イヤホン外せよ、町に出よう | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

ウォークマンなる文明の利器を初めて購入したのは、たしか高校1年の夏休み明け。


冷房も効いていないロイヤルホストの裏方で、時給650円で汗水たらして、

サラダの下ごしらえしたり、鴨の肉を包丁で切ったりして稼いだあぶく銭を投入して

購入した。

中学ン時は、ウォークマンなんて興味なかったし、好きな音楽も長渕だけだったから

特に必要なんてないと思っていたが、休み時間とか、クラスの友人男子何人かが

ウォークマンで、当時流行った高野寛(航空会社CMの歌とか歌ってた気がする)とか聞きながら

肩でリズム刻んで教室の中を闊歩してたんで、ちょっといいなあと思って影響された。

高野じゃなくて、ウォークマンのほうね。いいなあ、ってのは。


あと、高校まで自転車で1時間弱の通学だったからヒマつぶしで1台持っててもいいかなって

のもあったかも。


今はもう、外でも中でも音楽を何処でも聞きたいっていう熱意はないな。

聞きたい音楽自体がない。

流行のお気軽ソングなんて、キャバ嬢の顏と同じで皆、同じに感じる。

そんだけオレがオッサンになったのか? それともホントにおんなじような個性の無い曲が

氾濫してるのか。それさえ分からなくなる。


興味あるないというよりも、もうウォークマンが……

正式に製品名でいえばヘッドホンステレオが既に絶滅危惧種、レッドデータマシンになって

いるのだろうな。


MDウォークマンなんて、俺、まだ触ったこともないうちに、ほぼ絶滅しちゃったよ。


今の時代は、なんかちっちゃくコンパクトにまとまったのを携帯してる人が多いね。


外で音楽聞きながら歩くという事象に関して一言。

先程書いたように俺も高校の時、ウォークマン聞いてたし、音楽好きな人にはいつでも

何処でも聞けるってのはかなり便利な事だと思う。

商品自体は何も問題ない。


ただ……



一部、マナーというかなんというか、解せない輩もいる。


例えば、人が2人並んで歩けるくらいの幅の道路で、音楽聞きながら歩いてる奴がいる。

音楽を聞いてようが普通に歩いていようが、端っこに寄って歩いていればいいものを、

堂々と中央でゆっくり歩いてたりする。


オレがうしろから自転車で近づいても音楽聞いてるから気がつかないのだ。

気付かないにしても、右か左のどっちかに寄って歩いていれば、こちらから避けて抜いて

ゆくのだが、狭い上に中央歩かれて気づいていないから、抜く事が出来ない。


露骨に大きくベル鳴らすのも悪いと思い気を使い、小さく「チリンチリン」と鳴らすのだが

よほどの大音量で聞いてるのか全く気付かない。

あれ、ほんとムカつくんだよ!



あとは通勤中だとか、出社したばかりの職場の中とかで見かけて、こちらから挨拶で

声掛けた時に向こうがイヤホンしてた場合。

なんとなく気付いたとしても、イヤホンで音楽聞いたまま、チラリと視線だけこちらに向けて、

してるのか、たまたま首が微動しただけなのかわからない程度に頷いて偉そうに対応

する奴。だいたい先輩面、上司面するヤツに多い。これって座ったまま挨拶するのと同じ

くらい失礼だろ。幼稚園からやり直せよ。こんな人、アナタの職場や学校にもいません?

(--〆)



