ポートピア連続殺人事件 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。




刑事ドラマの人気シリーズ「相棒」。

実は一度も観たことはないのだけれど、成宮寛貴が出演していたシリーズのラストについては
ネットその他でかなり話題になっていたので、だいたいどのようなオチだったかというのは
しっている。

主人公とそのパートナーのふたり組が事件を追いかけて、犯人を見つけ捕まえるミステリー
作品において、そのオチは斬新ともいえるし、掟破りともいえる。

観終わったあと、「それってアリか!?」というオチね。

ドラマ本編を観ていないオレは賛だとか否だとかいうつもりもないし資格もないのだが
その流れと結末を聞いた時、まっさきに頭に浮かんだのがファミコン初の推理アドベンチャー
ゲームである『ポートピア連続殺人事件』だった。



ポートピア連続殺人事件/エニックス

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ゲームといえばシューティングか格闘、それとスポーツが主流だった当時において、
コマンド式の謎解きサスペンスというジャンルはかなりセンセーショナルであり、
それまであまりゲームに興味も持たなかった文化系男子、いや、女子までもの心を
くすぐった。

舞台となるのは神戸。

プレイヤーが主人公であるボスとなり、部下の刑事・真野康彦(通称ヤス)を引き連れて
連続殺人事件の犯人を追うゲーム。

平面的で表情が乏しい登場キャラに、大雑把な背景描写。
BGMはオープニングで流れるパトカーサイレンを現す電子音のみ。

だが、ファミコン初で他に類のない形式のゲームだっただけに、そういった画面でも
十分興奮モノだった。

そして独特の‘静けさ’もそれはそれで、サスペンスの怖さと緊張感をうまく演出して
いたと思う。

ここ最近になってから思い出してみると、改めて名作であったし、このゲームがあったからこそ
のちに推理ゲームがたくさんリリースされることになったのだろう。

シューティングやスポーツゲームが苦手なぶん、こういったゆっくりプレイできる
ゲームは大好きだった。
発売された当時はまだ小学生だったのでお金がなくて『ポートピア連続殺人事件』は
買えずに、少し経ってからクリアした友人に貸してもらいプレイしたが、それから
しばらく経って中学1年の時に発売された『北海道連鎖殺人事件オホーツクに消ゆ』
おこづかいを貯めて、ディスクユニオンで中古で買った。


世の中の大人たちも、子供が遊ぶテレビゲームといえば対戦モノやアニメモノだけと認識していたようだ。

ある日友人と一緒に塾にゆくとき、「ポートピア~」の攻略法や印象深いシーンの
話をしながら向かっていた。

塾についても話は盛り上がったまま続き、友人に向かって

「○○荘の中でカワムラが殺されてたんだよな!!」

といいながらドアを開けて入ったら、中でその会話を耳にした塾のオバサン先生が
オレに向かってすごい剣幕で、

「え!! なんですって!! 誰が殺されていたんですって!!」

と、心配そうに訊いてきたので、オレは冷静に

「あ、いや、ゲームの話です」

と答えたのを今でもおぼえている(笑)

それだけ話題性もあり、センセーショナルな作品だったということに違いない。

そしてプレイヤーである子どもたちを驚かせた犯人(オチ)もセンセーショナルだった。

ませた目で見れば子どもながらにそういうオチもあるかなくらいには思っていた。



「ファミコンにおける一発目の推理ゲームにて、いきなりその‘オチ’を放り込んでくるか!」

という大胆さがまさに衝撃的だった。

テレビを製作するスタッフも今はオレより年下も多いだろう。

もしかしたら「相棒」のスタッフの中にも、このゲームをプレイした人間がいて世界感を
練り込んできたのかもしれないと思った。


結末に困ったり筋書きに血迷ったりしたのではなく、もしかしたらシリーズものとしての
制作が決まった段階で、何シリーズめかでこのオチを使おうとはじめから意図的に決まって
いたのかもしれない。


『ポートピア~』は単発のゲームだったからいいけど、何作も続くテレビドラマの1作めで
いきなりその結末を持ってきちゃうと、2作目以降盛り上がらないし視聴者もヘンに構えて
観ながら考えちゃうリスクがあるからね(笑)