東京03 | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

野球はナイン。

サッカーはイレブン。

これはフィールド内でプレイしている1チームの人数を表す名称だ。

 

つまり野球なら9人、サッカーならば11人。

公式の試合であれば、基本は1チームその人数でプレイする。

 

だけど、小学校のときにおこなわれたクラス内の球技大会などの

人数配分は大雑把だった。

 

オレらが小学生だったころはひとクラス、男子20数人女子20人ほどの40人強くらい。

ただ、男子は男子だけで、野球やサッカーをやったり、

女子は女子だけで、パレーやバスケットをやったりというようにわかれてやって

いたので、男子の部だけでいえば22~24名くらいだったが、

それでも通常に2チームにわければ、1チーム10人以上にはなってしまう。

 

でもそこは、さっきも書いたように正式な試合とかではなく、あくまでお遊びなので

基本ルールである人数より1、2人オーバーしても同時に参加したりしていた。

だから、フィールド内がやけに大人数でごちゃごちゃである。

 

サッカーなら1チームが12人いたり、野球ならばなぜか守備が10人いたりする。

でも、それは当時そういう球技大会を事実上しきっていたチームキャプテン……

つまり‘クラス内でも目立つ存在だったスポーツ小僧’なりの、

「できるなら補欠とか交代要員とかは設けず、全員で一緒に参加しよう」

という、ささいな気遣いだったのかもしれない。

 

このブログでも、もう何度も書いているとおり、オレはスポーツが嫌いで苦手だ。

そのなかでもとくに球技。

 

だから、球技大会の時季になると、決まってブルーになっていた。

一応なにをやりたいかとか事前にクラス男子内で多数決をとるのだが、それも出来レース。

9割の確率でオレがもっともやりたくなかった野球になる。

 

その流れにかんしては、オレも、そしてオレの近くにいる‘スポーツ嫌い仲間’もなかば

絶望的な想いで運命だと思い諦めていた。

 

案の定、野球に決まったところで、今度は2チームにわけるのでそれぞれ2人のキャプテンを

決めようという流れになる。

 

ここでは学校の少年野球チームに属しているスポーツ小僧が自ら立候補するか、あるいは

その‘とりまき’たちが「○○くんと、△△くんがいいと思います!」と推薦することにより比較的

スムーズに決定する。

 

しかし、問題はそこからである。

2チームのメンバー分けの方法が、クジとか名簿で交互にわけるとかならばまだいい。

 

今考えると、コンプライアンス的にもありえないといっておかしくないのだが、当時は

選ばれた二人のキャプテンが交互に、クラスの人間の中から好きな人を順番にとって

ゆくというようなシステムが主流だった。

 

教室の両端にキャプテンがわかれ、自分のチームに欲しいクラスメートを交互に指名し、

選ばれたクラスメートは教室の中央から、そのキャプテンがいるほうへと移動するという

流れだ。

 

予定どおり、それぞれ一番はじめから自分と仲がよい目立つグループの人間と指名する。

その次は仲の良さは普通くらいでも野球が得意そうなクラスメートを指名する。

 

そしてやはり、オレらのようにクラスの中でもあまり目立たず、スポーツもあまり得意じゃない

男子は最後のほうまで教室の中央に売れ残ったペットショップの犬猫のごとく、取り残され、

そして憐れみの視線を集める。

 

なにが屈辱かって、別にやりたくもない球技大会に強制的に参加させられたうえ、

その上まだ試合もはじまっていないうちのチーム分けの時点でさらし者にされることが

屈辱だった。

 

捕らえられたジャンヌ・ダルクは火刑台に縛り付けられて火を放たれた。

その時横にいた兵が、ジャンヌ・ダルクが女であることを証明するため、燃えている服の

下半身の部分を槍でまくりあげ、刑を見に来た大勢の大衆に向けて彼女の裸の下半身を

露出させたという屈辱があるらしいが、オレにとってそのチーム分け余りモノ扱いはその

時のジャンヌ・ダルク級の屈辱だったといっていい(爆)

 

結果的に「おミソ的」な要因として、どちらかのチームに最後のほうに指名されて入る。

が、一難去ってまた一難。

 

野球好きのキャプテンがまた張り切って、放課後作戦会議をみんなでやろうとか

いいだす。

勘弁してくれよ。家帰ってお笑いマンガ道場みたいんだからさ、とか思いながらも気が弱い

から参加する。

 

