川端康成「眠れる美女」他 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

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シャル・ウィ・デカダンス。

寒い夜、退廃の世界にご一緒にいかがかな?


別にイイ子ぶるわけでもないし、嘘つくわけでもなくて、純粋にオレは行った事が無いが

世の中にはいろんな風俗が存在する。


男女とか興味とかカンケ―なく、小説やドラマ、あるいは芸人のエピソード話にて、よく出てくる

ので「イメ○ラ」というジャンルは多くの人が聞いたことがあるだろう。

「イ○-ジクラブ」の略である。

好感度を気にして伏字にしたわけじゃない。ハッキリ書くと、そのワードでそのテの業者から

ぺタがたくさんつくから伏せておいた( 一一)

ようするに、センセイと生徒とか、ナースと患者とかいう設定の役になりきっていろんな性技を

行うような店である。なりきるということではある意味でつわものしか通えない店だと思う。


誰がったか忘れたけど少し前に今の社会の仕組み自体が全てそんなような「○○ごっこ」とか

「○○プレイ」みたいなものになりつつあるとチクリ言っていたことがあった。


組織は会社ごっこ。また、失恋して、もう立ち直れないとかいいつつ、少し経ったらまた新しい

恋人を見つけている男女は「恋愛ごっこ」


もちろん、すべてがそうだとは言う事はないが、いくらかはそんな風潮になってる感は当たっているように見える。


ちなみにオレは仕事とかで、一生懸命やってるのに理不尽な上司にグチグチ言われてストレス

爆発しそうなときは、「なんでこんなに動いているのに、それを見てない人から怒られるんだ!」

と思うと余計ストレスがたまるので、そん時は考え方を変えている。


営業にせよ、接客業にせよ、事務職にせよ、「その職種でおカネをもらっている」と思うのではなく

「説教好きな上司に怒られてあげる役という仕事」をメイン職種としご飯を食べていってると考える。

営業や事務などの仕事はサブだ。

そう考えると、「なんでオレがこんなに言われるんだ」という気持ちより

「つらいけど、こうやって怒られてあげるのが仕事だからしょうがない」と割りきれて少し

心を落ち着かせることが出来る。


それでも、やっぱストレスはたまってはいくんだけどね(笑) 

まあ多少の心情的なクッションにはなる。

これだけこう書くと、反論が来るかもしれないから念のため言っておくけど、明らかに自分が悪い時は素直に認めるよ。どうみても間違ってたり、理不尽で陰湿な説教だった時だけね。

みなさんもこの対処法は是非、まわりの方に勧めてあげてください(笑)


しかしね、風俗的文化というものは偏見で見られがちだが、歴史は古くて魅力的な怪しさがあるから、文学作品でもよく利用されることはたしか。


そんななかで今回紹介するのは川端康成の「眠れる美女」


これはある意味、風俗作品である。

しかし、川端テイストは爆発しているように感じられた。

「退廃」と「エロス」のノーベル賞作家・川端康成おそるべし。


だれかが、この本を推奨していたのでかなり前に読んでみたのだが、本を開くと

「死」と「妄想」と「エロス」の匂いがまぜられて出来た「退廃」という名を香水の匂いが

紙の上からプ―ンと漂ってきそうだ。


――

波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。

真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女―

その傍らで一夜を過ごす老人の眼はみずみずしい娘の肉体を透かして、訪れつつある

死の相を凝視している。(裏表紙文引用)


ものすごーく簡単に言うと、会員制の裸劇場みたいなもんである。しかも違法(爆)

同じ川端作品でも「雪国」は小学校教科書で出だし一文が使われたりするが、この作品は

対極。

作品の館でのルールにおいてはあくまで「見学」のみで眠っている女の子には絶対にふれちゃいけないという規定がある。

それによりその館の女性管理人が、はじめてそこに訪れた主人公の江口老人に説明する時に

「間違っても眠っている女のコの口に中にゆびをいれたりしないようにしてくださいね」などというかなりドキっとするようなセリフも冒頭のほうで飛び出す。

戦前なら発禁。小学校の図書館には絶対置かれない(笑)


でも、そこが川端康成にすごいところかもしれないが、読んでいてエロチックな香りよりも

いいのかわるいのか、女性を見守りに集まる老人たちから発せられていて、だんだん強くなって

くる「死臭」のほうが文学作品としてスパイスを利かせている。


石田衣良も「娼年」という作品を書くときに、この本をかなり参考にしたようだ。

(石田氏もあまり好きじゃないが、参考までにこれも読んでみたらくやしいがそれなりには良かった)


そして最後の解説はなんと、川端と師弟関係にもあった三島由紀夫。



あ、そうそう、

ちょっと話ずれるけど、2、3週間前に実際あった話。

時間とかに関して誇張とかは一切ナシで書くけど。


朝日新聞で毎週土曜日に本誌のほかに、別刷りがついてるんだが、そこに週替わりで

クロスワードや漢字パズルが掲載されてる。

オレは土曜日朝おきて、コンビニに朝刊買いにいって、社会面よんだあと、王様のブランチの

ブックコーナーが始まるまで、そのクイズで時間を潰す事が多い。


それで、2、3週間まえのパズルが、穴あき漢字みたいなやつで、同じ番号には同じ漢字が入り

他の穴と比べて熟語の穴を埋めてゆくというようなモノだった。


オレは熟語はそこまで詳しくないので、いくつか何という漢字が入るのかわからん箇所があった。

その中の一つがコレ。


きんき

・欣○○躍


他のところで「一○一憂」というのがあったんで、①のほうは自動的にハマった。

しかし、ここまででても分からないということは、もとの熟語自体をオレは知らんのだ。

一時、お手上げ。


ド忘れなら思いだすかもしれないが、もとの言葉を知らないのであればいくら考えても出てくる

はずがない。

ちょっと、ムズムズと気持ち悪い感じになりながらも、パズルは一時中断した。

そん時にいつも読んでる途中だった小説が三島由紀夫の「夜会服」


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気分転換にそっちを読むほうに切り替えた。

しおりの挟んだページを開いて読み始める。


1ページ読み終わり、次のページを開いた。

パズルをやめてから、小説読み始めて2ページ目まで、そこまで要した時間

ほんとにたった2分くらい。



こたえ

……(ー_ー)!!



この瞬間、オレはホントに三島が守護霊についているんじゃないかと思った。

そして、読書というものは本当に知識の泉に湧いている水を飲むようなものだと思った。


こういう驚きの偶然がきっかけだけに、オレはこの熟語をずっと忘れないだろう。