結局昼過ぎまで会議が続いた。

前述の通り相変わらず会議が長い。

会議が終わった直後、疲れた声の藤原さんから関西支店に会議報告の電話が入った。



僕は藤原さんに気を遣いながら

「長い会議でしたねぇ!」

と、労いの言葉をかけた。

「疲れたっス!!一応報告は何とかして下さいとの事でした」

と、ほとんど作業レベルでの会議報告だった。

ボクは思った。

ー 何とかして下さいって!あまりにも人ごと過ぎる!何とかしてきてやっとこの数字やろ!それに月初にある程度今月の着地予定の数字は報告している。経営者であれば多少は前後しても大まかな着地予想は見通せるやろ!少し営業をかじった人間なら誰だってそれくらいの事は分かる。

それなのに月末締め日当日になって数字を見て

「数字が足りません。どうするんですか?」

と、怒鳴り散らされても何が出来るっちゅーねん。

それならゴルフの前に対策でも立ててから行け!

30日間かけて2000万売って月末最終日に目標よりあと1000万足りないからどうにかして下さいって怒鳴られても残りの1日でどーやって1000万売るねん!

しかも得意先は展示会注文分で在庫パンパン状態で、僕たちのノルマ達成の為に現物買わされてるというのに


「どうするの?」

ってこっちが聞きたいで~

営業に丸投げにも程がある! -

しかし、そう思った所で社長にはどうする事も出来ない事は分かっていた。

と言うのも、以前僕はこんな社長に

「どうしたらいいですか?」

と、逆に聞き返してみた事がある。

その時の答えがびっくりしたというより呆れた。

「創意工夫をして!あの手この手を使って考えるんだよ!」



ー そのあの手この手が何なのか聞いているのに ー

今の時代モノを売るのには情報がいる。買って下さいばかりじゃ買ってもらえない。

情報を提供しないと!

ー 売れと怒鳴るのであれば役に立つ情報でも言ってみろ! ー

と、会社の中心で叫びたくなった。

確実に予測できる問題に対しても、事前に解決しようとはせず、いつも問題が起きてから爆発的に怒鳴り散らす。

ー いい加減に少しは学習しろよ!よくこれまでやって来れたよなぁ! ー

話は戻って

そして挙句の果てにはこうである。

しかも毎月!

ウチは月末締めで、営業の数字も月末に締められる。

ある月の月末3日前。

田中さんが着地予想の資料を作成しながら

「鈴木~今月達成出来そうか?月初はだいぶ不足あったけど

「ん~そうですね~何とか!月初の300万の不足から現物を230万売って、何とか70万の不足にまで詰めれました。メドは月末にFさんが現物を買いに来られるのでその時の勝負次第ですね~!」


ー 今月だけは達成イメージが沸かなかったけど、何とか見えてきた。あとひと踏張り! ー


「山田はどんな感じ?」

「僕もあとワンチャンスですまっ、最後の最後まで諦めずに得意先にアプローチして追加提案して行きます。何か突破口が見つかると思うので!」

と、前向きな山田。

「あと3日、山田の言う通りアンテナ張って売れてる得意先に売れそうなアイテムを提案しよーぜー。達成した、しなかったはやる限りの事をやった結果や!最後に笑おうぜ!」と、部下2人の士気を上げるのが上手い田中さん。


3人共が最後の最後まで達成にこだわっていた。


ー そろそろ営業レベルでは限界なのか?限界など作りたくないが会社全体で売れる仕組みを作る必要に迫られてるのではないか?やはり組織はトップの器以上に大きくなれないのか ー


しかし、こんな時に泊まりでゴルフに行っているのがウチの社長。

月末前日の夜に帰って来るらしい。


そして月末の朝の本社会議。

社長がゴルフに行っている間に営業がまとめた着地資料を目の当たりにして爆発!

「何ですか?この数字は?東西合せてまだ1000万も足りないじゃないですか!昨日まで何やってたんですか?もう今日しかないんですよ!どうするんですか?藤原くん、どうするんですか?」

出ましたぁ!困った時のどうするんですか攻撃!!

ー おいおい、そんな事ゴルフ行く前から分かってる事やろ! ー

「今日1日で少しでも目標に近付ける様にします

と、少しでも営業活動に時間を回したいが為に、会議を長引かせない様、上手くまとめる藤原さん。

「目標に近付けるだけではダメなんですよ!達成させなきゃダメなんですよ。どうするんですか?」

と、終わる様子のない会議。

ー「どうするんですか?」って会議している間に1点でも売れるやろ~ ー


余談になるが、

ウチは基本的に買い取り条件の為、理由のない返品は禁止である。数字が足りないからといって無理に押し込めば後で返品につながる。

その為、得意先にも責任を持って仕入れて頂いている。だから得意先にとっては買いたくても売れなければ不良在庫となる為、買えない時もある。

当たり前である。

しかし、どうしても交換して欲しいとの要望は必ずある。その時は営業の許容範囲で交換を行なう。当社的には交換は返品になる。マイナス伝票が起るのだから…また交換は得意先にとって売れないアイテムと欲しいアイテム=売れているアイテムを交換するのだから得意先にとっては有利でも当社にとっては不利で、そのアイテムは当社にとって不良在庫になりやすい。

断り過ぎると商売が続かない。

得意先を売れる様にするのが営業の仕事だ!

と考えると、それも一つの営業手段なのカモ。

常に営業は会社と得意先とのさじ加減をとっている。