要はそれぞれの守備位置を決めようということなんだけれど、いうまでもなくおミソがピッチャーや

キャッチャーを委ねなれるはずはない。

そういうポジションも、もう出来レース的にだいたい誰がやるかとか決まっている。

学芸会の主役と一緒。

 

でも最初に書いた通り、野球は9人である。

オレもふくめておミソが1人か2人いたら、守備につく場所がない。

 

だけどキャプテンはキャプテンなりに、どこか無理やりにでも守備につかせようとする。

そこでオレがキャプテンからいわれたのは、

 

「えーい! じゃあ、○○(オレの名前)は『うちゅうかん』いっちゃえ!」

 

ということ。

 

改めていっておくと、当時のオレは野球が嫌いだっただけあって、正確なルールや

野球用語もほとんどしらなかった。

 

なので、オレはそれを聞いた当初、「宇宙間」だと思っていた。

被害妄想も稼働したというのもあるが、つまりはおまえは役に立たないから

もうどっか遠くにいってしまえ!

宇宙空間にでもいってしまえ!

 

といわれたのかと思った。

 

実際には「右中間」ということだった。

つまり、センターとライトの間にいって守ってくれということらしい。

うまくいえないが、憂鬱の中の安心。

 

ただ、あとになってしったが、厳密にいわなくとも本来、ライトとセンターの間の

守備というのはない。

 

ライトはライトで、そしてセンターはセンターでそれなりに野球できるやつが

任されて守備についている。

 

つまりオレに与えられた「右中間」という守備位置は、オレに与えられたおミソ専用と

して特別に生み出されたポジションだったのだ。

ある意味では光栄。ある意味ではワンモア屈辱。

 

改めて簡単にいうと、一応クラスのレクレーションだから、強引に10~11人で守りにつく体制を

とったということだ。

 

オレとしては、とくにプレイを楽しみたいと思ったわけじゃないから、交代要員でもよかったと

思っていた。

キャプテンなりの気遣いだったんだろうけど、そこに野球好きと野球嫌いの温度差があった。

 

トリオや大人数グループの芸人さんが演じているコントとかを見ていても、

「このコント、3人で演じているけど構成としては2人でも十分できるんじゃないかな?」

って感じることがしばしばある。

(ネタ考える芸人さんも大変なのは承知なので、これはあくまでイチ素人の声として書くけど)

 

なんといえばうまく伝わるか微妙だが、簡単にいえばボケとツッコミだけで十分成り立つコント

なんだけれど、グループが3人(あるいはそれ以上)いるから、とりあえず全員でやとうと

いうような構成。

 

目立つのはボケとツッコミが激しくやりとりしている様子を、3人目が距離を置いたところで

「おい!○○してるよ!!」

と解説モードになっているパターン。

 

かわりやすく説明している、笑いを煽っている役割があるというのはわかるけど、

コントとしてはボケとツッコミのふたりだけでいいんじゃないのと、アマノジャクなオレは

思ってしまう。

 

なんというか、最初からそういう役割をコントに設けたいうえで、3人組を組んだとかいう

のではなく、とりあえず仲の良い3人で集まったから、やるときはどうにか3人一緒にやろうという

ような流れが感じられてしまう。

 

だけどそんな中、『東京03』のコントはやはり面白い。

 

 

 

コントの構成はもちろんだけれど、他の3人組芸人と比べると3人すべてがかぶらない

役割で、誰かが欠けてもならないような流れで、『仲良し3人組で無理やり同時にやってる感』

がまったくないのがすごいなと感動する。

 

3人組のコントだと、だいたいさっき書いたようにボケ、ツッコミ、解説となるか

あるいはツッコミにたいしてボケがふたりいて、交互にボケるというスタイルが多い。

 

いわゆる盛り上げ解説がおらず、ツッコミ、中ボケ、大ボケという役割で、交互じゃなく

しっかり回転しているのが見事。

 

途中、豊本サンが大ボケかなと思いきや、まわりにまわって角田サンが大ボケになる。

そしてそこに日常にもありそうなリアルリアクション色の強い飯塚サンのツッコミが入り

笑いの化学反応がおこる。

すごくよくできてるコント。

 

いやー、いまさらいうまでもないけど「東京03」のコントはホントに面白くて好きだわ。

 

あ、蛇足だけど同じ東京でも多摩地区は市外局番が03ではなくて、042なので(笑)