嫌われゆく君へ | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

子供の頃に風邪で学校を休んだ時、家にいると何気なくラジオから流れたのが

「こども電話相談室」という番組だった。


これまた長寿番組だったが終了したようだ。

今の時代、なんでも簡単に調べられたり、SNSでいろんな人とつながりが持ててしまうため、

相談において「電話」というツールがあまり必要とされていないとのことだった。


それらの流れから得た正解の信頼性に関してはなんとも言えないし、またどれくらい依存して

いるかというのにもよるが、悩みごとの対処などにかんしては、たった一人の専門家(つまりプロ)

からの助言をあおるよりも、多くの素人から多様の声を聞いて集めて、それらを参考にして最後に

自分で答えを導きだすというほいが正解という見方もあるかもしれない。


まあ、老若男女問わず、今の時代は「ヤフー知恵袋」とかがその代用みたいなものかもしれない。

オレは利用したことないけど。


でも赤い血の流れる人間だから、オレだって当然悩みというか、長年の疑問のようなものはある。

それがいくつくらい存在するのか冷静にカウントしたことはないが、数え出したらおそらく両手の

指だけじゃ足りない。千手観音の手の指も借りればたぶんおさまる。


普段はこのコラムにおいて、どちらかというと「○○するべきだ」と発信しているようなことが

多いオレだけど、今回は相談室みたいの是非誰かオレにその解決法というか方法を教えて

欲しいことを書いてゆくのでお付き合い頂ければ嬉しい。



「その行動や発言によって、実は多くの人から隠れて嫌われているのに、本人がそれに全く気付いていないといった人間に『あなた、周囲のたくさんの人から嫌われていますよ』ということをどうやったら気付かせてあげることが出来るのか」


という質問。


ここで重要なのは「隠れた嫌われ者」ということだ。


オモテだってみんなが「あいつ性格悪いよな」と公式に言っている人間ではない。

また、「隠れた」とは言っても、影でコソコソと悪いことをしてるのが実はバレていて嫌われているという意味でもない。


組織や団体の内部における「嫌われ者」というのは、おおまかに2タイプに分類される。


ひとつは、明らかにみんなから嫌われていて、周囲の人間も堂々とそれを隠さず言っていて

周囲の人間も距離を置こうとする明確な「嫌われ者」だ。


そしてもうひとつのタイプが「隠れた嫌われ者」

こっちへの対処が難しい。


このタイプは普段の生活においてはとくに周囲からはずされたり、悪く言われたりせず、むしろ

どちらかと言えば、周囲の人間の中心に明るく存在していることが多い。


周囲の人間もごくふつうに笑顔で付き合ってはいる。


露骨に嫌われるタイプとは異なって、こっちのタイプは実は嫌われているのにも関わらず

社会の中での身の置き方だけが微妙に巧みであって、人の輪から除外されることもなく

逆に人気者っぽい雰囲気で絶えず人の輪の中にいて、なにか喋ったりはしゃいだりしているのだ。


こういう人間は小学生のころからずっとオレの人生につきまとっている。

でも、本人たちはおそらく自分が嫌われているといった自覚はなく、むしろ「オレは面白い」

とか「オレのまわりはこれだけ人が集まる」とか思いこんでいそうで、そこがまたタチ悪い。


もっとも重要な「嫌われている原因」をまだ書いていなかったが、つまりは人を馬鹿にしてその場を盛り上げる、お調子モノなんだ。


高校の時の友人グループの中に一人いて、表面だって嫌いだとは終盤まで誰も言わずにきたが

ふだんから、同じ友人のことや、そこにいない人間のことばかり話題に出しては馬鹿にして笑いを

とっていた。


一応は友人だから、それを聞いている周囲の友人たちも合わせて笑っているから、本人も

「オレはこの場を盛り上げている」といった気分で勘違いをしていたかもしれないが、

そいつこそ自分のいないところで「あいつはいつも誰かを馬鹿にしたことばかり話している」とか

「そこにいない人間を笑うようなことばかりしている」とか言われているなんて気付いていなかったと思う。


たしかにそいつが話していたその場にいない人間のエピソード自体は面白かったりする場合もあったし、一応は友人の話ということで気を遣って笑ったりしていたことはあったが、それとは別に

「ふだんから誰かの悪口いったり馬鹿にしているやつ」という印象は仲間内で強かった。そして実は隠れてみんなから嫌われている人間でもあった。


そいつは最後までそういった芸風?を変えなかった。

それは鈍感だから、結局自分が‘想像以上の数の人間’から嫌われているという事に気付かなかったのだ。


一人や二人からならともかく、誰だって周囲にいる人間からは嫌われたくはないだろう。


それでもそこにいない人間や近くにいる人間のことばかり話題にあげて、その場を盛り上げることを続けた理由は、やはり自分が周囲から嫌われているという現実に気付いていないからだ。

