イヨマンテの夜 | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

 

 

もう長い間グループで呑みにいってもいなければ、連絡のやりとりもしていないが

友人であり姉貴分でもあるMネエさんが、子供を連れて幼稚園の送迎バス乗り場に

いったとき、「千の風になって」の秋○雅史氏に遭遇したようで、そのとき撮影させて

もらったという写メを昔見せてもらった。たしかに本人だった。

間違いない。市村正親ではない。

 

詳しくはおぼえていないが、子供が同じ幼稚園でたまたまそこで一緒になったようだ。

 

Mネエさん曰く、とても驚いたと同時に感動したのだが、顔と曲はしっていながら、

失礼にも名前がパッと出てこなかったらしい。

 

でも興奮のあまり自分の子供にその感動を伝えたかったので、

「ほら!ほら!○○ちゃん! 『お墓の前の人』がいるよ!」

と、はしゃぎながら何度もいったと聞いて笑ってしまった。

 

それ聞いてご本人どんなリアクションしてました?って訊ねたら、

苦笑いしながら、

「お、お墓の前の人って……(汗)」

といってたようだ。

それで余計笑った。

 

ちょっと前になにげなくBSをみたら、Mネエさんに「お墓の前の人」と呼ばれた

秋○雅史氏が歌番組に出演していた。

オレ自身も秋○氏の力強い歌声は嫌いじゃないので、ちらりと観続けていたのだが

気になった理由はもうひとつあった。

 

歌っていた曲である。

『イヨマンテの夜』。

オレもそこまで土地の歴史や風土には明るくないのでもし違っていた部分があれば

ご容赦いただきたいのだが、イヨマンテとは儀式のひとつでアイヌに伝わるもの?である。

 

この歌は歴史も格式もある歌なんだけれど、皮肉にも最初にこの歌の存在をしった

きっかけは、放送後大問題となったバラエティ番組の中だった。

 

そう、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」である。

 

タレントを閉じ込めたバスをクレーンで吊るしたり、芸人の背中を爆破したりと、今ならば

まるごとコンプライアンス違反のような番組である。(好きだったけど)

 

そのお笑いウルトラクイズの番組の中で、夜、宴会で芸人をはじめとする参加者たちが

他の芸人とタッグを組み、即興で宴会芸を披露してそこにいる出席者の有名人を笑わせる

という企画があった。

 

どの芸人とどの芸人がコンビを組むかというのはルーレットで決めるのだが、いうまでもなく、

日テレ系バラエティのルーレットはだいたいイ○サマ(笑)なので、ルーレットは予定どおりの

ところで止まりコンビも既に決まっている。

そしてメイクや小道具もしっかり用意されているから、実際そのコンビが披露するネタは

即興でもなんでもない。

 

そんな流れの中の一組に、ワハハ本舗の梅垣義明と、無名のイヨマンテーズというコンビが

組んでトリオでネタを披露する時間があった。

(イヨマンテーズというコンビが登場する時点で既にスタッフの予定どおり)

 

ここで梅垣&イヨマンテーズの3人が、全身に金粉を塗りたくって、志村けんがコントで下半身に

つけるような大きなコテカを下半身につけて袖から舞台に登場し

、「イ~ヨ~マンテ~!」とか歌いながら変な動きとをはじめたわけである。

 

現場である宴会場は大爆笑だったが、これがイヨマンテ(儀式)やアイヌを冒涜・侮辱していると

放送後に関連団体から苦情がきて騒動に。

 

後日、日テレのアナウンサーだった永井美奈子が謝罪をした映像もしっかりおぼえている。

wikiにもその件が書いてあったので記憶違いということはない。

 

記憶の限り、歌については別にヘンな替え歌にしたりとかはなかった。

ただ、恰好がやはりマズかったのかと。

 

歌は歌、ネタはネタという割り切った考えもあると思うが、その歌や風習を大切にする

人たちからすれば、冒涜とか不快ととらえられてもしょうがない。

なんせ、金粉と特大コテカだから。

 

宴会でその芸を見ていた参加者のひとりに住職の織田無道がいたんだけど、

オンエアみると、織田無道が腹抱えてゲラゲラ笑っていた。

 

騒動になったあとの新聞の記事だか投書欄だかを見たら、番組の参加者の中には

神につかえる住職もいたが、その芸にたいして怒るどころか大爆笑してて、

信じられなかった、という声もかかれていた。

織田無道好きなわけじゃないし、擁護するつもりもないが、やや巻き込み事故感も。

でも、まあ、あのころの織田無道も調子に乗ってすっかりバラエティタレントだったから

自業自得かも。

 

梅垣も嫌いじゃないけど芸がやはり諸刃の剣。

この騒動をきっかけに、これまで問題になった芸もメディアに掘り返されていた

気がする。

「ろくでなし」を歌いながらの鼻ピーナツ芸も、ヘタしたら越路風吹の家族とピーナツ農家の

両方から苦情きそうだし。

もしかしたら既にきているのかもしれないけど。

 

芸って本当に難しいのだ。

リアルに披露する芸でも、ハガキ職人のように文字や文章で笑わす芸でも。

 

芸には多少毒がないと笑えない。

でも毒があるということはそれなりに人を傷つけるということ。

そのバランスが難しい。

 

記事本文は読んでないけど、数日前Yahoo!トピックかなんかで、

サンドウィッチマンは誰も傷つけない笑いなのに面白いという見出しがあった。

本当にサンドはすごいと思う。

 

お笑いウルトラクイズのイヨマンテネタについて、とても不快になった人がいる

のは事実だと思う。

 

でも、いち視聴者として結果良かったことがあるとするならば、一部の人から

きっかけとして不謹慎だと御叱りを受けるかもしれないけれど、「イヨマンテの夜」

という素晴らしい歌があると知ることが出来たことだ。

 

美輪明宏が紅白で歌った「ヨイトマケの歌」もそうだけど、演歌とはまた異なる

こういう力強い歌がある日本ていいと思う。

 

蛇足だが、かつて所ジョージが「コヨーテの夜」という歌を歌っていた。

歌詞は「サボテンのトゲ抜いて!」とかいうふざけたようなものだった気がするが、

タイトルの元ネタはもしかしたら「イヨマンテの夜」っぽいなと考えた。違うか?