クスコのアルマス広場の車両通行禁止処置の波紋を考える (その二) | PERU day by day改めKansai day by day

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17年住んだペルーから帰国してスペイン語の全国通訳案内士デビューしました。インスタグラムシェアしながら、日常生活や日本の面白いところを紹介していきます。
趣味はランニングとペルーの国民舞踊、マリネラ・ノルテーニャ。

「アルマス広場を車両通行禁止にしよう」

そういう意見が高まったたのは昨年9月、
ちょうどメインストリートのアベニダ・エル・ソルから
広場に入っていく道の工事中に遺跡が見つかった頃だった。
(道路や建築工事中に何か見つかるのはクスコでは珍しい話ではない)





当時はこの遺跡を埋め戻さないで、
通行人がいつでも見られるようにしよう、
広場も通行止めにしよう、
という意見は多く遭ったのだが、
-文化省が遺跡のコンテクストを調査するためには
隣接する大学講堂や周辺の建物の地下も調べるのは技術的に無理がある。
-元文化庁長官の考古学者ルンブレーラス氏が
雨で遺跡がいたまないように雨季が本格化する前に埋め戻すようにすすめた。
-展示保存しようにも市長の人気が終わるところで、真剣に検討する余地はなかった。


などで、結局12月に埋め戻されてしまったのだ。

ちなみに10月の市長選で当選したモスコソ氏は
就任前の段階から
「広場歩行者天国化」について発言を始めた。

これに関してアレキパの友達をこの"遺跡"に案内したところ、
「アレキパのアルマス広場はカテドラル側が車両通行禁止になっているぜ、
クスコでも実験してみたらいいのに」

といっていたが、
私は即座に返答した。
「広場に入れなくなるとあそこの
サンクリストバル地区へのアクセスに問題が出てくるのよ。」



広場からサンクリストバル教会に向かう丘の山腹にある地区。
(夜景写真では左端の教会に向かう地区)

道は狭く、急な坂になっている。
アクセス方法は
-モナステリオホテルがあるナサレナス広場から一方通行のプマクルク通りを上る。
 出るときはぐるっと周ってアルミランテ坂からアルマス広場
 →広場に抜けられないと、パラシオ通という通常一方通行の同じ道を
  戻ることになる
-広場から上っていくスエシア通。やはり一方通行の道。
(広場が通行止めになることで、アクセスは1km遠回りをして逆進せざるを得ない)

ということになる。

この地区に住んでいる人々はどうなるんだ、
車を使うなというのか?

年配の人、妊婦、子供連れ、大量の買い物をした人々に
こんな急な坂を歩いて上れというのか・






まさかとは思っていたが、
年があけ、今月になってから通行止めになってしまった。
サン・クリストバル地区の住民の合意を得ぬまま・・。

この地区へのアクセスに関して、車両通行止め支持者は
「いや、サピ通からドン・ボスコ通と回っていく道や
サクサイワマン遺跡から降りて来る道もある」
などとマリー・アントワネットの
「パンがなければ、お菓子を食べればいい」
を思い起こさせるような意見を述べた。

このパターンだと
サピ通 1km近い遠回り
サクサイワマン 8km以上の遠回り
ととんでもない形になってくる。
サピ側からの遠回りでもタクシーで1ソルは
余計に取られるだろう。

「タクシー代を市が補填してくれるのか?」
そう、FACEBOOKで私が発言すると
前市政でほぼ副市長ののような役割だった
元市議会議員に
「いいね!」
をいただいた。

植民地時代から残る地区の住民が住みにくい状態にするのは
問題ではないか?
住民もクスコの歴史の一部なのだから・・。

さらにクスコ市自体がFACEBOOKで
歩行者天国化に対する意見を求めていたので意見を書き込んだ

「クスコ市街が碁盤の目上にきれいに区画されているなら、
歩行者天国化は100%賛成だ。しかし、
クスコの街はインカの時代に儀礼を行うために
谷あいに場所が選ばれ、ピューマの形に区画された。
スペイン人がこれをつぶさないまま、現代に至り、
現代的な合理性に欠ける町並みになっている。
このままでは歩行者天国化はできない。
1kmも遠回りをさせるようなことを住民に強いてはならない」

市の運輸局から「いいね」をいただいた。


さらに車椅子の人々が通行止め反対のデモ行進をした。

文化人面をして、少数派の住民の意見を訊かない
市長の傲慢さに市民の不満は鬱積をしはじめた。

4月23日、午前の小中学生によるパレードの後、
通行止め措置は一時的に解除された。

ただ、メディアは、車両通行止めが続くか、
続かないかはまだはっきりとわからない・・
としている。



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