みなしごハッチっす ~カマ吉おじさんに捧ぐ~ | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

タツノコ本社がある地域に住んでるのに肝心なアニメネタをまだやってなかった。



ミツバチの子のハッチがスズメバチに囚われの身になっている母親(女王バチ)を探しに
ゆく旅を描いたアニメ。
小学校の時、朝、登校前の時間に放映してて友達も皆観てたなあ。
皆さんも観てたんじゃないですか?

懐かしの名作アニメ特番とかで流れるシーンは必ず、ハッチと母親が再会する感動シーン。
たしかに感動した。だがオレは泣かなかった…。

オレの「泣くツボ」はどうも多数の人とビミョーにズレているようで、
母親と再会する場面のちょっと前のハッチ達VSスズメバチの闘いの一場面で号泣した。
コレはおそらく今また再放送観ても泣ける。

既に物語を熟知してる人も多いと思うけど、まずは順を追って解説してゆこう。

最初に説明した通り、このアニメは「親子愛モノ」ではあるが、母親に会うまでは
当然、「冒険モノ」の流れを汲んでいる。

旅の途中途中にて色んな虫たちと出会い、揉めたりしながらもドラゴンボールおよび
幽遊白書方式にて、関わった者がみんな戦友になってゆく王道。

その中の一匹にカマキリの『カマ吉おじさん』というのがいる。

このようなアニメやSF映画とかにおいて、カマキリをモチーフにしたキャラはたいてい
その独特なフォルムやシルエットから「戦闘系」「武闘派」「悪役」に設定されることが多い。
「カマ吉おじさん」も登場した時はそういうアラクレ悪者キャラだった気がした。

だが例によってハッチに共感し仲間になり、最終回あたりになるとカマ吉おじさんは
スズメバチの城に乗り込むに当たって兵隊となる虫を招集する。
スズメバチ達を倒して、ハッチと母親を逢わせるために。

そしてハッチ、その他味方の大勢の虫と共にカマ吉おじさんはスズメバチ達の城に攻め込む。

さて、それ以降の状況はオレの記憶を遡り、確かこうだったという感じで書いてゆく。
もしかしたら微妙に違う箇所もあるかもなんで、それはご了承を。



母親が監禁されてる城(巣)の中に入り込むまでは簡単ではない。
城の外で繰り広げられるハッチ達とスズメバチ軍の激しい攻防戦。
その様子はまさに昆虫大戦争。

ハッチの味方、スズメバチ軍団、両軍で命を落とす虫も続出している。
そんな中、周りの虫よりも体まわりが大きく、手にはカマという武器を持った
カマ吉おじさんは大奮闘。
ハッチを城の内部に入れられるようにするべく、自慢のカマでズズメバチどもを
蹴散らし次々と撃墜してゆく

そんな無敵のカマ吉おじさんだが、ふとした瞬間に1匹のスズメバチからの槍(巨大針)攻撃
をくらってしまう…。

痛みで動きが鈍ったカマ吉おじさんにスズメバチの集中攻撃が。
多数のスズメバチの持つヤリが次から次へとカマ吉おじさんの体に突き刺さる…

苦悶の表情で地に向け堕ちてゆくカマ吉おじさん、
そんな状況でも落下の途中でトドメをさそうと並んで降下してくる一匹のスズメバチに
最後のチカラを振り絞ってカマを振り、相撃ちに・・・

その巨体が堕ちてゆく姿は、まるで不沈といわれた大型爆撃機が、中型戦闘機の小編隊に
まさかの迎撃されたようにオレには見えた。

地に落ちたカマ吉おじさんを見つけたハッチは駆けつける。
泣きながら「おじさん!死んじゃヤダ!!」とかいうようなことを言ってたと思った。

だけどカマ吉おじさんは、もうまさに虫の息…

ハッチの顏を見たカマ吉おじさんは
「ハッチ…絶対お母さんに会うんだぞ・・・」とか言ってたと思う。
その時、コワモテのカマ吉おじさんの目には涙が…

こうしてカマ吉おじさんはハッチと母親の再会を見届ける前に絶命する…
泣き崩れるハッチ…



そして、それを見た当時のオレも泣き崩れた。

そこに観たのは虫種類や歳だけでなく自然界における「弱肉強食」「食物連鎖」という
定義を超越した究極の「昆虫愛」なのだ。

虫の世界ですら、種別というモノを超えた優しさや情と言うモノがあるのに、
『‘虫ケラ’以下』とはまさに利益や発展やトップ確保のためだけに弱者を切り捨てる
我々人類のためにある言葉だな(笑)

コワモテの表情の奥に無限の優しさを隠して、幼いみなしごのために命を賭して
そのカマを振りかざしたカマ吉おじさん…

アナタはどんな人間よりも人間らしい心を持った昆虫でした。
アナタはどんな3次元のキャラよりも3次元キャラらしい心をもった2次元キャラでした。

アニメーションの中におけるキャラクターで私を号泣させ、感動させたのは
「ドラえもん・のび太と海底鬼岩城」でポセイドンに突入した水中バギーとアナタだけです。

愛しきカマ吉おじさんよ、永遠に…

※カマ吉おじさんの動画がない!
見たい人は「カマ吉おじさん」→画像検索で、数点出るかも(._.)


ちなみに当時登校するにあたり、朝8時に家の前の電柱の下に同じ地域の
同級生たちと集合して集団登校だった。
朝、最終回観たあと、めっちゃ泣いたんで目が真っ赤になってしまった。
観終わって少しして、集合場所に行く時にそのまま行ったら明らかに泣いたのが
ばれて何かとバカにされたりハッチ観て泣いたんだろうとかからかわれるかと思い、
必死に目の赤さや、目の下の腫れを治そうとしたがムリだった。

しょうがないからもう、「ハッチみて泣いたんだろ」とか笑われてもいいやと思い
開き直ってテンションだけ落ち込んだまま集合場所にいったら、他のみんなも
ヤケに静かで暗くて、目が真っ赤になっていたというオチがあった。マジで。

あ、あと、よく「みつばちハッチ」って言ってる人いるけど
(当時の)ハッチは「みなしごハッチ」で、みつばちがつくタイトルのは
「みつばちマーヤの冒険」ですから。

マーヤも毎回観てたなぁ。
あのタキシードみたいなの着たキリギリス?のオジさんもイイ味出してた。