オタスケマンっす | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。



「超合金」って今まだ売っているのだろうか?
プレステだとか妖怪ウォッチだとかいうトイズがあふれている現代のちびっこ……いや、
20代くらいの人は「超合金」という言葉を知っているのだろうか。

超合金!! って字面だけ今の時代に改めて見てみると、なんだか「STAP細胞」とか
「レアメタル」のような堅苦しい科学用語や貿易キーワードのように見えてしまわなくも
ないが、要するに昭和時代を代表する「オモチャ」のジャンルである。

理系ではないので物質に関する知識は薄いのだが、名前の通り金属性のオモチャであり
それだけに使われるトイズは主にアニメのロボットの人形や、戦隊モノのロボが多い。
ガンダム、イデオン、ゴッドマーズにゴライオンなどなど。

角ばったデザインのロボのほうが金属という素材にマッチすることもありそういったシリアス
アニメのロボットがデザイン元になった超合金が多かったのだが、そんな中でギャグアニメで
ありながらも登場する動物型ロボを超合金として玩具市場にはなったのがタイムボカンシリーズである。
これはかなりの金字塔である。

誕生日だかクリスマスだかにオタスケマンに出てくるお助けメカ「オタスケガエル」の
超合金を忠実屋のおもちゃ売り場で買ってもらった記憶がある。
ちなみに古すぎてアマゾンに画像ナシ!

タイムボカンシリーズは夕方再放送でも頻繁にやっていたけど、リアルタイムで夜に見た最初の
シリーズはこの「タイムパトロール隊オタスケマン」だった。
だから思い出の作品でもある。
次の日の幼稚園ではよく話題になったもんだ。

「タイムパトロール隊」という肩書からも想像出来る通り、歴史を乱してかえようとする
悪者オジャママン(アターシャ、セコビッチ、ドワルスキー」の3人と、歴史を変えさせて
なるものか!という正義のヒーローオタスケマン(ヒカル、ナナ)の2人の闘いを描いた
痛快SF歴史ギャグバトルアニメである。よくワカラン(爆)

今その世界観を考えてみると、人物設定から思想的なものまで実は凝っていたり斬新だったり
する。

多くのヒーローアニメや戦隊モノの設定だと、言うまでもなく正義の味方はそういう防衛軍的な
組織に属していて、悪者軍団は秘密結社的なモノに属し、隠れた基地などを拠点としている。

だけどこの「オタスケマン」においては正義の味方オタスケマンと悪者オジャママン共に
同じ「タイムパトロール隊」に所属していて、オタスケマン、オジャママンというのは互いに
裏の顏なのだ。
アターシャ、セコビッチ、ドワルスキーはいわば普段、正義の味方の隊に属しておきながら
指令をうけて向かったタイムトリップ先の時代でオジャママンとなり、歴史を乱そうという
動きを毎回している。

対するヒカルとナナもトリップ先でオジャママンと闘う時は、タイムパトロール隊としてでは
なくオタスケマンとして正体を隠し、オジャママンと闘う。

互いに毎回同じ勤務先からあらゆる時代にパトロールに行き、闘いが終わると同じ勤務先に
戻ってくるわけだから、生活のうちでほとんど同じ時間を過ごしているのに、お互いに
オジャママン、オタスケマンだという隠された事実に気づいていない滑稽さが面白い。
とくにオジャママンのほう、マスクしているとはいえ、あのガリガリ、ニンジン鼻、短足マッチョのシルエットは誰がみてもわかりやすいと思うのだが(笑)


このオタスケマン、放映が佳境に近づいたころ、タイムパトロール隊アターシャ班
(オジャママンのほう)に「ゲキガスキー」という新たなメンバーが加わる。
名前の通り、オジャママンというよりもオタスケマン側にいそうな今でいうイケメンなのだが
この「ゲキガスキー」が実はキーパーソンにして黒幕なのである。

そして最終回周辺になると、ギャグとバトルのオンパレードだったオタスケマンの中に
含まれたメッセージ性が視聴者に向けて発信させられる。

(今さらだけど以降ネタバレなので、これからDVDなので観たい人は読まないように)


アターシャを女リーダーとするオジャママンは、映像でした姿をあらわさない「
トンマのマント」という悪のボスからの指令を影でうけて、歴史上有名な要人の暗殺を
企てたり、歴史上有名な品物を破壊したり奪ったりということを向かう先々に時代でやっていた。

しかし、その「トンマのマント」の正体はタイムパトロール隊の途中加入したゲキガスキーが
つくりあげたモノで、実際はゲキガスキーがオジャママンをうまく使って歴史を変えようとしていたのだ。

ラストに、オジャママン4人の正体がアターシャ、セコビッチ、ドワルスキーそしてゲキガ
スキーだとばれ、4人ともタイムパトロール隊の中の牢の中に収監される。

そのころ、地球に向かってひとつの巨大な彗星が流れていた。
このまま行けば巨大彗星は地球に衝突し、大勢の死者が出る。
それを知ったゲキガスキーはオジャママン3人を連れて牢から脱走する。

