基本的に世間から注目されだして、ことあるごとにテレビに出てたり
雑誌とかで特集組まれたりしてる人って、あまり好きじゃない。
学者にせよ、何たらアドバイザーにせよ、役者にせよ、アスリートにせよ。
むしろ「世間は騒いでるようだけどオレはアンタに興味ない」「あんた何やってる人?」
「アンタのどこがいいのかわからない」といいような目で見続けてきた。
ホント、オレもスレてるな…
だけど池上サンは好きだなぁ。
テレビつけた時に語ったりしてるとついつい見てしまう。
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針がイカれて音が飛ぶ壊れたレコードのようにマスコミが何度も繰り返して言ってる
ことをさらにクドくオレが言うようなカタチになってしまうが、たしかにこの人の解説って
明らかに他の教授や専門家よりも解りやすい。
そして、なんとなく「優しい」オーラがある。
決して説教臭くなく、押しつけがましくもなく、また無知な人を見下すような言い方でもなく。
まさに「知識人」というよりも「何でも知ってるお父さん」といったところ。
世の中のさまざまな「やり方」の情報元ってあるじゃない?
例えば教養番組にせよ機械の説明書にせよ、上級者の解説にせよ。
そういうあらゆる『説明』のキャッチコピーで「わかりやすい」とか「親切」とか
謳っていながら基本知らない人には全く親切じゃない場合が多い。ホントに。
なんというかねえ…
「出来るだけ簡素に分かりやすく教えてやるけど、最低限そのくらいは自分で調べとけよ」
「それくらいの用語は当然知ってるという前提で、そんでもって教えてやる」
といいたげな説明の文章が多い。ぷんすか。
例えばパソコン操作マニュアル本。
「すぐわかる初心者向け」とか書いてるから昔買ったのだがチンプンカンプン。
そういう本がほとんど。
初っ端から
「パソコンを始めるにあたってまず○○をインストール…」とか
検索や文章作成する時に「とりあえずドラッグして…」とか・・・。
だから、まず、その「インストール」というものがどういう作業もしくは名詞かという
ことを教えてほしいのだよ!
そこからしてズブの初心者だから、「○を○する」というふうに言ってもらわんと。
いきなり「インストール」とか言われても何の事だか (@_@)??
綿矢りさしか思いつかんわ。
もっと丁寧に教えてくれんと背中蹴るぞ。
「ダブルクリック」とかも、そのくらいは分かるだろうということ前提でいきなり解説が
始まるコト多いが、そこもしっかりと
「本体からコードでつながれてる楕円形のカチカチやる機械の、向かって左側にある
押すところを2回カチカチとやってください。以下それを『ダブルクリック』と呼び解説を
進めます」
という解説から始まるのが親切と言うモノだと思うのだが…。
いや、分かってますよ。オマエの理解力の無さの問題だろというお声も。
あとはねえ、小学校の時とかの球技大会でもそういう不親切あったな。
もともとオレはスポーツ疎くて当時は基本ルールも知らん場合が多かった。
専門用語とかも。
だいたい少年野球に所属してるヤツや体育大好き小僧となるポジションのヤツが
リーダ―的になるんだけどね。
それでチームが決まった時にオレはルールや用語がワカランから、試合とかの前に
訊いたりするけど先程の例もみたく「それくらいは知ってて当然前提」で話されるから
わからない。
「じゃあ、ケンはまず左中間に守備ついて球を捕球したら○塁に投げて」
とか言われるけど、当時のオレからすればまず
「左中間て何?」である。
ドコか3次元の歪みに生じた仮想空間のようなイメージを当時受けた。
まず「左中間」の説明からだろ!思った。
前に少年ジャンプで連載してた『ハイスクール!奇面組』の第1巻で野球素人の
奇面組とその取り巻きが急遽野球の試合に参加するハメになったのだが、
キャプテンが一通り作戦を話したあとに「質問あるか?」とメンバーに聞いたら
奇面組一派の1人が「レフトってどこですか?」 と言って、聞いたキャプテンがまず小コケw。
別の1人が「ショートって何ですか?」と言って、キャプテンが中コケw
3人目が「ピッチャーってサードですか?」と聞いて三段オチでキャプテン大コケw
というシチュエーションがあってウケたが、あながち、あり得ない状況ではない。
野球疎い人には、まずどこがファーストでとかいうところから話してくれないと
わからない。
今でこそ野球の「インフィールドフライ」とかは知っているが
ハッキリ言ってサッカーの「オフサイド」って今でもどういうことかよく知らない。
知りたいとも思わないけど…。
世の中にはこういう親切なつもりの「不親切」が多い。
もともとそのジャンルが好きだったり、興味がある人は「誰でもそのくらいの基本は知ってる」
という思い込みで解説しだすのが厄介。
報道や解説者の話を聞いてても大体そのパターン。
でも池上サンは、そのへんも基本の基本、こういう動作を○○という用語で表す
とか言うところから解説してくれるから分かりやすい。そして聞きたくもなる。
そりゃ、当然テレビ局がそういう方針でやってくれって言ってるのもあるだろうけど。
でも、いくら、周りからそういうやり方でと依頼されても出来ない人は出来ない。
池上サンて、そこが他の専門家やジャーナリストと違うとこ。
「知識」だけじゃなく、「優しさ」と「ヒトを安心させるオーラ」と「聞きたくなる話し方」
が魅力なんだろうな。
まあ、世間にはこんだけの人間がいるから中には当然キライな人もいるだろーけど。
今回紹介した本は、流れているニュースの解説とかでなく
情報の整理の仕方とか、ニュースの要点の捉え方が書いてある。
これまた読みやすく、参考になってオモシロイ。
やはり喋りが巧みな人ってのは、活字におこしても巧みだねえ。
過去の自身のエピソードや普段私生活でやってる情報収集方法も書いてある。
NHK時代に警察回りをしてた時には先輩記者から「松本清張を読め」と言われたとか。
警察行動や犯人心理の勉強になるらしい。
あと、記者としてモノを書くにしても、営業やアドバイザーとかで提案とか人に話を聞かす
仕事にイカスのいならファンタジーとかミステリーとかを読めと。
ファンタジーやミステリーは活字だけで人に興味を持たせたり、想像させたりする技法が
つまっているから、読んでるうちに吸収してくるとのことでとても納得。
感覚や感性は人によって違うから、それで惹かれない人もいるからビジネス書を読んで
いても身につかないとのこと。仰るとおりだと思った。
うーん・・・・
池上センセが言うコト、書くコトに関しては今まで「違和感」を感じたことは不思議に
一度もない。
ちなみにこの本の中には普段センセがテレビで話してるようなマメ知識もちりばめられて
いる。
小学校のセンセイがジャージを履いてることが多いことに対して、
スーツを着用しないとは何事だと怒る良識人もいるようだけれど、理由があって
「ラクだから」とか「授業に体育もあるから」とかでなく、
小学校の場合、子供と同じ目の高さで指導をする必要があるため。しゃがんでヒザをつく
ことが多いかららしい。
子供と接するのに同じ目の高さっていうのは鉄則だもんな。
浦安のネズミ御殿もそうだし。