クスコのアルマス広場の車両通行禁止処置の波紋を考える (その一) | PERU day by day改めKansai day by day

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17年住んだペルーから帰国してスペイン語の全国通訳案内士デビューしました。インスタグラムシェアしながら、日常生活や日本の面白いところを紹介していきます。
趣味はランニングとペルーの国民舞踊、マリネラ・ノルテーニャ。

4月6日より、クスコの中央広場のアルマス広場で車両通行禁止試験が始まった。



当初は4月19日までの予定だったのだが、
「十分に調査されていない・・」
とかで、さらに試験は10日間延長された。

今年新年に就任したばかりのクスコのモスコソ市長が
「広場はみんなのもの」
というスローガンとともに歩行者天国にしてしまったのだ。

クスコのアルマス広場周辺の歴史的景観保存地区は
世界遺産にも指定されており、文化財にしているされている建物も多い。

しかし、クスコの街は谷あいにあり、
広場を出ればすぐに坂を上って丘に向かわなければならない。
(広場自体も平らではない)



おまけにインカの時代から500年もの間、
スペイン人すら拡張することもないまま、
街の区画がそのままになっている。



なにしろアルマス広場の車道が周辺地域でもっとも広いのだ。
その広場が通行止めになってしまうことによって、
周辺道路の混雑が激しくなり、住民や出勤する人は大迷惑をこうむっている。

車が入らなくなったことによって、
観光客は写真を撮るのが楽になったが、
ホテルによっては車でアクセスができなくなってしまった所もある。
(重いスーツケースを持って急な坂を上るのはツライ・・)

この通行止め処置は市長の一存によるものらしく、
市議会の了解を得ていないという。

市民の間には「職権乱用」として市長を訴えようという動きも出てきた。

私個人はダカールラリーにも反対するほど、
文化財保護派なのだが、クスコのアルマス広場の通行止めには断固反対なのだ。

クスコの広場周辺は
馬すらいなかったインカ帝国の時代に宗教儀式をするために作られた
街の区画をそのまま現代にも残していて、
リマやアレキパやトルヒージョのように
碁盤の目上に街路整備されることもなかった。

インカの時代にクスコの街の区画を
ピューマ(アメリカ豹)の形にしたという話があるが、

今考えると迷惑な話で、
現代に求められる合理的な交通事情をまったく無視した、
儀礼上の役割しか考えていなかったのだ。

その中で、もっともゆったりと車が走れるのがアルマス広場

クスコ市民がタクシーの利用を減らし、
公共の交通機関の利用を増したり、
もっと歩く努力をして、
交通量を減らす努力はするべきだが、
現状のままでの通行止めにはかなり問題があると思うのだ。

(つづく・・)


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Cusco: Urbanism and Archaeology in the Inka World (Ancient Cities of the New World)