自分の口が悪いことは多少自覚していたとしても、せいぜい嫌っているのは一人か二人程度だと思っているのだと思う。

それに気付いて周囲の人間から嫌われたくないと思ったならば、そういう話題で盛り上げようとする行為はやめるだろう。本人が「嫌われ者」になることを望むのなら話は別だが。


またそういうやつの言動というのは仲の良い半径2、3メートルの外にいる人間からもしっかりと

見られて発言などを認識されているもので、違う友人グループであって会話したこともなかったり

そいつから何か馬鹿にされたり笑い者にされたりした張本人でなかったとしても、遠巻きに見ていて「あの人はいつも誰かのことをばかにしている」といったように見られているものである。


高校の時のその「隠れた嫌われ者」だった友人に対して一度ハッキリいったことがある。


休み時間にグループでたむろって皆で話をしていた時に、そいつが例によってその場にいない

友人数人のことを笑い者にするようなネタを楽しそうに話していて、最後にオレのことも馬鹿にした

ことを言ってはしゃいでいて、他の友人もウンザリした様子を見せていたので、オレが


「おまえさ、いい加減にしないと嫌われるよ」 と忠告した。

実際は既にたくさんの人間から嫌われていたけど、そこは「嫌われるよ」と言って気をつかった。


個人的な感情でムカついた部分もあったし、そいつがこれ以上嫌われないように言ってやろうと

いった気持ちも多少あった。また周囲にいた他の友人たちもそいつからコケにされたこともあったのでオレとしてはあくまで友人間でのよい空気を維持するためにあえてそういう役を出てやった

こともあった。

別に立派な人間ぶるつもりはない。ただ我慢の限界が近くなってきたからだ。


すると、オレの言葉を聞いたそいつは急に真剣な顏をして声を荒げてこう言い放った。


「別におまえになんて嫌われたっていいよ!!」


こういったような発言をするのが、自分が嫌われていることに気づいていない者の共通点である。


現実として、もしかしたらオレ一人(というよりも忠告してあげた人)から嫌われるかもしれないという現状ではなく、オレ以外の周囲の人間は既に嫌っていて、こうやって忠告してあげているオレは

まだ少し気にしてあげているというのが正解なのに。


人のことを言いたいだけ言って、その場を盛り上げている立役者気分でいながらも、自分が多くの人間から軽蔑されていたり嫌われたりしていることにすら、気付かず生活しているのだがら

ある意味で、そういった人間は幸せなのかもしれない。


たまに気にしだして自分のもっとも近い半径数メートルの友人に「オレっておかしなこと

言ってるか」と聞いたところで、「言ってる」と答えるはずがない。

所詮は同じ半径2メートル以内の仲間だからだ。だけどその半径2メートルよりも外から

見ている人間は「あいつはいつも誰かの過去の話とかで盛り上げている」といった冷めた軽蔑の

視線で見ていることにも気付いていない。やはり幸せな鈍感者なのだろうな。


前置きと例文が長くなったが、ここでオレが相談したいことに戻って


「人気者のつもりが実は多くの人から嫌われている人間に対して、嫌われていることを

上手に教えてあげるいい方法はないですか」


というのが相談事。


上手くというのは教えてあげたことで相手がそれをしっかりと理解して、また返ってきた対応で

自分も可能な限り不快な思いをしない方法と言う意味である。

()先程書いた高校の友人に教えてあげた時は、返事で不快な思いをしたうえ、本人も最後まで

治らなかった)


ただ、ひとつハッキリと言えるのは

「そういうやつは放っておいて、勝手に嫌われていけばいい。気を遣って教えてあげて

キレられるのは馬鹿らしい」

というのが無難でありべストだろうと言うことはわかっている。


別に相手のことを心配するとかいった格好良い意味ではなくても、

ただ放っておいて、そいつがのちに露骨に嫌われ出した時になってから

「知人ならそういう時は注意してくれよ! なにも言ってくれなかったじゃないか」と

言われてしまってもあまり言いかえせないから、とりあえずオレはおまえに一度ちゃんと

伝えたんだからな、といったことを強く言えるようにということで、自分のまわりにいる

「嫌われゆく者」に対する最後の優しさとして、「良い最終通告の仕方」があればぜひ教えて

頂きたいなと思い、今回の文章を書いた次第である。



読者のみなさんの周囲にもそういった人気者の仮面をかぶった隠れた嫌われ者とかいる、

もしくはいたのではないだろうか。

そしてそういった人間というのはいつでも存在するのだ。学校でも職場でも知人間でも。


たえず集まりの中心にいて、よく話したりしていて周りも笑ったりしているが、実はその性格に

難があって本人がそれに気づいておらず隠れて周囲から嫌われている人間が……。



良い答えがあるのであれば、誰かオレに教えてください。

オレが相手に対して強く言える人間であれば言うのだけれど、残念ながらそこまで出来ない

未熟な部分があるので。