池林房@新宿三丁目 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

前回「呑者家」を出たあとの続き。

休肝日志向をあざ笑うかのように2軒目へズカズカと向かう。


前から気になっていた店や教えて頂いた店など数店あるのだけれども

このGWでもやっている店が意外とすくないという都会の死角。


本当のことを言うと、今回の企画として初日である日曜は友人の案内で

「京成立石」の飲み屋街へと飛ぶ予定だったのだが、日曜営業している店が少ないことが

判明し、急遽、店舗数においては日曜でも選択肢の多そうな新宿に白羽の矢がたったのだ。


だが無理やり新宿を選んだわけでなく、オレとしてまだ行ったことがないけど行ってみたい

酒場があったということも然り。



二軒目の酒場は呑者家から歩いてすぐ。こちらも有名な老舗である。


『酒場 池林房』

東京都新宿区新宿3-8-7吉川新宿ビル

詳しくはココ



池1

こちらも読み方が難しいが「いけりんぼう」ではなく『ちりんぼう』と読む。

前から来てみたいと思っていた酒場のひとつだ。


ぱっと見は敷居が高そうで、外に張られたメニュー表には「お子様連れはご遠慮」というような

貼り紙。オトナの世界を遵守する空間づくりが感じられる。


路面店ではあるが、入口に向かって降りる階段があり微妙な地下感覚があるが、おそらく計算。

なんとなく入店しづらいオーラはあるが、覚悟を決めて、すんがずんがと踏み込んでゆき、

中に入ると対応は驚くほどアットホームでホっとする。


店の雰囲気はもちろんなのだが、前からこの店に来たかったことには他にも理由がある。


アジアでも有名な繁華街である、この「新宿」という土地。


カルチャー的に言うと、この新宿は大きく2つのエリアに分けることが出来て

「歌舞伎町」と「三丁目」であるのだ。


そして、新宿といえば二人の「シ―ナさん」がそれぞれ歌舞伎町と三丁目に君臨している。

二人ともオレの好きなシ―ナさんで一人はオンナ、一人はオトコだ。


オンナのほうのシ―ナさんはJR新宿駅の東口を出たところですぐに口をアングリとあけているアングラなエリアである大遊戯場歌舞伎町を拠点に新宿系自作自演屋(今もう言ってないかな)として

名を馳せている「リンゴ」さん。

役職は‘歌舞伎町’の『女王』である。


いっぽう、オトコのほうのシ―ナさんは歌舞伎町を横目に抜けて進んだ先にある新宿三丁目を

主に活動拠点として名を馳せている「マコト」さんである。

役職は‘新宿’『赤マント』だ。


今回ポイントとなるのはマコトさんのほう。


この「池林房」を経営している方は椎名誠と交流の深い太田トクヤ(椎名作品中の表記)さんで

椎名誠本人もよく訪れているという。遭遇したという話もけっこう耳にしたりした。

俳優の故・原田芳雄なども来ていた名店とのことだ。


まあ別に本人に逢おうとは思っていないが、そういう歴史ある文化人憩いの店ならぜひ一度

行ってみたいと思っていたことで、今回の2軒目に決定。


先客はまだ数人。

手前の席に案内された。


改めてまずはここでもビール

こちらはエビス。

隣はお通しだ。


池3

乾杯してからグビグビ。

すでに一杯ひっかけてきているわけだが、不思議なもので店が変わり雰囲気もかわると

そこでの一杯もまたどこか新鮮なものである。


上の画像だとチトわかりづらいのだが、この店は卓がちょっと変わっていて個性的である。


「コの字」ではなく、一か所角が切れて空いている「ロの字」型の卓なのだ。

(ホームページを観て頂けばわかりやすいと思われる)


その切れたところから何人かが内側に入り、向き合うカタチで屋台で飲むようなグループ呑みが

出来る。もちろん一人飲みも状況によってはオーケーかも。

それぞれの卓の上にもしっかり屋根がついているの演出もニクい。


室内でも屋台で飲んでいる気分になるような店を作りたかったという経営者の思いからそれが

実現したというハナシだ。


とりあえず酒の肴も一品。

ここでは軽めに。


「フライドポテト(ガ-リックチーズ)」


池4

このような薄切りのフライドポテトも珍しい。

他店ではあまりお目にかかれないのではいだろうか。


箸でつまんで、口も中へ放り込みモグモグムハムハしながら

ジョッキもちあげグビグビ。


本格的な食事や一品も当然あるのだけれど、今回のように2軒目で酒のつまみに頼むぶんには

ちょうどいい肴である。

今回は食べなかったけど腹が減っていた時は是非一度試してみたいメニューが「酒盗チャーハン」

なるものだ。


外が暗くなってくると、まるで避難するように人々が店の中に入ってき始めて、いつの間にか

賑わいを増していた。


おそらく……

画像中央に映っているピンクのシャツを着た店の人が椎名氏と仲の良いオーナーの太田氏

なんじゃないかなと思われるのだれど、帰宅してからネットで検索してみるとその顏は短髪だった。画像の人はロン毛。

髪をのぞいた顏の部分はなんとなく本人ぽいんだけれど、真偽はまだ不明。



池2


ビール2杯とつまみ2、3品を腹に入れてそろそろ撤収。


トイレは店の奥のほうにあるので、帰る前に寄っておいたのだがその際、さりげなく奥の方の

席に座っているグループの面々を盗み見た(爆)


残念ながらさすがに今回は椎名氏遭遇は叶わず。

まあ世の中そんな甘くナイ。


ほろ酔いで店を後にしたが、さすが老舗酒場だけにこの「池林房」も来てよかった。

しっかりした料理と店内の独特な雰囲気は人を連れていけばきっと喜ぶのではないかと思われる。


うるさい学生などはいない。(たまに来店してしまうかもしれないので保証はないけど)


落ちついた店で、なんとなくオトナの呑みを楽しみたい人や、文化人気分に浸りたい人は

一度訪問してみたらよさそうだというのがオレの感想。


吉田類とはちょっと違う路線だけれど、もしかしたら椎名誠その他作家に逢えるかもしれない

オトナの酒場である。





胃袋の許容量と軍資金の問題があるのでオレ主導の初日の居酒屋探訪はこれで終わり。

この日は池林房を出たあと、葛飾区にある友人宅に泊まりに行き、翌日は拠点を変えて

友人チョイスの居酒屋にて探訪再開。


次の出没店は正式に言えば飲み屋ではないのだけれど、アレをつまみながら昼呑み。

おおまかな進行方向と、言いまわしから勘がいい人はなんとなくどこの店か気付いているかも。


居酒屋探訪GWスぺシャルはもうちょっとだけ続きます。まだまだというほどは続きません。

酒が飲めない人にはかなり退屈な記事になっているかと思いますがもうしばらく辛抱頂ければ(笑)



池林房の太田氏などが登場するのはたしかこの本だったような違うような。

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