モブノリオ「介護入門」他 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

介護入門 (文春文庫)/モブ・ノリオ
¥450
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最初観てなかったからまだ前回と今日の2話しかみてないけど、それでもやっぱ話題どおりで

「半沢直樹」は面白いわ。

2回見ただけで、詳細わからんのにこれだけ面白いんだから、最初から観てたら10倍くらい面白い

んだろうな。


主人公は銀行マン? 難しい業界の話だけどなんとなくそのヘンの勉強にもなる。

実際になるのは500%ムリだな。金融とかわからん。


そんなこんなで半ば強引に職業つながりで話題を切りこんでゆくけど、世の中には

色んな職業の人がいる。


オレが本気で、ものすごく大変な仕事をしているなあとアタマがさがる人が「介護」の仕事を

している人。

その反対でもっともアタマにくるのが、何か不祥事や犯罪を起こした人とか、職を失った人に

対して、なにかとすぐ「介護の世界にでもいけよ」という人。


友人にひとり介護関連の仕事をしている者がいるのだが、そーとーキツイらしい。

それは精神的にも体力面でも。離職者も多いとかよく聞く。

それでも老人を助ける仕事。行使しているのはホントに立派だと思う。


一方、すぐ「介護の世界へ行ったらどうか」という人間。

オレの言い方がヘタなんで、誤解まねいたらお詫びするが、どうもアタマにくる。

オレも経験したことないから人から聞いた情報でしか語れないが、肉体の駆使以外にも

ある意味、老人の体や命を預かる仕事なので責任がかなりプレッシャーになると思う。


そんな世界でもカネやイメージのためでなく、真剣に老人のお世話をしたいと思って

働いている人だっているのに、謝罪や罪滅ぼし、イメージ回復のために介護の世界に行けとか、

仕事を与えてもらえるなら何でもやれとかいう理屈で、介護の世界を勧めるということは

真剣に介護をしたくて働いている人達にも失礼ではないだろうか?

(もしかしたら、人手不足により現場からはのりPみたいにイメージ回復のためでもいいから

来てほしいという意見もあるのかもしれないけど)


ただ、ホントにつらい仕事ではあるみたいだから、人手不足とはいえ、誰でも行くべきとか

いうのは違うんじゃないかなって思う。

ヘタにいいかげんな奴とか行ったら何がおきるかわからんし。


あと、人に介護の仕事でもやれって言う人間に限って、自分はその職場に行く覚悟とかが

ないのもチョー問題。勧めた人間が断わった場合は代わりに自分が行くくらいの覚悟がない

なら軽く言うな。


そういうことでオレは介護の仕事についている人は、ある意味尊敬に近いものをする。


そんな「介護」に関する本を紹介。上に貼り付けた「介護入門」

芥川賞受賞作品で、著者はミュージシャンのモブ・ノリオ


介護入門と言っても、お年寄りの扱い方とか、おススメの老人ホームを紹介する内容じゃない。

だって著者はパンクなモブノリオで、作品は芥川賞小説だから。


一部説明文抜粋。


〈29歳、無職の〈俺〉。
寝たきりの祖母を自宅で介護し、大麻に耽る――〉


表紙のシルエットでもモヒカンのあんちゃんが中指立てているのはわかるだろう。

こんな主人公がラップ調の文体で祖母への介護と心境を綴ってゆく。


話は大好きな祖母を失ったあと、モブ氏が書いた作品だ。


社会のピラミッドを憎み、どこかだらしない音楽ヤローの主人公は大麻にふけながらも

自宅で大好きなオバアチャンを相手に介護をする。


「オレはいつも〈オバアチャン、オバアチャン〉で、この家にいて祖母に向き合う時にだけ

辛うじて、この世に存在しているみたいだ」 というセリフが自然に心に響いた。


音楽大麻青年は、世間とやっつけ介護するヘルパーに怒りを感じながらも

大好きなオバアチャンを慕って積極的に介護をする。


「大麻でラりった音楽」と「介護」

そこにあるのは全く正反対のベクトルのものだが、主人公のその「堕落」と「優しさ」の同居は

人間として、とても健全に映った。(クスリはいかんけど、弱さという意味でね)


人間の心の闇と、温かさを評価する芥川賞選考委員が選んだのもなんかナットク。


しかし、このモブノリオ氏。

受賞の時の会見は観ていないけど、パンクな歌手だけあって会見では破天荒なことをして

報道陣はドンびきだったという。

いきなり報道陣のほうだったかにダイブしたり、「どうも!舞城王太郎です!」と挨拶したり。

ちなみに舞城王太郎というのは本名も顏も出さす、会見にも表れない覆面作家。

その人も、また同時期に賞の候補になっていた有名作家。




で、もう一冊は、その舞城王太郎(笑)

「スクール・アタック・シンドローム」


スクールアタック・シンドローム (新潮文庫)/舞城 王太郎

¥420

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実は舞城氏の作品は初めて読んだ。

なるほど、こんな芸風ねと思った。きらいじゃない。


ある学校襲撃事件から始まった暴力の伝染。

ブラックなテーマの中にもポップな表現が踊っていて、重いながらも暗くない不思議な文章。


身近で町内でありそうなSF感がある。

今度は別作品も読んでみよう。