江國香織「間宮兄弟」他 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

間宮兄弟 (小学館文庫)/江國 香織
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これは別に悪意も何もないし、全ての女性がそうだというつもりもさらさらないので
誤解せずに聞いて頂きたいが、男という生き物は「単純バカ」な部分が多いと思うけど、
女という生き物は「現金」だなーと感じることがある。

これも人によるのだが、オトコは成長しても、好きになる女性のタイプが昔と真逆に

なることはあまりないと思う。多少の変化はあっても。


でも女性は小学校の時に好きになる男のタイプと、大人になって社会に出てから求める

男のタイプがガラっと変わるということが多いんじゃないかと。

とはいっても、「好みのタイプ」が変わったというのとはまたちょっと違う。


小学校から中学校、長引いて高校生くらいまでの女の子は、ちょっと不良っぽかったり

ケンカが強かったり、スポーツが得意な男子を好きになる事が多いと思う。

たとえ家庭が貧乏であったり、本人があまり小遣いを持っていなくても関心ない。

勉強なんて出来なくても気にしない。


逆に勉強が出来る男子や、おとなしい男子は人気がなくてガリベンのように思われる。

(違う? 違うなら違うと言ってくれ!)


ところが、これが社会に出てから恋人や旦那さんの理想を聞くと、マジメで財産がそれなりに

あるということがメインとする声が一気に増える!


ここら辺まで来て時いくら運動が出来ても、フリーターとかだったらおそらくそんなモテナイだろう。


また、浮気の問題や家庭内暴力の問題もからんでくるからか、うってかわって「マジメ」な人間が

求められるようになり、収入面でもいい企業のほうが稼げるからアタマがイイということで「勉強」

だ出来るほうが求められてくるようになってくる。


いや、別にフォローでもなんでもなく改めていうが「否定」しているわけではない。

おちついた家庭と生活を求めるのだから、全く当然のことだ(-_-)。


理解は出来る……

出来るんだけど……


でも…ちょっと現金といえば現金かなぁ~~、


なんて思ってしまったりする冬の気配が漂う今日この頃(笑)


だが、


ここでもっと困ったことがあったりしてしまう。

小さい頃、スポーツオンチでも数学や理科が出来たようなタイプなら将来報いが来るから

良い。

また今、報いを受けていたとしても、昔不良っぽかったり運動が出来てモテた人間は当時に

前借りのようなモノで「いい思い」をしたから良い。


だが


オレのように運動も勉強も出来ない人間はいったい、いつになったら地上の光を全身に

浴びれるのだ!

昔も今もモテる要素、ねえじゃん!(--〆)


自分でそう思っているわけじゃないが、何かいいところアピールしろって言われたら

もう強いて「人柄です」としか言えないじゃないか。


うーむ、これは困ったぞう。

日本が四方八方を海で囲まれた島国のように、右左どこへ向かっても行き止まり脱出不可では

ないか!

――暗くて長い人生のトンネルを抜けると、そこにはまたもっと暗くて長いトンネルの入り口が

あった……『逝国(ゆきぐに)』

なんて小説でも書いてみるか(爆)


まあ、そんなように世の中には、とっても窮屈なKI・TSU・I男もいる現実である。


でも、そんな男たちにスポットを浴びせるような小説を書いてくれたのが江國香織。

映画は見ていないが最近原作の「間宮兄弟」を読んだ。


主人公の間宮兄弟は、外見も地味でおとなしくモテナイ。


だからといって趣味もあるし引きこもったりしているわけでもないし、兄弟仲もいいし、

料理とかもする。


地味で仕事もそんなバリバリするわけじゃないけど、決して人間性が悪いわけでもなく

人を不快にすることはない。

そして、何かと結果や出世だけを目指して忙しく動いている人にくらべて

だらけたりするということではなく、ちゃんと自分たちにあった生活を送っている。


そんな人間味あふれる優しい穏やかな兄弟が主役。


物語自体にそんな大きい波はないのだが、この小説を読んですごいと感心したことは

作者の江國香織は女性なのに、なんでここまで男性目線の文章を書けたのかということ。


話が面白いかどうかというよりも、女性作家が微妙なポジションにいる男性の心をなんで

ここまで代弁出来るのかということに感動した。

江國香織ってホントは男なんじゃない? あ、でも写真で顏出してるか。いやすり替えかもしれん。

ちなみに顏も名前も声も出しているが、オレはいまだに森田童子が男か女かわからない。



今回のもう一冊はこれ。

正直あまりお勧めは出来ないが、読んだという報告で一応。


自殺の国/河出書房新社
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柳美里と言えば、不幸話ジャンルではそれなりに好きだったんで、センセーショナルな
タイトルにつられて読んでみたが、うーん、ちょっと……
これなら前に紹介した「自殺」のほうがずーっといい。
もっと社会の闇を深くえぐっているかとおもったけど、浅かった。
重要でない過剰な演出が多すぎる。
柳美里は嫌いじゃないから、あえてこの本だけはキビシイコメントをした。