前に住んでいた部屋は、駅前と言っていい位置にあるマンションだった。
部屋は上のほうの階。
一部の家具に関しては新しいものを買い、直接部屋に届けてもらう手筈になっていたので
引っ越した当日、まだ空間ばかりの新しい部屋でひとりあぐらをかいて、ニトリからベッドが
届くのを待っていた。
午後に届くということしかわかっていなかったで、ずっと部屋で待機していたのだが
ある時、窓の外から耳をつんざくような激しい音がとびこんできたのだ。
マンションの立地とその音からして目で確認するまでもなく、電車のブレーキ音だということは
すぐにわかった。
「人身事故だ!」
そう思い、すぐにベランダに出て下をみた。
ベランダからは線路と駅のホームの端っこが見えるのだが、電車がホームに進入しきらず
ヘンに手前で停止していた。
もう、間違いない。今、眼下に見えし電車が‘当電車’だ。
やがて、オレのいる部屋にまで聞こえてくる駅のアナウンス。
「ただいま当駅で人身事故が発生しました――」
うわー、よりによって引っ越し初日から新居の前で人身事故目撃かよ。
と、ちょいへこみながらも部屋の中に戻り、ベッドを待つことに。
1時間後ベッドは無事に到着したのだが、それ以降もやはり駅の様子が気になる。
おそるおそる再びベランダへ。そして、そっと下の線路とホームの様子を見てみた。
鉄道警察と消防の作業も、可能な限りは進んでいたようだった。
被害者を下にして停止していただろう車両も既に動いてそこにはなかった。
ただ、惨状の片づけ作業まではそう簡単に終わらないようで、被害者が飛び込んだ線路の両サイドには報道でよく見るブルーシートが張るように建てられていた。
ホームにいる他の乗客や、線路沿いの歩道を歩いている人に、遺体の欠片や飛び散った血が見えないように。
うん、たしかに2メートルくらいの目隠しがあればホームや歩道を歩いている人には見えないだろう。
だけど、それを見ているオレがいる部屋は地上4階よりも上……。
もう、オレが言いたいことがどういうことかお察しだろう。
そういうことだ(-_-;)
ただ、はっきり言ってしまうと作業がある程度進んでいたおかげで、ホトケさんそのものは
見ずにすんだ。
でも、ブルーシートに囲まれた線路上に、なにかの塊のようなものがたくさん散らばっていて
警察の人がクリを拾うでかいピンセットのようなアレで、ひとつひとつ拾いあげてはビニール
袋に入れている場面はみてしまった。
距離があったから、「かたまり」と認識する程度の目視で済んだが、あれが何だったのかという
のは明らかにわかっている…
軽~くスプーン小さじ一杯くらいのトラウマである。
飛び込まれた人に対してはお気の毒だと思うけど、こちらはこちらで引っ越し初日に部屋から
事故と肉片を見ることになるとはなんとも後味悪かった。
‘轢死は繰り返す’? って言うくらいだから、しばらく住んでたらまた同じこともあるのではないか
と思っていたら、やっぱりもう一回だけあった。
ま、そんな感じで初日はトンだ日であったが、マンションそのものの住み心地は良かったのが
救い。
マンションから見える場所での事故はあったけど、マンション事態にいわくを感じさせるような
出来事はないまま、なんとか住み切った(笑)
何かあってもなくても比較的すぐ引っ越せるというのが賃貸。
昔は「夢のマイホーム」だとか「マイホームは男の城」だとか言われた時代だったけど
今の時代はちょっと変わってきているようだ。
みなさんは、マイホーム派か賃貸派か?
