実録グルメ・刑務所メシを喰う! | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

一応(自称)フリージャーナリストを名乗っているんで久々に社会派ネタ?を。


本日11月3日文化の日は我が地元「府中刑務所文化祭」の日である。

過去に2回ほど昼過ぎくらいから顔を出したことはあるが、今回はしっかりとした目的があったので

開場時間前の9時半くらいにつくように出掛けた。まあチャリで5,6分だし。


9時半過ぎに到着したんだが既に開場待ちの人だかりがスゴイ。


1アーチ

遥か正面に見える黄色いアーチが入口。

右側には中に囚人が収容されているの高い壁がずっと先まで伸びている。


この中にはかの田代まさしも収容されていたということだが、さすがにこの壁を乗り越え

刑務所からの‘ランナウェイ’を企てることはなく、今年7月にひっそりと仮出獄したらしい。


普通に生活していれば塀の中の生活なんて経験できない。

だが、人の命というものはいつかは必ず尽きる。死なない人間はいない。

そう考えると、人間は誰でも生まれながらの死刑囚のようなものなんだなあ。

もっとも幸せとされる刑でも「寿命」という刑は必ずいつか執行されるのだ。

……なんて感慨深くなりながら開場を待つ(笑)


開場時間10時になると、列が少しずつ前に進みだして、やっとアーチをくぐる。


一日所長はこのお方。

ウルトラマン再放送世代のオッサンとしては「篠田」といえば「麻里子」よりも「三郎」が

頭に浮かぶ。

タローウ!ウルトラマン! ナンバー3! テーテテ-テッ♪(爆)


2篠田

この文化祭では様々なイベントが行われており、その中でももっとも人気なのが

ふだん受刑者が生活している刑務所敷地内を歩いたり、バスで走って見学したりする

「プリズンアドベンチャーツアー」なのだが、それは去年経験したので今回はパスし、

これまでスルーしてきたイベントを今回は優先した。


会場に入ってすぐ、そこの順番に並ぶ。

それがここ。


3食堂看板

その名も「麦飯食堂」


毎年開催されている食堂で、受刑者が食べているのと同じ食事を経験することが出来る貴重な

食堂なのだ。

刑事ドラマやコントでよく耳にする「ムショの臭い飯」が本当に臭いのかを確認することが出来る。


限定900食で毎年大行列。昼前には完売する。

だから今回は開場と同時に並ぶためにやってきた。

ムショ飯は是非一度食べておくべき。


4メニュー

メニューは2パターン。

毎年違うようで今年は「チキンカレー」と「牛すき煮定食」

もちろん両方とも刑務所オヤクソクの「麦飯」だ。


開店は10時半なのだが、開場と同時に順番待ちの大行列。

並びながら待っていると、向こうの広場で式典のようなものが始まったらしい。

周囲の人の会話と、遠目ながら見える服装と髪形で、一日所長の篠田麻里子が

いて何かしゃべっているのがわかる。

(中央あたり)


6式典

とくにファンじゃないとはいえ、せっかくの機会だからステージ近くで篠田麻里子を見て

みたい気持ちもあったのだが、あっちのステージに行ってしまうと、こっちのメシはまず喰えない。

数量限定で人気あるから最初から並んでいないだけに。


よって今回は「芸能人」より「ムショ飯」を優先された硬派なオレである。


それにしてもやはり待ち時間が長い。軽めのメニューだけに回転率が良いのは救い。


5列

待ってる間なんか面白いことないかなー……なんて思ってた数分後、

周囲がザワツキはじめた。


孫悟空的に言うところ

「なんかとてつもなく大きな‘気’がオラのほうに近づいてくるゾ」という直感。


実はオレが並んでいるこの建物の中にゲストルームがあるようでステージでの

トークをおえた一日所長が建物の中に戻るべく、オレらのすぐ近くを……


注意 篠田麻里子所長! ケンの半径5メートル以内を徒歩で通過中!!!注意


思いがけないラッキーだった。

意表ついて上からではなく「横からマリコ」である。

やっぱ芸能人だけあって整ったお顔をしていらっしゃるわい。


さて、並んで待つこと約1時間。

オリエンタルランド並みの待ち時間を乗り越えてやっと食堂へ。


7食堂

カレーも定食もどちらも「500円」


入口で係の人にどちらを食べるかを伝えたうえで、おカネを払い、それぞれのメニューの

レーンへと並ぶ。

オレは「麦飯 牛すき煮定食」を選択した。


あとは学食みたいに置いてある器をとって自分のトレイに乗せてから席を探してすわる。


お待ちどうさま。

これが「麦飯牛すき煮定食」である。

囚人が食べているものと全く一緒である。



8メシ1

コストのことは野暮だからいうべきことではない!

あくまでふだんは食べることのできない貴重な「ムショ飯」を体験できるということに

おカネを払っているのだ。


麦飯に、紅しょうがで味が少し演出された牛すき煮。

みそ汁、おひたしのようなもの、そしてちょっとしたデザートもような甘いモノ。

黄色い甘いのは芋だろうか?


オレは米の好みに関してはスト‘ライス’ゾーンが広めに設定されているので麦ごはんは

まったく抵抗ない。てか、はっきり言ってむしろ好き。

かつて不味い不味いと日本人が言って、現地の人から大批判を買った悪名たかきタイ米に

関してもオレは正直嫌いではなかった。

だから、麦飯うまい。


そして臭くない!


9メシ2

かつての安部譲二や田代マーシーもこれを食べていたんだなあと考えながら

1人でもくもくと刑務所という隔離された場所で提供されるメシを喰らう。

これぞホントの「孤独のグルメ」である。

B級グルメならぬ「P級(プリズン級)グルメ」なり。



食事が終わったらまた外の会場をちょっと歩いてみる。

はしご車のはしごで高いところまで上がるイベントもやっていた。


10はしご

10年以上前に地上4000メートルからダイブした経験のあるオレ(さりげなく自慢)でも

このくらいの中途ハンパに高くて周囲に建物の側面が見える高さは怖いからNGである。


過去の栄光をいやらしく再アップw。


オアフ

daibu

……


他にもいろんなコーナーがあった。


武道場のような建物の中には各地の刑務所に収容されている受刑者の作った俳句が壁に

貼られていた。

巧いものからたいしたことないものまでさまざまである。

中には心に突き刺さるような作品も。


読んでいて感じたこと。


人をあやめたり傷つけるするのがいけないのは当然だけれど

それは別にしても、人間は「後悔する」ということを何度か経験することによって

そこで初めて知ることや、気付く感情があるのかもしれないということ……


よく「後悔するようなことだけはするな」という言葉も聞くけど、何度か後悔したことがある

人間だからこそ「後悔」して悩んでいる人の気持ちもわかるんじゃないかなって感じる。


後悔したことのない人間はその悔しさや無念さを知らないから、後悔してる人の気持ちは

もちろん気持ちがわからないぶんだけそういう人へのうまいなぐさめ方もわからないんじゃ

ないかな。


「失敗をおそれるな」とか「失敗は成功のもと」とかよく言うけど、それを踏まえて言うなら

「後悔」だって失敗の種類のひとつじゃないかなって……オレは感じた。