ねじ式 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

先日放送されたアメトーークの「相方向上心ない芸人」、

予想以上によかった。

 

ジャンポケのお○けとガリッ○チュウはちょっとオレだめだけど

バイきんぐの西村とスーパーマラドーナの田中は最高だった。

 

バイきんぐは昔から面白くてふたりともそれぞれ違うタイプの個性が

輝いてる。小峠はもちろん西村もほんといいキャラしてる。

 

M-1でしか観たことなかったけど、スーパーマラドーナの田中も

あそこまで作りっ気ない向上心のなさだと、突き抜けて爽快。

一気に好きになった。

 

こういうキャラがいて、こういう企画が誕生してそれで笑いもとってるって

ことは、向上心ないことをしっかり仕事にしてる結果になっているんだから、

口先でやる気あることばかりアピールして全然面白くない人間よりも、

間違いなく世の中が求めている存在であるというのがオレの導きだしたアンサー。

 

やはりオレは熱血や努力をアピールする人間よりも、西村や田中みたいな

タイプの人間のほうが心から愛せる。

 

ほんとに重要なのは、ただの怠け者や無気力のつまらない人間で済むのではなく、

その「向上心ない」「脱力系」がしっかりと面白い才能として、どこかでなにかを生み出して

いるか人を楽しますことにつながっているかという点だ。

 

これいうと反論くるだろうけど、この競争社会において、映画アウトブレイクの猿から

感染拡大したウィルスのごとくポジティブとかやる気とかいう言葉が猛威を振るうパンデミックの

中でも、一貫してブレずに「向上心をもたない」というのはひとつの才能だ。

 

オレは前から思っていたことがある。

タレントにしても社会人にしても、向上心ややる気のない人間を使わないのができる

プロデューサーや経営者ではなく、向上心がないならないでその特性をうまくどこかで

使ってやろうという発想の転換ができる上の人間が本当に人を使う能力あるのである。

だから今回のような企画をたてたアメトーークのスタッフがお見事、さすがだ。

 

向上心あるのもそれはそれで立派なんだけど、それを思いきり言葉や表情に

だす人間は好感度的スケベでいやらしい。

実際に血のにじむような研究や努力をしていても、それを一切表にださず、

ウソでもいいから「自分、怠け者なので」と笑えるような人をオレは支持する。

 

 

向上心とはややズレるかもしれないが、自分の経験をもとに無気力な主人公を描き、

その作風を見事武器にして多くのファンを得た日本漫画界の巨匠といえばやはり、

つげ義春だろう。

 

そんなつげの存在を世の中に広めた作品といえば「ねじ式」。

 

4年ほど前にはあの舞台となった房総の漁村に聖地巡礼にでかけた。

当時の記事 ➡ 【早朝鈍行 ねじ式と帰路】

 

原作は何度も読んでいる。

映像化もされているのもしっていたが、お金を出してDVD借りてきてまでみたいとは

思わなかったが、この前図書館に置いてあるのを発見。

 

視聴覚ブースで鑑賞してみた。

 

 

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主演は浅野忠信。

脇として丹波哲郎や藤谷美紀も出演していた。

 

パッケージの写真は漫画ファンならば見てすぐわかるとおり「ねじ式」の

冒頭でメメクラゲに腕をさされた主人公。

 

作品タイトルは「ねじ式」だが、作品構成としては他にも「もっきり屋の少女」

や「やなぎや主人」なども含めたストーリーになっている。

 

主人公の「つべ」は、あらゆる妄想の中を旅して放浪する。

 

もっきり屋の少女のシーンでは、主人公が居酒屋の少女であるチヨジに

出逢う。

チヨジを演じる女優さんもなかなかイメージにあっているが、チヨジにちょっかいだす

客役の杉作J太郎を使ったのもいい配役だ。

 

放浪の最後に「ねじ式」の世界にたどり着くのだが、ねじ式に関しては原作を忠実に

再現しているのが伝わってよかった。

手にスパナを持っているオジサンや、うしろにある屏風に描かれた天狗など、

漫画のコマの背景やディティールをしっかりそのまま演出している。

 

予算や特殊撮影技術も問題もあってか、アノ有名な機関車の描き方においては

露骨な模型ではあったが、それ以外においては原作ファンには嬉しいラストエピソード

だった。

 

つげ義春の世界自体がかなりシュールで、深い意味もないから、つげや原作を

まったくしらない人がいきなりこの作品を観てもおそらく意味わからないかも

しれない。だからあえておすすめはしない。

もし観るならば、まず原作を読んでそこで、つげ義春の世界観を受け入れられる

人だけが、あくまで見比べるという意味で観るべき作品かもしれない。

 

ひとつ注意としてがめちゃくちゃエロいシーンが多い。

そしてその1シーンが長い(爆)

オトコ目線でも観ても、さすがに

「いや……もうこのカラミはいいからそろそろ原作になぞったストーリー性ある部分観せてよ」

と思ってしまう。

 

つげ作品はもともとエロスの要素が濃いけど、映像化にあたってなにもここまで強調しなくても

とは思った。浅野忠信は体張ってすごいなあとは感じたけど。

 

観たい人は借りてきていえでみたほうがよい。

すくなくとも、簡単な低い囲いしかない図書館のブースで観るのは避けたほうがいい(笑)

 

横の通路を通る人から普通に画面が見えるので、落ち着いて観られなかった(-_-;)

 

 

 

 

3記事連続の映画特集でお送りさせていただいたので次回記事はちょっと映画から離れて。