ローンとかだけの問題だけならば、そりゃあ断然マイホームがいいに決まっている。
だけど、最近はその家を持つ人の問題だけでなく、いろいろな問題がゾロゾロと出てきている。
隣人トラブル。地盤沈下や崩壊。耐震精度。などなど。
つい最近も、千葉のどこかの住宅街で一戸建てだけを狙った悪質な落書き事件があり
報道されていた。
その他にも数年前で言えば、引っ越しおばさんのような近所トラブル。
やっと建てたり買った家の隣が数年後にゴミ屋敷になって異臭がしたり、ボヤ騒ぎがあったりなん
ていうトラブルだってあると思う。
隣人が嫌だったりした場合、賃貸ならばすぐにでも引っ越せるが、家を買ってしまうとそうはいかない。
嫌になったらすぐに売却できるような安い買い物ではないし、ヤドカリかハウルの城でもない限り
家ごとそのまんまどっかに「はい、お引越し」というわけにはいかんのだ。
本人に非がなくとも隣人に非がある場合、そこから動けなくなるマイホーム暮らしというのは
ちょっとリスクがあるのはいなめない。
最近のそういった近所トラブルやゴミ屋敷騒動の報道の多さから、ホリエモンや某ステーキ
チェーンの社長も「家を買うよりも賃貸のほうがいい」と語っている。
一昔前の経営者や金持ちは、稼ぐとすぐに、やれマイホームだとか、やれ田園調布に豪邸
だとかだっったが、そういった風潮も変わりつつあると見た。
もちろん、コツコツだろうがガツガツだろうが必死に動いてお金を貯めてマイホームを購入まで
至った人は素晴らしいというのは十分認める。
それでもやはり、どういう隣人がいるかとか、施工に責任を持てる業者が建設したかとかで
リスクが生じてしまうにはいなめない。
ここまで取り上げた例はいわゆる実害のあるトラブルだが、賃貸・一戸建て問わず新築では
ない限り可能性のある「縁起的によくない物件」というのもある。
いわゆる、死亡事故や事件が発生した部屋や家だ。
水が出ないわけでもない。対審制度がないわけでもない。隣人が狂っているわけでもない。
施設的にはまったく支障がないのだが、人が死んでいる。
オレ、純粋に疑問なんだけど、オカルトとか例とか100パーセント信じない人っていうのは
こういう部屋にも普通に住めるのだろうか。
オレは無理。
でも、あえてそういう部屋を狙って住んでみようというコワイモノ知らずの人も存在するのだ。
そんな人が書いた本がコレ。
- 事故物件に住んでみた!/彩図社
- ¥637
- Amazon.co.jp
年間で3万人を超える自殺者の最期の場所は、半数以上の55.3%が「自宅」だとのこと。
つまりはそれだけ事故物件が多いということだ。
オカルト現象に遭遇したとかいうような話は書いてなかった気がするが、周囲からはかなり
ヘンな目で見られたという、当たり前だ(笑)
そういった物件にわかって住んでいることに対して、「気が狂っているとしかいいようがない」
という友人に対して
「高給取りのお前には分からん。これが俺の生き様なのだ。その部屋で不幸にして亡くなった
人の死にざまをこの肌で、あるいは耳か鼻か第六感か知らんが、身体で心で感じとる。
それがジャーナリズムだと思わんか」と、酔いながら語ったという。
こういう人、見ていて嫌いじゃない。一緒に行動するのは無理かもだけど(笑)
あと、この本で紹介されていたサイト。
事故物件を紹介しているサイトなのだが……
↓
ちょっと前に何かのテレビでも紹介されていたのを見たが、その時はあまり興味が向かなかった。
だけどこの本にも書かれていたのでサイトを見てみた。
けっこうその精密度におどろき。
これまでにあった、そういうアヤシイ系の場所を紹介する場というのはだいたい、細かい住所が
ぼやかされて、正確な場所が特定できないようになっていた。
○○町○丁目くらいまでは記されていても、そこ止まり。
何番地何号とかまでは配慮されて伏せられている。
だけど、このサイトを見たら、正確な住所から建物名まで表記され、しかもその建物で発生した事件が自殺か他殺かあるいは火事かとかまで正確に書かれている。
一見、趣味が悪いように映るかもしれない。
だけど最初に書いた通り、家を建てたり買ったりするにしても、マンションを借りるにしても
それは決してガムやゲームをかったりするようなレベルの安い買い物ではないのだ。
だけど、商売を第一に考える不動産屋などは、なんとか事故報告義務を法律スレスレのところで
うまくごまかして、そういう物件を消費者に売ろうとするかもしれない。
後悔のない高い買い物や引っ越しをしたいのであれば、これから新しい部屋や家に住もうという
人、新しいテナントで商売しようとする人は参考までにこのサイトで、その物件に問題がなかったか確認しておいたほうが賢明かもしれない。
これから引っ越そうとしている部屋が立地・設備的を考えて異様に格安だったら要注意。
集合住宅の場合、ドアから一歩でも外に出た場所は「住居スペース」ではなく、
あくまで「共有スペース」扱いだ。
だから、ドアを開けて一歩歩いた場所で人が刺されて殺された事件があったとしても、住居スペースの部屋の中は現場じゃないから、不動産屋はそれに関して事故説明義務が免除されるという噂もある。
「たとえドアの前でも部屋の中じゃないなら別にいいよ」という人もいるかもしれないが。
ちなみにオレも今の部屋周辺と実家周辺を検索してみたが、問題ナシ。
ちょっと離れた団地では飛び降りがあったみたいだけど。