過去にも告白したがオレは口笛が吹けない。今でも。
だが、それによるメリットもなければデメリットもとくになかったと思う。
ひとつ思いつくメリットといえば、小学校か中学校のころの朝礼で、
校長先生が長い話をしている最中にクラスの誰かが「ピュ~♪」と
口笛を吹いて、それを聞いた担任が「今口笛吹いたやつ誰だ!」と
怒ったとき、少なくとも口笛吹けないオレは容疑者リストからまっさきに除外
されるだろうと安心したことくらいだ。
ただ、友人が飼い犬と呼ぶときなどに口笛を吹いたりするのを聞くと
多少憧れる部分はあった。
たかが口笛、されど口笛。
自分にはできない肉体楽器演奏だけあって、口笛という技はオレには
非日常な存在だった。
それだけに、普段生活してても近くで誰かが口笛吹いて歌っていたりすると
敏感に反応してしまうクセがある。
勝手な偏見かもしれないが、世代によって比較的よく吹いているのを
耳にする「口笛率」というランキングがオレの中にあって、オレより10歳上から親の世代
くらいまでの人が吹いているイメージのある曲のひとつが、
ザ・ヴィーナスの「キッスは目にして!」である。
罠、罠、罠におちそ~おぅ~♪
の出だし部分を吹いている年上の人をたまに(といっても最近でひとりふたりだが)
目にした。ひとりは身近な人。
いわずとしれた昭和の有名曲で、リアルタイムではなかったと思うけどオレも好きな
曲だ。
なんだろう。曲そのものがいいのはもちろんだけど、入り出しとリズムが口笛向き
なのかもしれない。
吹いてて気持ちいいというかなんというか。
で、誰かが口笛吹いてたり、口ずさんでいるのを聴いても不思議と毎回その瞬間
曲名がパッと出ず、「あれ? この歌なんていう曲だっけ?」と考えてしまう。
その後すぐに「あ、『キッスは目にして!』だ」と正解が浮かぶのだけれど、
いい感じに引っ張るイントロのテンポと、歌いだしの「罠、罠、罠におちそう~」の
インパクトが強すぎて、どうしても一瞬「罠に落ちそう」という曲名だと錯覚しがち
である。
蛇足だが、「タモリのボキャブラ天国」でまだ視聴者投稿ネタメインだった時代、
仕掛けた落とし穴(だった気がする)の中にお地蔵様がハマって落ちている映像で
「罠、罠、罠にお地蔵~~」
っていうネタがあったのを今でもおぼえている。
もうひとつ、この曲を元にしたネタもあってそれもおぼえているが、今だとコンプラに
ひっかかりそうな下ネタなので、ここでは書かない(笑)
ヴォーカルの歌い方もヒットの理由かな。
「罠」(わな)の、「わ」の前にやや溜めるように小さい「う」が入っているようなのがいい
「う罠、う罠、う罠におちそう~」というこの勢い増しが。
このタイトル、厳密に説明すれば、キッスはまぶたにしてということだと思う。
(あるいは投げキッスを目に向けてとか)
でも、キッスをまぶたにしてだとどうもカッコよくないので、目にしてという表現に
したんだろうけれど、どうしてもオレはここで想像力が直球で働き過ぎて、
唇と眼球がダイレクトに接触している状況を思い浮かべてしまう。
イメージとしては、チュッパチャップスの表面に唇をつけているような感じ。
生生しくて申し訳ない。