去年くらいから吉田類のような人生の味わい方を趣味のひとつに加えたいなと
密かに思っていた。
ご存じの方も多いと思われるが、吉田類とは酒場放浪をしている酒場詩人のオッサンであって
オレは観ることができないのだけれども、BSとかではそういった飲み屋を紹介する居酒屋放浪
番組もやっている。
すこし前に新宿3丁目の「どん底」に行った記事も書いたが、そこに再訪を望んで実際行ったのも
そんな居酒屋探訪をはじめたいという想いの序章ではあった。
で、あまり頻繁に出向いたり派手に散財したりは出来んのだけれど、ぼちぼちと可能な限りで
初めて見ようかと思う。 もともと酒を呑みに行くのは好きだし、いろんな店を知ればオレの中での
情報という知識にもなるし、このコラムで発信も出来る。
そーゆわけで、不定期新企画
「昭和80年代クロニクル的 ケンの居酒屋探訪」はじまりはじまり。
メンドくさいから上のようなタイトルはいちいちつけんけどね。
居酒屋の記事だったら、それはこの企画だと勝手に思っていただけれオレもラクだ。
このテの企画としては、もうべッタベタの‘ベタ’だが、その一回目記事は
吉祥寺の
『いせや総本店』
東京都武蔵野市御殿山1-2-1
詳しくはココ
情緒ある飲み屋を紹介する類 (ここは「るい」じゃなくて「たぐい」と読んでね) の本では
必ず、掲載されている超有名な焼鳥屋である。
本当にベタなチョイスで申し訳ないとは思うんだけれども、ベタな割には実は今まで一度も
行ったことがなく、前から一回訪問してみたいと思ってこまめにいろいろリサーチしていた。
まずは無難そうな店から始めようというところ。
読者の皆さまもご存じだと思われるが、「いせや」と言えば、数年前までは昔ながらの佇まいが
人気を呼ぶ店だったが、老朽化によって改装の運びとなり、現在はすごくキレイな店へと
変わっている。
まあ、そりゃあ出来れば以前のような店構えのほうが味はあるのだけども、それはしょうがない。
ヘタな客の要望をうけて、古いままで営業継続したとしても、もし老朽化による崩壊などの大事故があったものなら、その時はその時で、「店の人気継続のため建物をそのままにして安全対策を怠った結果だ!」とかいう手のひら返しの連中も出てこないとは断言できない。
なにはともあれ、外観は変わってもその味やスタイルはそのままだということだから
とりあえず焼鳥だけでも食べてみる価値はありそうだとふんで、友人をひっぱりだし、男二人で
行ってみた。土曜日ね。
「いせや」は吉祥寺に3店舗を構えるが、オレが選んだ店は上の画像の「総本店」
改装前なら迷うことなく井の頭公園前の「公園店」を選んでいた。
かつてフォーク歌手の高田渡がよく通っていたという公園店。
あと、なぎら健壱とかも。
だけど各店舗の改装後の外観を見てみると、現在の公園店は外観がすっかりスタイリッシュな
バーみたいになってしまっていて、逆に総本店は提灯があったり壁がなかったりして、まだどこか
風情が残されていた。だから今回は「総本店」
回転はあるが、混雑具合はやはり噂どおり。
過去に店の前を通りかかった時にもその光景はよく目にしたものだが、やはり日が落ちるかなり前の時間からワイワイガヤガヤ賑わっていて、店内は満席。
四時半くらいに並んで、10分ほどで席に案内された。
店内はカウンター数席に、長い卓のテーブルで他のグループと一緒に座る。
窮屈と言えば窮屈。
二階には座敷もあるようだけれど、「いせや」に来たならやはり風の吹きぬけるカオスな一階席で
呑みたいものだ。
まず一杯目はビールジョッキで乾杯。
2杯目は店の雰囲気と合わせて瓶ビールを。
それにしても向かいの人近いっ!(まったく別のグループw)
店内がそれほど広くないうえに、卓が共有だから知らない人の顏がすぐ前に……
そして横の人とも密着しそうなほど近い(汗)
距離が近いことで隣や向かいの人と仲良くなって会話を交わしている人も多少は見られたが
それにしても、ちょっと近すぎる……。
ミスター人見知りの称号を持つオレとしては、この距離感はちょっと疲れるかも。
横に友人がいたから助かった。一人でふらっと立ち寄るならば絶対カウンターだな。
メインの焼鳥はもちろんとして、「いせや」に来たら絶対に食べておきたいメニューがあった。
常連の人たちの間でも「いせや」に着たら、これを頼むべきというメニュー。
それがこの「自家製シューマイ」
焼鳥よりも早く卓に登場。
一個の大きさがかなりある。
箸で真っ二つに割ると、中で肉汁が輝く。
店内の貼り紙にもあるように、混雑時は焼鳥を焼くのに時間が掛かるので、まずは焼鳥と一緒に
このシューマイを頼んで、シューマイが来たらビールをちびちびと舐めながら、鳥が卓上へと飛来するのを待つがよろし。
そして、ついに「焼鳥」が出てきた。
皿の上には3種類が2本ずつある。
すべて1本80円。
味は聞いていた評価のとおりでかなりの質
ヘンなアブラもなく、肉自体も引き締まっていて噛んでいて美味い。
対して上手くない焼鳥がスーパーとかで1本120円くらいで売られていることを考えると
本格的な専門店で焼かれたこの美味い焼鳥が1本80円というのは、長年のファンが多いのも
頷けること然り。
一通り、全部試して食べてみたくなるし、また持ち帰りもしたくなる。
味とコスパは文句なし。
美味いし、しっかりしているの一言。
ただひとつ難点となるのは店員の接客態度。
これはもう有名というか、たくさんの人が既に口にしたりブログで書いたりしているが
態度の悪さは想像を超えていた。それも一人じゃなく数人揃って。
頑固だとか厳しいとかじゃなく単純に「態度」が悪い(笑)
それだけは先に言っておく。
これから訪問しようとする人のための予備知識として。
これは「いせや」のファンの人ですら口に出しているようだが、あの店が好きな人にとっては
そういう部分も含めて「いせや」だったり、あるいはそれをふっとばすほどにアノ焼鳥を食べたいという想いがあるのかもしれない。
味はかなりのモノだったので一度は行っておく価値のある店だとは言い切れる。
2回目があるかどうかはその人次第だろう(笑)
接客態度をあまり気にかけないような人ならば、たぶんハマるし、気にかける人ならもう行かないかもしれない
機会があれば今度は公園店のほうにも一度行ってみてもよいかなとは思うけど、行ったとしても
それはまだかなり先。
まだまだ行ってみたい居酒屋がたくさんあるんでね。
それでは今宵はこのへんで。
憂欝な月曜日に入る前にどうか皆さま、美味しいお酒を。
呑めない方はジンジャーエールを。
('-^*)/
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