ロボです。穏やかな土曜日を過ごしました。
未来のことは誰にもわかりません。それでも人は今をもとに、予想の限りを尽くしたいつかを描きます。
私もついこの間まで必死に描いていました。鉛筆で、我流の下書きを一枚。今、私はそれを消しています。なけなしの勇気をかき集め、描き直しを決意したのです。
それは傑作のつもりでした。色をつければきっと世にも稀な絵になるだろう、そう確信させてくれました。
ところが、ここに来て私は気づいてしまったのです。私が持ち合わせる絵の具では理想通りの絵にはならないことに。もう一つ、違う絵を描いてみたいという新たな欲求に。私は気づいてしまったのです。このままこの絵を、今もまだ下書きのまま色を塗られるその日を待ち望んでいるであろうこの絵を、もう描き続けられないのだということに。
その絵は、実は私一人のものではありませんでした。仲間達と一年かけて描き続けてきた大切な絵でした。描き損じや、あるいは傷がつけられた箇所がいくつか見受けられます。全て私の仕業です。そのようなことをしておきながら、仲間達は私に描くことを許してくれました。私は今も彼らに深く感謝していますし、その優しさに応えなかった自分を恥じてもいます。
明後日、私は真っ白に還元されたスケッチブックを抱えここを去ります。後悔はありません。描くものは違えど、同じく描く者同士であり続けるのならば、私達はいつでも繋がりを持てるはずなのですから。
明日、立ち去る前に私は絵の修復をしようと考えています。ずっと躊躇してきた、それでも避けられない、逃げてはならない大切な作業。去りゆく者が為すべきこと。
何ら怖くありません。何ら恥じることはありません。私は前を向いて歩くのです。精一杯の感謝と謝罪を皆に預け、振り向かず歩くのです。呼ばれれば向かうでしょう。会いたくなれば呼ぶでしょう。永遠の別れではない。それでも、一大決心なのです。
そのせいでしょうか。自然と涙がこみ上げてきましたので、私は上を向いて坂道を上りました。
歪な月がひどく美しい、ある春の日の出来事です。
未来のことは誰にもわかりません。それでも人は今をもとに、予想の限りを尽くしたいつかを描きます。
私もついこの間まで必死に描いていました。鉛筆で、我流の下書きを一枚。今、私はそれを消しています。なけなしの勇気をかき集め、描き直しを決意したのです。
それは傑作のつもりでした。色をつければきっと世にも稀な絵になるだろう、そう確信させてくれました。
ところが、ここに来て私は気づいてしまったのです。私が持ち合わせる絵の具では理想通りの絵にはならないことに。もう一つ、違う絵を描いてみたいという新たな欲求に。私は気づいてしまったのです。このままこの絵を、今もまだ下書きのまま色を塗られるその日を待ち望んでいるであろうこの絵を、もう描き続けられないのだということに。
その絵は、実は私一人のものではありませんでした。仲間達と一年かけて描き続けてきた大切な絵でした。描き損じや、あるいは傷がつけられた箇所がいくつか見受けられます。全て私の仕業です。そのようなことをしておきながら、仲間達は私に描くことを許してくれました。私は今も彼らに深く感謝していますし、その優しさに応えなかった自分を恥じてもいます。
明後日、私は真っ白に還元されたスケッチブックを抱えここを去ります。後悔はありません。描くものは違えど、同じく描く者同士であり続けるのならば、私達はいつでも繋がりを持てるはずなのですから。
明日、立ち去る前に私は絵の修復をしようと考えています。ずっと躊躇してきた、それでも避けられない、逃げてはならない大切な作業。去りゆく者が為すべきこと。
何ら怖くありません。何ら恥じることはありません。私は前を向いて歩くのです。精一杯の感謝と謝罪を皆に預け、振り向かず歩くのです。呼ばれれば向かうでしょう。会いたくなれば呼ぶでしょう。永遠の別れではない。それでも、一大決心なのです。
そのせいでしょうか。自然と涙がこみ上げてきましたので、私は上を向いて坂道を上りました。
歪な月がひどく美しい、ある春の日の出来事です。