A CROCKWORK ORANGE | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

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状況的にも心境的にも穏やかな時ならとくに問題ナシにしても

人生生きてゆけば学校、組織、公共の場においてイライラや怒りが沸沸してくる

時というのは誰でも5度や6度はあるだろう。


プラットホームにムカつく奴を一列に並べて、電車が滑りこんできた瞬間にトン、トンと

1人ずつ後ろから押して線路に突き落としてゆく。

ムカつく上司が自宅で家族で和気あいあいと食事してるとこに乱入し、バケツ一杯に

入った汚物を上司家族と食卓に向けてブチまける。

繁華街でチェーンソーもって暴れる。

ライトなとこだと、乗り込み待ちの人が多いエレベーターで全ての階のボタンをいたずらに押す。

図書館で借りた推理小説の最後の最後のほうのページに「犯人は○○」と書きこんで返却し

次に借りた人にラスト直前でガッカリさせる。


以上、前半3つのうち、

どれか一つでもやったことがある人は 「異常」

どれもやりたいと思ったことはない人は 「もっと異常」

やりたい時はあったけどやれない、もしくはやらないという人は 「正常」 です。


なんだかんだ良識ぶったこといったりしても人間は所詮そういう感情を潜在的にもってるのだと

小生は考えているのです・・・。


そんな良識に真っ向から挑戦し人類の欲望を描いた名作と言われる映画

『時計じかけのオレンジ』


やっと観賞した。ここまで前置きが長くなって申し訳ないが・・・。


過日書いた「大山登山」における前日にキング宅に泊まり観賞した。

レンタル代金は恩恵に預かる(-_-)。


まずビジュアルに驚く。

この映画が公開されたのは、もう40年くらい前でオレが生まれる前。

なのに全く映像やシーンが古ぼけていない。


登場人物のコスチュームや部屋のインテリア・・・すべてがモダンであり、

まるで最近公開された映画のようである。

この映画の舞台は近未来とのことだが、監督の先見能力はスゴイ。

違和感全くナシ。


そして肝心のテーマは

『暴力』 と 『セックス』

それに彩られた『管理社会への反逆』


主人公アレックス含む不良グループが歌いながら老人を蹴飛ばしたり、

作家夫婦宅に押し入り夫の前で妻を乱暴したりと、ここまでバイオレンス色が強いにも

関わらず、これまでの映画史の中で名作として語り継がれてきているのはキューブリック

監督のセンスだろう。演出と使用している曲のチョイスは見事であり、

今なら半モラル的な作品とされるであろう物語をなんともスタイリッシュにしてポップに仕上げて

いる。


当然、1部には「ウケつけない」という人もいるが、それでも映画ファンや文化人、そして

女性にもファンが多いのはなんとなく理解出来る。

※文春文庫が出している「戦後生まれが選ぶ洋画ベスト100」という本では25位にランクイン


オチに関してはなんとも人間や社会に対する爽快なまでの皮肉。

「勧善懲悪」と「改心」という世間に媚びたメディアや企業、教育への

安っぽいプロパガンダに対してキューブリック監督がペッ!ペッ!とツバを吐いてるような

情景が想像できてなんともオモロイ。


アレのあとは「ガンバレ」だとかそういう言葉が日本に蔓延しててなんか逆に

手錠をハメられて無菌室へ強引に放り込まれたようなイヤ―な感じの閉塞感が

漂っている最近だが、そんな今のような時にみるとスッキリするエンタ-テイメント作品かも

しれない。


「ウイリアム=テル序曲」を使った予告編のセンスもサイコー☆

『予告編』