マイノリティ・リポート | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

かなり前だがTBSで「男嫌い」というドラマが放送されていて、

その主題歌の「SPY(スパイ)」という歌を歌っていたのが槇原敬之だった。

 

とくに槇原のファンというわけではないオレの耳で聴いても、それまでの

槇原の曲とはなんとなく違うなあという印象はあり、実際に槇原ファン、

音楽ファンのあいだでも、槇原らしくないという声がささやかれていた。

 

こういったことは音楽シーン限らず、映画シーンでも当然おこる。

 

他の人間がどう感じているかはわからないし、もしかしたらオレだけかもしれないが

昔、「マイノリティ・リポート」という映画の公開前CMの映像を観た時に、それが

スティーブン・スピルバーグ監督作品だとしって意外だという印象を受けた。

 

 

 

近未来をテーマにしたアクション的な映画という意味と、トム・クルーズ起用という意味の

両面で、なんとなくスピルバーグの印象じゃないなあと。

 

どちらかといえば大自然や迷宮などを背景としたスピルバーグ作品が好きなので、

公開してからしばらくは観ることがなかった。

 

それが、ちょっと前にたまたまテレビ地上波で放送していたから観てみたのだが、

なんだかその放送するタイミングが不自然な気がしたのだ。

 

スピルバーグ監督の人気作品とはいえ、かなり昔に製作された名作というわけでも

ないし、ロードショー公開からさほど経過していないホヤホヤの地上波放送というわけ

でもいない。

 

話題作だったのはわかるが、どうして今このタイミングでいきなり地上波?

といった感じがした。

 

観終えたあと、ストーリーを通してその理由がわかった気がした。

 

政府と世間の間がちょうど『共謀罪』について騒いでいたからだ。あくまで推測だが。

世界観がタイミング的にドンピシャだと思ったテレビ局が‘警鐘’かもしくは‘便乗’で

放映しにかかったように思われた。

 

映画の主人公はトム・クルーズ演じる刑事ジョン・アンダートン。

 

3人の予知能力者の力によって、未来に犯罪を犯す人間の映像が見える

‘殺人予知システム’

がとりいれられている未来の世界。

 

そこでは犯罪現場がおこるという現場に前もって部隊が到着し、予知映像で

犯罪を犯そうとする人間を逮捕することができるので、殺人事件の発生率は

ゼロだった。

 

だが、そのシステムの問題で、刑事であるアンダートンに殺人者の濡れ衣が…。

 

まさに共謀罪騒動を予知するかのような映画だった。

 

スピルバーグの方向性としては当初あまりオレ好みではないと思ったが

いざ観てみたら、それなりに面白かった。←偉そう。

 

日本で共謀罪に反対している人が多いのは、けっして事前逮捕を問題視していると

いう理由ではないだろう。

 

警察は事件が起こってからでないと動かない。

だけど、起こってからでは遅い。

といった論は昔からよく聞く。

 

それはまったくそのとおりで、なにか起こしそうな人間は事前にマークしておくべき。

 

大衆が共謀罪について納得していないのは、どこまでが仲間内の「銀行強盗でもやるか!」

といった冗談話で、どこからが真剣に犯罪を企てている談議なのかという明確なボーダーの

説明を政府がしないところである。

 

本当に危なそうな人間や集団にかんしては、多くの人が早めに監視したり、場合によっては

拘束してほしいと思っているだろうが、そのボーダーがあいまいなまま施行されてしまうと、

政府にとって都合悪い発言したり、デモなどを起こす人間は、政府のさじ加減……というか

権力で好き勝手にしょっぴかれてしまうことになりかねないから、そこを危惧しているのだ。

 

逮捕や拘束のタイミングって難しい。

早めに動けば大惨事は回避できるかもしれないが、場合によっては冤罪にもなりかねない。

 

警察の初動や対応がよく問われるのはストーカー事件。

事件が起こってしまった時は既に被害者が殺されてしまっている時が多い。

だけど、ただつきまとっている時(最初のうち)は警告くらいしかできない。

 

でも、しつこくつきまとうくらいの人間だったら、警察の警告なんて聞くわけないんだよな。

だから、そこが難しい。

 

だけど、やっぱりスピード違反をしそうな車やバイクを見かけると、制限速度オーバーするまで

こっそりと尾行して、オーバーしたとたんにサイレン鳴らして捕まえるのはオカシイ。

 

そういう時こそ、マイノリティ・リポートのように‘オーバーしそう’な気配を感じたときは、その運転手

もしくはライダーにおいついて、スピードオーバーする前に

「スピード出し過ぎで危ないですよ。もうちょっとで制限速度オーバーだから気つけてください」

と教えるのが正しいはず。

そうすればドライバー側における警察の印象だって変わるだろう。

 

「点数稼ぎとかじゃなく、本当にドライバーやライダーが事故らないように心配してくれてる」

と。

 

スピード違反するのを待って、速度超過したとたん追いかければ、悪質なドライバーは暴走して

逃げるかもしれない。

その逃走中になにもわるいことをしてない通行人がはねられる可能性だってあるのだ。

 

警察の方も大変なのはわかるが、そこは筋を通してもらいたいというのが、ある意味でオレの

マイノリティ・リポート(少数派の意見)である。