもとても小さな水のアミューズメントパークのように思っていた。

 

それから十数年、その願いを叶えるためとかではなく、ただ単純にガソリンスタンドで

バイトをすることになった。

当然給油だけじゃなく、客の車の洗車もする。

 

そんなあるとき、ふと子供のころのささやかなその願望が甦ってきたのである。

同時に、今のオレにはそれをする機会がじゅうぶんにあると改めて気づいた。

 

だけど、そういう機会というのは実は身近であって遠いもの。

スタンドのクルーだからこそ、乗る必要がないときに乗ることはあまりできない

洗っている最中の自分の車の中に、そこにいる必要もない第3者が乗っていたら客も

あまり良い感じはしないだろう。

一時預かっているとはいえ、あくまでそこは他人のプライベート空間なのだから。

 

だから、ずっと我慢していた。

ある日、一組のファミリーが乗るセダンがやってきて、洗車を依頼してきた。

そのときお父さんが申し訳なさそうにオレにこうお願いしてきた。

 

「あのう、すいません、うちの小さい(男の)子が、洗車機の回っているのを車

の中から見たいっていっているんで、乗せたまま回してもらってもいいですかね?」

 

わかる。その子の気持ちよくわかる。やはり興味あるのだ。

そして、そんな我が子のささやかな夢をかなえてあげようと、若僧のオレに

頭をさげてきたお父さんの優しさんも感動した。

 

同時に

「よし、小僧。わかった!あとでこのお兄さんが飴玉をくれてやろう。そのかわり

車の中からの風景を見る権利をこのお兄さんに譲るのだ!」

といいたかったがそれが抑え、とりあえず、偉そうに店員ぶって

「ああ、わかりました。でも機械が動いている間は危険ですので、絶対窓や

ドアをあけないようにお子さんにいってあげてくださいね」

と伝えて許可した。

 

口調と表情はベテランクルーみたくスカしていたが、内心では駄々っ子みたいに

「あ~ン!もゥ!ほんとはオレだって中に入っていたいのにィ~ クキィー!」

と叫んでいた。

 

それからさらに時が経ったある日。

幸運の神が舞い降りた。

 

その日はスタンド自体がヒマでヒマで客がほとんど来なかったのだけど、あるとき

1台の車が入ってきた。

中からひとりの男性が降りてきて、ガソリン満タンと洗車をお願いしてきたのだが、

給油と洗車が終わるまでの間、10分ほど近所で買い物して戻ってくるといい、車だけ

置いてスタンドを離れたのだ。

 

チャンス、心ときめいて。

高田純次と兵藤ゆき。

 

このタイミングを見て、所長に

「車のお客さんも他のお客さんもいないから、預かった車の中に乗ってみて

洗車機まわしてもいいですか」

とさりげなくきいたら、まあ、しょうがねえなァみたいな感じだったがOKをもらった。

 

給油を済ませて、運転して洗車機にいれ、設定入力とスタートボタンを押したらすぐに

ドアをあけて、運転席へと入った。

 

そしてオレは子供のころに想像を膨らませていたあの水しぶきが躍る内側の

世界を目撃した――

 

感想。

 

 

たいしたことなかった。

以上。

ま、もしかしたらオレがもうオトナになっていたからかもしれないけれど。

 

激しい回転と水しぶきの中心にいながらも静かな空間というニュアンスで

いえば、いわゆる「台風の目」の中も近いイメージがあり、あの渦の中は本当に

無風なのかを見てみたいという想いは今でもある。

 

竜巻のそれが巨大で半径が大きかった場合、中心部はとても静かだとかいう

のを前に観た映画『イントゥ・ザ・ストーム』で聞いた気がする。

もしかしたら記憶違いかも。

 

 

 

――

地球史上、最大の“怪物”。
直径3,200メートル 時速320キロ
自然が解き放つ、前代未聞の巨大竜巻

アメリカ中西部の街シルバートン。

この日、ゲイリー(リチャード・アーミティッジ)が教頭を務める高校では卒業式が

行われようとしていた。

一方、竜巻の撮影に執念を燃やすストーム・チェイサー・チームのメンバーで

気象学者のアリソン(サラ・ウェイン・キャリーズ)は、シルバートンの気象状況に

かつてない巨大竜巻の可能性を見出す。さっそく一行は、特別仕様の装甲車
“タイタス”に乗り現地へと向かう。そんな中、ついに想像を絶する巨大竜巻が発生し、

シルバートンの街を襲う。
卒業式を中断し、避難する生徒や父兄の誘導に追われるゲイリー。
やがてその中にいるはずの息子ドニーの姿がないことに気づく…。

(amazonから引用)

 

竜巻映画といえば、ヤン・デボン監督の「ツイスター」を思いだすが、こちらもまた

巨大竜巻を追いかける研究チームと襲いかかる自然の驚異を描いたパニック映画。

 

チームのメンバーが竜巻の中へ向かってゆき、嵐の中急に静かになったと

思ったら、実は竜巻を抜けたのではなく、竜巻の渦の中心に入ったというシーンが

あったような、なかったような。

 

映画館で観たら、もっと迫力あったんだろうと思う。

面白いけれど個人的にはDVDでちょうどよかったという映画。

 

この映画記事を今日アップする予定というのは実は1週間前にはもう決まっていて

自然の猛威の演出などがスゴイことなどもっと書くつもりだったが、すこし前といい、

この3連休といい、タイミングがタイミングなので今回はあえて、終盤の

ジャンボジェット機が巻き上げられるシーンは見ものという程度に自粛しておく。

 

 

映画ネタついでに。

今、新聞広告とかで見かけて最近封切られた「みえない目撃者」という映画。

どっかで聞いたような筋だなと思ったら、やはり4、5年前に友人宅でみた映画の

日本版リメイクだった。

 

原作がどこの国か大きく発表されていなかったのは時期が時期だからか?

 

日本のリメイク版において、ディティールはアレンジしてあると新聞の評に書いてあった。

だいたい、どこらへんがアレンジされているかは想像つくし、日本でリメイクするという

のであれば、アレンジされている部分はあそこであってほしいという願いはある。

(オレは観にゆかないけど)

 

でも、もし……

アレンジされているという部分の予測がハズレて、あそこの部分があのままだとしたら

映画観に行った人は、その後かなりブルーになると思うので要注意。

 

ヒントの過去記事。

主演予想はハズれた(爆)

「原作」