脱走を知ったヒカルとナナほかタイムパトロール隊本部は緊急追尾体制をおくが
脱走したオジャママンたちの乗っているハゲタカ型メカ「アンドロメダマ号」の進路が
地球に向かう彗星に向かっていっていることに気付く。

要するにこれはゲキガスキーによる命をかけての地球の死守行為だったのだ。

真の結末はやっぱり各位、レンタルなり動画なりで観てもらおうかな(笑)


ただ、ひとつ重要な部分を書いておくと、それはさっき書いたメッセージ性である。

ゲキガスキーは正体がばれたあと、オジャママンたちを使って歴史を乱して変えようと
した理由を激白する。

うろ覚えだが、おおまかな内容はあっていると思う。

――
人類はそもそも最初の歴史の基盤の築き方や、通過の仕方を間違えてここまで来てしまった。
だから間違ったままの歴史をとおる今のままじゃ、今後、環境破壊などの滅亡行為が進み
人類自体がほろびてしまう。
だから歴史そのものから変えてしまおうかと思った。

みたいなことを強く語っていた。

エゴと言ってしまえばエゴ。
ひとりよがりと言ってしまえばたしかにひとりよがり。
でも間違っていない部分も存在はすると思う。

「歴史」ってよく考えてみると修正できるものならしたほうがいいのか、それとも
そのままのほうがいのか思ったよりも難しい。

たとえば「戦争」
言うまでもなくないにはないほうがいい。
これから先にも戦争は基本反対だ。

だけど、じゃあ、もし歴史を遡って戦争をやめさせることが出来たら、それはそうしたほうがいいかどうかという疑問。

もし、戦争が起きていなかったら歴史は変わり、その時代に死んだ人の数も大きく減るだろう。
だけど、人によってその時どういう状況にいたかとかで「戦争が起きなかったことによって
死んだ」という人もいるかもれないのだ。

例えば戦争が起き、Aさんは戦地に赴いた。だけどその人は体力があったので終戦まで生き延び、その後、子供も作り家系としては今もしっかりと孫を絶やさずにいるというケース。

もうひとつのケース、もし戦争が起きなかった場合、このAさんはすっかり平和ボケになって
毎晩酒飲んで、女遊びしてたとする。そんなことやっているうちに体を壊して病気になったり
恨みを買った女性から刺されたりして絶命するかもしれない。子孫を残す前に……。

戦争が起きてしまったら尋常ではない数の人の命が失われるのは間違いない。
戦争が起きなければ起きないで、罪の無い人が死ぬ確率は低い。だけど
あくまで数は減るけど、時間や運の確率変動というものはそれはそれで発生するのだ。

戦争やテロ、および飢饉や災害などの過去の過ちや悲惨な状況を修正や削除することが出来る
と仮定すると同時に、それによる時間や運のズレや入れ替えが生じる可能性………。

上に書いた、Aさんが読者様の両親や祖父母だとして考えてみよう。
汚らしい歴史を変えることはできるけど、戦争や災害のまがまがしい歴史を地球上から削除したと同時に、ひょっとしたらアナタ自身の存在もすっと消えてしまうかもしれない。

教科書の内容や時代風景もがらっと変わるのは必至である。
過去に戻って戦争だけでなく国内の争いごとをやめさせることが出来て実行したとしよう。
当然、戦国時代というものはなくなる。時間は時間として存在するが戦国ではない。
ただただ普通に穏やかに流れる時間だ。
争いがないのだから立場上、偉いとされる武将はいたとしても実戦がないだけに功績もなく
なるわけだから、歴史に名を残すことはない。
信長も家康も秀吉も存在はするが、ただの偉いポジションの人であり、名も残らず
当然教科書なんかには名を残さない。
たとえそれなりにスケートの実力があったとしても、今ほどまでに織田信成も話題にされることもなくなるわけだ。「織田家の系譜」という付加価値はなくなるわけだから。

これからの将来において「戦争は絶対ダメ」だということはほとんどの人が同じ考えだと思うのは言うまでもない。
これまでのような記事の進め方で誤解を招かないように一応書いておくが、言うまでもなく
決して戦争を勧めているわけではない。

ただ、この流れでひとつ斬新な質問を皆さまに投げかけてみたい。
とくに「平和を愛する」とされる人達に(皮肉とかでもなんでもなく純粋に!)


もしもオタスケマンみたいに過去の時代に行き、実際にあった戦争、災害、テロ、疫病などの
悲惨でもあり汚点でもある出来事を防止したり、阻止することが出来るとするならやりますか?

その行為はまさしく「平和を愛する行為」であると同時に、もしかしたら歴史を大きく
乱して自分もしくは自分の愛する人の存在をすっと消すことになるかもしれない行為になるの
です。

自分で投げかけたこの質問に対してオレは答えを出せない。

だけど、たぶん歴史をいじる度胸はないかなあ。