中華食堂一番館 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

昔「一杯のかけそば」という話があった。

オレがかけそばというものと初めて出会ったのはたしか小学校4年か5年。


友人数人と西武球場に野球を見に行った帰りに、国分寺駅の改札すぐ近くにポツンと

佇んでいた立ち食いそば屋だった。


今でこそ、丸井が出来てにぎわっているが当時の国分寺駅は平たい駅舎で駅ビルなんて

当然存在しなかった。だから駅の上には空が開けていた環境だった。

そんな田舎風景の中にその立ち食いそば屋はずっと存在していた。


別グループの友人たちが先行して西武球場に行った時、その帰りにみんなでそば屋に入って食

そば食ったと大人ぶって自慢しているのを聞いて、なんとなく興味を持ち真似したくなってしまったのだ。


そしてオレらのグループの後に西武対近鉄戦を見に行った帰り、降りた国分寺駅でそのそば屋を

見つけて入ったのだ。


たしかに新鮮だった。

大人になった今では立ち食いそばなんて別にどうってこともないが、小学生からすれば

まさにオトナの店である。それまでは駄菓子屋とコンビニ、いってもマックくらいでしか飲食

したことがない。

まさにオトナの階段を一歩上った気分だったものだ。


そういった気持ちを別として、そばはそばでとても美味かった記憶がある。

当時の価格で、かけそば一杯190円だ。

小学生でも食べることが出来る。

特に具が乗っているわけでもないツユとそばだけなのに、出汁が聞いててやけに美味かった。

それ以降、オレらは西武球場行った帰りには、みんなして立ち食いそば屋に寄ったものだった。


そんな感じで「かけ」という言葉が冠につく食べ物といえば、今までは「そば」か「うどん」

といった印象だったが、最近は「かけラーメン」といった表現(商品)も世に出てきたようだ。

手か、昔からあるのか? オレが知らなかっただけか?



中華食堂一番館

東京都新宿区歌舞伎町1‐22‐8 小島屋ビル2F



一番館外観


先日、群馬から帰ってきたその日の夜、別の友人から「明日飲みいかない?」
と連絡が入ったので、翌日は新宿へとハードスケジュールをこなすオレ。


居酒屋一休で飲んだあとに入った店だ。

2階にあって、以前はたしか松屋の定食部門フロアだった気がする。


ここにあるのが「熟成かけらーめん」 290円



熟成かけらー

結論から言えば、まあ290円のラーメンだろうといったところ。


ただ、店もそういう営業姿勢で望んでいるのだろう。

味とかではなく、歌舞伎町でほんとに気軽に激安で軽く食べられる店を設けようと…。

だから、それに関しては別に文句はないし、ここはここでよいと思う。


ここで一度この店のことは置いておいての話になるが、最近でも新たにオープンする

立ち食いそば屋が増えてきているように見える。


当然、メニューには「かけそば」がある。


軽く食いたい時や、財布を優しくしたい時にかけそばといった存在があるのはたしかに

ありがたいのだが、最近店側の「かけ」という言葉の使い方がちょっと違ってきているように

思えるのだ。


国分寺駅改札すぐ外で食べたオレの知っている「かけそば」は、具が刻みネギくらいしか

乗っていない質素な丼だけど、そばとツユがしっかりとしていて美味いもの。


だけど、ちょっと前に某駅構内で食べた「かけそば」は、何かしらちょっとした具が乗っていたが

そばとツユが最悪だった。


「かけ」という言葉が具がないとか質素だとかいう意味で使われているのではなく、

安い代わりにあまり美味いのは大目にみよ、といったいわゆる免罪符的な言葉として

使われているような印象を受ける。


基盤となる、そばとツユにはあまり力を入れていないけれど、ちょっとした具を盛って飾りつけ

「‘かけ’だけどちょっと具が乗ってますよ」といったプチ贅沢感は演出されていることも多い。



いや、「かけ」はあくまで「かけ」であるわけだから、そこはあまり力入れたりサービスしたりしなくて

いいんだけどな。

そこで具をサービスする予算があるならば、基盤のそばとツユをもう少しグレードアップした

かけそばを提供していただきたいと、いち消費者としては思う。


そばも人間も同じ。


どんなにトッピングで飾っても味が重要なのはツユとそば自体である。


オシャレに着飾れるような服も持っていなければ、周りから一目おかれるような資格のひとつも

持っていない…

だけど、基盤となる人間性だけはちゃんとしていて味がある。


そんな「かけそば」ならぬ「かけ人間」になりたいものだ (笑)