先日は大國魂神社で酉の市だったのでふらっと歩いてみた。
参道の奥のほうでは大小さまざまな熊手がキラキラと光っていた。
そして熊手以外にも芸術関連の展示や披露がある。
こちらは恒例である菊の展示。
祭りがあるたびにここでこれをなんとなく見つめるのが好きだったり。
オレの中で「犬神家の一族」にでてくる犬神邸の庭を思い出させる要素があるのだと思う。
菊人形があって、そこにスケタケの生首があったら怖いけど、それは絶対ないだろうから。
こちらは「神楽」。
一日3回ほど演じられていたようで、最終の午後7時からのを少し拝見して帰った。
舞台の上を天狗が歩いている。
そうそう、先日NHKのBSで1974年に上映された横溝正史原作、市川崑監督の
映画『獄門島』
が放送されていたので、これは観るべきだと思って観賞していた。
横溝作品に登場する血塗られた家系において、こういった伝統芸能的をやっているという
設定はよく登場するのだが、獄門島でもこういう舞台が盛り込まれ、そこで登場する大道具の
釣鐘がキーになっていた。
オレが夜の祭りの風景が好きな背景には、どこか横溝&市川の世界感が漂っているから
かもしれない。
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呪われし孤島で3人の娘が次々に殺されてゆき、その謎を探偵金田一耕助が解決
してゆくミステリー。
ごく最近でもNHKでリメイクドラマが撮影と放送されたようだ。
オレは以前に獄門島の映画を観たことがあると思っていたのだが、今回放送されたのを
見るとどうやら初めての印象だ。
過去に見たのはどうやら古谷一行とかが金田一をやっていたリメイクドラマだった模様。
映像化としては犬神家よりあとらしいが、小説としては犬神家よりも獄門島が先のようだ。
横溝正史は犬神家の一族において、スケキヨ、スケタケ、スケトモの3兄弟を殺される
役に定めたが、当初は3兄弟でなく3姉妹の設定だったらしい。
ただ、前作の獄門島において、3姉妹殺しを既にやってしまったため、かぶるのをふせぐ
ために途中で3姉妹から3兄弟に変えたという。
やはりあの名作、犬神家の一族にはおよばないが、この獄門島も日本の地方独特の
風景美と和のおどろおどろしさが見事に描かれていてよかった。
金田一役もやはり石坂浩二に限る。
横溝作品と市川映像のすごさはやはり、見立て殺人における死体。
3姉妹の一番下は木から逆さ吊り。
2番目は大きな釣鐘の中に死体。
1番上はお堂で絞殺。
ちなみに一番上の役を演じていたのは若き日の浅野ゆう子である。
この時代のミステリーを見ていて何がすごいと感じるかというと、監督の指導と演じる女優さんの
思いきりによる「死体の顔」である。
死体においてどんな表情が視聴者にたいして、「死体だ……」といった恐い印象を与えるかと
考えたら、それはやはり目をカッと見ひらいた恨めしそうな上目遣いだと思う。
それが横溝作品×市川映像にはしっかりと存在するのだ。
最近はドラマとかまったく見ないけれども、たまにCMとかスポット映像とか見ても
サスペンスドラマにおける役者さんの死体顔が綺麗すぎるような気がする。
死体と思えないような綺麗でやすらかな死に顔。
昔と違って事務所が所属女優さんにイメージが悪くなるようなことをさせたくないような
しがらみを見ているような気がする。
もっと保守手的な事務所だと、将来売れそうな女優さんにはそもそも死体役なんてさせない!
みたいなニュアンスも……
そういう方針の方々にはぜひとも伊藤かずえセンセイのプロ魂をお見せしたいものだ。
☟
女優さんにおいて、「脱ぎっぷりがいい」とかいう評価はよく聞くが、この獄門島における
浅野ゆう子をはじめとする3姉妹の「殺されっぷり」は素晴らしい。
逆さ吊りと地面に寝転がった状態での恨ましい上目づかいのカメラ目線が視聴者の肝を
ヒンヤリと冷やさせるおどろおどろしさがあって良い。
1974年上映の犬神家の一族で小夜子が恋人であるスケトモの死体と目を合わせた時の
絶叫とその表情も秀逸だった。演じていたのは川口晶サンという女優さん。
リメイク版で小夜子を演じた奥菜恵の叫びは……ちょっと違った。
やはり昔の役者さんというのは無双な部分があった気がする。
それを踏まえると他の横溝原作の金田一作品も改めて見たくなってきた。
なにかあるのはわからないけど、ここ最近ラテ欄見ててもBSとかで金田一の映画とか
ドラマの放送多いしね。
そんな流れで、恐ろしいながらも美しい横溝作品の殺人美学映像を堪能しながら、
冬の夜を満喫してみるのもおかがでしょうか?
めっきり寒くなってきた今日この頃……
みなさん、体調を崩さないようにお気をつけください。
外から帰宅した際には、うがいを忘れずに……