雨上がりのキノコ表現論 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

先にきっちりと言っておくけど、今回は表現や演出におけるマジメな話として男女問わず
価値観を交そうという真剣な記事でアル(-_-)。
従って、もし下世話なコメントが来た場合にはビシビシ削除するゆえ、また
いろんな意見を交せたらなと思う次第でありながら、かるーく書かせて頂きたく、また
読んで頂きたく存じる次第である。なんのこっちゃ。

ほんの少し前に話題になったことだが、「ホクト」という会社のキノコのコマーシャルが
クレーム多しとのことで打ち切りになったというニュースが流れた(笑)

まあ、なーんとなく、そんな状況になってもおかしくはないかなとは感じていたが、
やはり「許せない派」の人も多かったようだ。気持ちはわかる。
動画は下。



理由は「卑猥過ぎる」「子供に見せられない」というのが多かったようだ。

オレは正直、別に不快でも愉快でもなかったが、ただ、放送するメーカー側も製作した
代理店もそれなりの勝負に出たなあとは思った。

不快に感じないにしても「確信犯」だということは間違いない。
だから反対する人の気持ちもわかるし、たしかに家族で食事してる場面でテレビから流れたら
食卓に流れる空気が溶かした鉛みたくなることも避けられないかもしれない。

でも、こういう演出においては、一度もソッチ方面の言葉を言わずにあくまで「きのこ」の
ことだけを言い通せば、逃げ通すことはできるわけだと思う。
場合によってはクレームをよこした人間に対して「そうゆう想像をするほうがイヤらしい」
とも反撃できる。

だけど今回「ホクト」側はおとなしくCMを差し替えた。それもまあ評価することかもしれない。
たしかに不快まではいかなくとも、比喩にしてはちょっと露骨かなと思ったし、こういう結果に
なることも予測できたけど、少なくともゴールデンタイム?に地上波で流れるようなCMで
このような表現のタブーに挑んだホクトの姿勢は個人的には多少評価したい気持ちはあるなあ。
バカの1つ覚えや親バカみたいに自社商品を「美味い」とか「見事」だとか褒めまくるつまらん自画自賛CMよりかは……。

女性に関しては不快に感じる人も多いかもしれないし、オレも下ネタは好きじゃないから
内容が好きかどうかは別として、さっきも書いたように、その「姿勢」はある程度評価したい。

すくなくとも企画があがってから、放映に至ったという事実があるということは
そこまでで、制作者側とホクト側と、鈴木砂羽、要潤の事務所、そして、それを流した
テレビ局的には全然オーケーだったという事だと思うから、要するに一部の視聴者との
感覚の温度差があっただけだと思う。


表現や比喩のボーダーっていうのは実に微妙だし、確実な境界がない。
明らかに‘そっち’の事を連想させる比喩だとしてもハッキリ言わなければ否定することは
出来る。
逆に、‘そっち’の比喩をしたつもりでなくても、偶然そんな感じの歌詞や言葉になって
聞いた人間が「卑猥だ!」と怒ることもないとはいえない。


オレがある程度好きなグループで、歌も好きなのだが
有名なところでは「RCサクセション」の名曲、『雨上がりの夜空に』もそうである。
高校生の時に車はガソリンスタンドのCMで再ブレイクして、その時に友人同士でも話題になった。
「あれは車好きの車を愛する歌だ!」という意見と「アレを車に例えたイヤらしい歌だ!」
という意見。
「イヤらしい歌なんだよ、あれ」というのは男子よりもクラスの女子からのちょっと嬉しそうな
声が多かった。



忌野清志郎が好きな人間から言わせてもらっても、あの歌詞は明らかに「比喩」だと思う(笑)

ただ、さすが清志郎は上手い。
車の歌だと言い張れば、純粋な車の歌でもつきとおせるような歌詞のつくりに見事にしあげている。

ホクトのCMのほうはどちらかというとストレート気味だったが、清志郎は技巧派カーブで
放ってきた感じ。

この「雨上がりの夜空に」はまだごく一部で「卑猥な歌だ」と言う人がいる一方
何年も前にNHKの音楽特番のラストで、大御所含めた大勢の歌手やグループが
番組エンディングでみんなで歌っていたもんな。

だからもう「時代を代表する名曲」と「隠れた淫靡な歌」という対極の二面性を持つ
とてもレアな曲である。そう考えると普通の名曲よりスゴイ。


うむむ、民衆から受けたり受け入れられる表現とか比喩のボーダーってムズカしい。
制作者側がたいしたことないから大丈夫だと思っても、見てるほうが不快になったりするし。

ずーっと前に、水を大切にしようだとかそんな感じのニュアンスのCMでタレントの
細川ふみえが手でスカートの裾をつまんで上に持ちあげて、その上に水をためてる絵柄が
まるで、女性がおもらしをしてるみたいだと女性人権団体(だったかな)がクレームを出して
打ち切りになった事件があったが、あれは多くの人が「そうは見えない」「そう捉えるほうが
女性差別だ」と物議をかもした事を思い出す。

……

やっぱ、最低限のモラルはあるけど、そのボーダーをかなり手前に引き過ぎたら
メディアにおいても個人の発想に関しても、斬新でオモロイもんが生まれなくなる気もするね。

蛇足だが、オレとしては個人的に好きじゃないからという嗜好の問題もあるが
ホクトのCMよりも、国民的と言われてる某バンド(オレは好きじゃないし国民的だと
認めないが)のほうが、ポップな音楽にごまかして、すごく露骨な下ネタ比喩を連発して
歌っていると思うのだがそっちは全く批判されず、それどころか何故か老若男女問わず
人気があり国をあげたように騒がれてる……不思議だ。

わからん……(ーー;)