鹿島田真希「冥土めぐり」他 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

冥土めぐり/鹿島田 真希
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もう、ホントに何年も何年も前だが、メイド喫茶が爆発的にブームになって、メディアで

騒がれていた頃、「果たしてメイド喫茶とはいかなるものか」という好奇心で

ゴールデンウィークに友人と行ってみたことがある。値段も安いとのことだったので。


いくら連休中とはいえ、あれだけ店があるならどこかしら、すぐ入店できるだろうと

思っていたが、考えが甘かった。


いろんな店をまわってみたが、どの店も、オレらと同じようにメイド自体に興味ないけど

せっかくの休日だから試しに来てみたという老若男女問わない興味本位の大行列……。

いかにも常連だと思える絵に書いたようなアキバ系の人ももちろんいるが、ほとんどが

試しに来てみたといった雰囲気の今風の男性グループやカップル。

女性だけのグループもいた。


すいている店を探し、アチコチ回ったがどこも2時間以上待ちの大盛況で、結局、

1時間半待ちで比較的早く入れそうな地下の店に決めて、列に並んだ。


入ったらコーヒーだけ頼んで飲む。なんか知らんが入店客全員を巻き込んで、

メイドさんとじゃんけんして勝ち残った客がメイドさんと2人でゲーム出来るという企画が始まり、

ふだんは全く運がないのに、こういう時に限って神がかり的な奇跡が生まれ

たしか50人位いた客の中で、オレだけ負けなしで、ステージのメイドさんとの

じゃんけんに10連勝以上(マジなんだよ、これ)してしまい、勝ち残ってしまった記憶がある。

一緒に行った友人は「……すげぇ……」と言っていた。

メイド喫茶のことをよく知らんのに、たまたまツキが回ってきて、大勢のアキバ君たちの

羨望を集めながら、オレはメイドさんと2人でワニに噛まれるゲームをすることになって

しまった。(こんなこと言ったら希望してた人に失礼だが全然望んでない)

ただ、ゆっくり雰囲気を観てみたかっただけなのに、アレは辛かった(ーー;)


くそう、あんなとこ(失礼)で一生分の運を使いはたしてしまった気がしてならぬ。今でも。

まあ、お遍路さんじゃあないが、これもある意味、オレにとっては地獄をみたという事でまさに

「メイドめぐり」だった。


かたちにこだわらなければ生きていても、いろんな「冥土めぐり」「地獄めぐり」が出来る。


観光で楽しく地獄を見たけりゃ、別府の地獄めぐりにいけばいい。

リアルな地獄を見たけりゃ、そのまま現世を生きてればいい←また、こんなこと言ってる。


でも隠蔽だの凶悪犯だの、これだけ多ければ、冥土(地獄)も忙しいだろうねえ。

裁く閻魔様も死んだ悪人が全部行くから。悪人の裁き待ち大行列でしょ。


地獄が舞台として登場するアニメとか見てると、そういった閻魔様の前に裁きで差し出される

罪人が並んでいるシーンとかが目に入るが、浅田二郎が本の中で、府中の運転試験場での

行列を観てると、その地獄の亡者の選別をイメージするといっていた。

地元として試験場をよく知っているが、巧い表現だなと思った。


本題。


今回は少し前に読んだ芥川賞受賞した「冥土めぐり」


この本の中でいう冥土というのは、おそらく過去のこと。

幸せだった過去に執着し、借金などの失墜を繰り返す母と弟をもつ女性が、夫とめぐる

過去への旅。

やっと家族か逃れた女性だが、その夫は不治の病になってしまう。でも……。


読んでいて、ホノボノとドロドロが交差する話だなと思った。

だけど、登場するダンナさんのキャラは癒される。

こういう人がもっと周りにいたら、世の中も自然とギスギスしなくなるだろうと感じる。


あと、過去を冥土に例えたことで、オレなりに思ったのは、決して悪い意味ではなくとも

楽しかったことを思い出したり、昔のアルバムとかを見かえすのも、ある意味で「冥土めぐり」

だと思った。


過ぎ去って今はないものは、いわば「死んだモノ」。それは時間も同じ。

それに対して、回想したり、見帰すのは、ある意味「冥土めぐり」かなと。


鹿島田作品に関しては前回読んだ「六○○○度の愛」よりも、この「冥土めぐり」のほうが

好きだが、正直言うと、この表題作の「冥土めぐり」よりも、同時収録されている「99の接吻」

のほうがオレは気に行ったかも。


パッと見で、フツ―っぽい女性作家がエロスとモラル違反の匂いを漂わせながら書く物語は

男目線では描けない何か、刺激する成分があるな。




今回のもう一冊。今さらだが、やっと読んだコレ。

『蛇にピアス』


蛇にピアス (集英社文庫)/金原 ひとみ
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オレがピアスあけてたのは、もう20年くらい前かなー。


怖かったから、シッカリと耳鼻科で7千円くらいかけて開けた。

氷で冷やして、一瞬でパスっと。全然イタくなかった。


強いて言えばあけた後、ピアスファッションなのに、アタマは黒髪で普通の長さで

真ん中分けっていうスタイルだったオレの感覚のほうがイタかったかも……。


うわあああああああああああああああああ

思い出したら恥ずかしいィ


誰かオレの脳ミソ内の過去を消してくれ。消毒してくれ。

オレの頭上から、ひょうきん族の懺悔コーナーみたくマキロンぶっかけてくれ。


ああ、こんなとこで忌むべく過去の「冥土めぐり」……


……



本作のほうの個人評価は5点満点中で星2つ半。

良くも悪くもなくってとこ。


映画のほうは見てないけど、どうなんだろ?面白いのかな?

原作は最後の最後でちょっとした衝撃があったからなあ。