あとはね、まあマナーとかの問題ではないし、別に何も悪くはないしケチつけるとかでは

全くないんだけど、毎日毎日、通勤通学電車の中とか、街の雑踏を歩くときに音楽聞きながら

歩いてる人って、ちょっと損してることが多いかなーって。


前にも紹介した池上彰サンの本の中で、すごく同意する事が書いてあったんだけど、

電車の中とか、人がたくさんいる場所って、いろんなレアな情報が飛び交ったり潜んだり

してるワケ。


池上サンは、何故あんなに博学かと言うと、社会情勢や事件とかの情報に関しては

元々、記者だったということもあり、新聞やニュースおよび現地取材から知識を得てるけど

流行とかに関しては、電車の中とかで聞こえてくる女子高生の会話とかから仕入れてるんだと。

言うまでも無くわざわざ盗み聞きするために電車に乗るとかでなく、乗ったついでに色んな角度に

アンテナを貼るということ。


一般人の世間話や立ち話なんて、ほとんどがどうでもいい話か身内話かガセネタである。

でも、そんな中でも「ぴあ」とか「るるぶ」とか「東京ウォーカー」のような広告費目当ての

情報誌には決して載ったり紹介されないような激レア情報とかが隠れていたりする。


音楽ばかり聞いていると、そういう貴重な情報も見逃してしまうと言う考えは池上サンと

同調した。


例えば男子大学生とかの会話だったら、デカ盛りが安い店がドコドコにあるとか、

ドコドコのラーメン屋がウマいとか、雑誌やグルメ番組で見た事もないような情報が聞けたり

することが多い。


女子大生の会話なら、タレントの誰と誰がよく見たら似てるとかいうネタ的な話も。

実際似てるかどうかは別としてウド鈴木とヤワラちゃんが似てるとかいうのも聞いた。


何年も前のウンナンのバラエティー(ホントコ)で、素人に変装した東野幸治が喫茶店や

レストランで数時間居座り、近くにいる客の会話を盗み聞き(あまり良いことではないが)

して、その中で気になったり面白そうな場所や遊びの情報が出てきたら、その場所に行って

確認するという企画があった。

何故かそのコーナーはすぐ終わってしまったが、なかなかオモシロイ企画だった。


オレは昔から、仕事にしてもプライベート旅行とかにしても初めて乗る電車やバスでは

本も読まないし、音楽も聞かない(もともと機材持ってないが)


まず一回目はずっと景色を見るのだ。

何か発見があるかもしれない。そのうち途中下車して行ってみたいような場所が車窓越しに

目に入るとか。

また地元の人や、その地方に何度も旅に来ている人が乗っていたりしたら、知る人ぞ知るような

美味しい店とかの話をしてるかもしれない。


リアルにレアな情報とは、メディアの中でなく身近にあるのだ。

利害関係の発生しない一般人の会話だからこそ、信頼性もあるのだとオレは思う。


好きな音楽を聞くと言うのも楽しいことだ。

でも、通勤通学、もしくは遊びで出掛けるときに移動で、毎日聞いてる人に是非勧めたい……

音楽聞くのをやめろなんて、見当違いなことを言うつもりは全くない。

だけど、毎日聞いてるんだったら、せめて4日……いや、週に一回はイヤホンを外して

町の声に耳を傾けてみるのもいいんじゃないかと思う。



ま、たしかに周りの音や声をシャットしたいっていう状況はあるけどね。


終電乗って、すぐ横や後ろにいる酔ったオヤジが口の中で唾液をチュパチュパとやって

不快で汚い音を出してた時はイヤホン欲しかったし……。


また、空いてても隣に座ってる品の無い若い女性2人組が笑いながら、周りに聞こえる声で

ずっと生理の話してた時も、隣のオレはどういう顏して座ってりゃあいいのだと怒り気味で

聞こえない理由にイヤホン欲しかった……。


でも、アレだな、一番イヤホン欲しかった時は前にもちょっと書いたけど、

電車乗ってて混んではないけど席は全部埋まってる状態で、向かいに座ってた太いオバサンが、

いわゆるちょっと‘イッちゃってる人’だった時。

ずっと1人でブツブツ言ってるから、なんとなく「くる」かなとは感じたが、いきなり


「ジャイアンツの木田の故障が治らないのは徳光和夫の陰謀だぁぁーーーっ!!」


って叫び出した時。

車内騒然。みんなどういう顏していいのか困っていた。

オバサンの隣の人が、その瞬間、目を瞑って寝たフリに入ったのを目撃ww


そしてオレもイヤホンなかったから聞こえなかったフリを出来ず、寝たフリをしたとさ。


おしまい